日本の名家の末裔と欧州豪族

ハリマオ65

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 木下七郎の生まれた木下家は、徳川家の関連の旧華族「侯爵」で由緒正しき名家で東京に大きな屋敷を持ち、なに不自由のない生活を送っていた大正時代、木下家の所有する土地は、池袋から渋谷まで続く広大なものだった。

 そして政界、財界、軍上層部との強いパイプを持っていた。第一次大戦後1915~1920年の空前の好景気「大正バブル」の時に持っていた広大な土地を新興財閥の富裕層に全て売り払った。

 昭和、戦争が近いと見て、東京都心から武蔵野に引越した。土地をはじめ美術品、中国陶器、高級磁器などは、全て金「ゴールド」に替えスイス銀行に大手商社の上層部に伝えて保管させた。

 1940年に入り終戦が近いと感じた時、長年、交流のあった佐藤和彦弁護士に依頼し遺言信託の手続きをとり、その数ヶ月後、1945年9月、当主の木下康男は、玉音放送に納得できず自らの命を絶った。

 木下家の人々は終戦後、質素な生活してなんと生きながらえ、木下貞夫は、亡き木下康男と交流のあったM物産の会社役員、山下真一の口ききでM物産に就職させてもらった。

 その後、木下七郎が誕生。木下家の家訓で子供には教育熱心で専属の家庭教師をつけて、しっかり教育し、子供達が英才教育を施され、語学、数学、文学、音楽を小さい時から、みっちり教え込まれた。

 3歳になり話をするようになった頃から国旗や地図、九九算を見せ覚えさせた。これらに興味を持ち覚えが早いのに驚かれた。次、ジグソーパズルを買い与えると瞬く間に覚えた。

 そのため多くの知育玩具を買い与え4歳になりアルファベットや簡単な英会話の絵本を見ると英語に興味をもった。すぐに英語を音で覚えたので英語を話した後に、必ず、日本語で同じ事をくり返し覚えさせた。

 その時、耳が良い事がわかり、ドレミの音階を教えるとマスターし、国旗の写真あてゲームや日本の地図と世界の国も首都と地図も覚えた。父は気に入って、高価な大きな地球儀を買い与えた。

 七郎が6歳になった1959年の秋、見聞を広めるために米国へ海外旅行を計画。、最初にニューヨークに到着。次に、ワシントン、シカゴと回った。この時、次男の七郎だけがインフルエンザにかかり出かけられなかった。

 やがて米国旅行を終え帰りの飛行機に乗ったが、運悪く、飛行機が、事故が起こし、炎上、墜落し全員死亡した。木下家では、七郎だけが生き残った。その後、木下七郎だけが、天涯孤独の人生を歩むことになった。

 彼は既に簡単な英語、ドイツ、フランス、スペイン語を話していた。数学も中卒程度までマスターしていたので横浜の外人学校「セント・ジョセフ」のスカラーシップ試験に合格して学費無料で入学した。

 そこで知り合ったロスチャイルド家のリチャードに可愛がられ紹介されたアメリカ人女性と結婚と死別。その後も幸福と不幸が、目まぐるしく七郎を襲うが、めげずに、自分の信じる道を歩み続ける。
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