日本の名家の末裔と欧州豪族

ハリマオ65

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26話:母の痴呆と父の葬儀

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 2017年10月から、学生寮や、近くの施設や最寄りの3つの駅にも、家庭教師募集のポスターを貼らせてもらった。その他、イオン、コストコでも宣伝させてもらった。

 土日、毎週1-2回、1回は2時間とした。高校生は、1時間5千円と書いた。ポスターを貼った翌日から学生寮の2つの電話や学生寮のホームページに依頼の知られが、次々と入ってきた。

 1週間で56件の応募があり、ほとんど全てが2教科を希望していた。先生と生徒の組み合わせは、できるだけ同性の先生に振り分ける事にした。これで2万円の報酬を得られれば、学生の助けになると思われた。

 家庭教師、希望の高校生と教える先生、振り分けして、11月から家庭教師を開始した。家庭教師、希望の高校生に学生塾まで来てもらう事にした。こうして、2017年も終了した。

 2018年に入り七郎が学生に家庭教師と他のアルバイトの状況を聞くと家庭教師で月2万円。その他、平日、学校を終えてからのバイトで3~5万円の収入が得られる。

そのため、食事代込みで寮費が月に3万円で実家から仕送りがなくても生活できるようになったと感謝された。2018年に入り1月12日の寒い日に恵子さんの父、吉永仁さんが、倒れたと連絡が入った。

 再び体調を崩して救急車でKU病院に運ばれたと聞き、急いで恵子さんと共に病院に行くと担当の先生から心不全の兆候が見られてクラスⅡからⅢに移行している。

 つまり、日常動作をしても心不全の症状、息切れ、むくみ、呼吸不全を起こしやすくなっていると言うのだ。とりあえず、入院し治療をして症状の改善をはかるつもりですと話してくれた。

 七郎が治癒する見込みは、どの位あるのかと単刀直入に聞いた。すると、かなり厳しいかも知れないと言い呼吸不全が直らないと死の危険が増すと言った。

 今回も母親の吉永仁美さんが取り乱して興奮状態になって死ぬんじゃないですよねと担当の先生に叫んだ。心配しないで、できるだけの事はしますからとの返答だった。

 先生と話して今回も特別室に移して患者さんの奥さんも一緒に入院してもらいましょうと言ってくれた。七郎が恵子さんに実家から近いからタクシーを使って行き来して看病しなさいと言った。

 その日から数えて15日目に恵子さんの父の吉永仁さんの容態が回復せず静かに息を引き取った。彼の妻の吉永仁美さんが、この出来事に対して現実を受け入れられないように取り乱して錯乱状態になった。

 先生が鎮静剤の注射をして眠らせた位の興奮状態だった。彼女が目を覚ますと、隣に旦那さんの姿はなく今度は泣き出してしまった。泣き終わると窓の外の一点を見つめた。

 そして、お父さんが、お星様になったのですかと七郎や恵子さんに問いかけてきた。やさしく、そうです、お星様になったんですというと、私も一緒にお星様になりたいと言い出した。
 
 その言動の変化に驚いて先生を呼んだ。あまりのショックで、痴呆が急激に悪化したのかも知れないと言い、精神科の先生に見てもらいましょうと言った。

 少しして若い精神科の医者が来てゆっくりとした口調で吉永仁美さんに語りかけた。少しずつ落ち着いてきたが今度は口数が少なくなり、ただ、ぼんやりと外を眺めているだけの状態になった。

 精神科のお医者さんが、病室を替えて、数日、様子を見るために入院してもらいましょうと言い、それに対して七郎と恵子が宜しくお願いしますと言った。

 七郎が、葬儀屋に電話したり斎場の空き状態を聞いたり忙しく電話をしていた。どこも混んでいたので7日以上、待たないと空きがない。そこで入間市の木元さんに電話を入れて葬儀場の手配をお願いした。

 すると30分後に、遠いけど、埼玉県飯能市の飯能斎場ならの4日後の午後に空きが出たようで一応、抑えたと言ってくれた。葬儀屋に電話すると、えー飯能ですかと驚いていたが葬儀の打ち合わせに来てくれると言った。

 幸か不幸か、参列する人は総勢18人程度であり葬儀当日の朝、横浜から27人乗りの中型バスを借りて1台に関係者全員を乗せて出かけた。葬儀屋さんに必要なものを急いで揃えてもらい準備ができた。

 恵子のお母さん吉永仁美さんの容態は、落ち着いてきたが、旦那さんの葬式に参列するのは、やめた方が良いと精神科の先生からいわれ、葬式のことは、言わないでおいた。
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