日本の名家の末裔と欧州豪族

ハリマオ65

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12話:七郎が再婚する?!

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「お相手は、三菱財閥の御曹司で31歳の三井物産の商社マン」
「フットボールをしていて、流暢な英語で海外で大きな仕事をなさっているエリートらしいのです」

「ただ、初めて、お会いした時、全く好きなタイプではない、いや嫌いなタイプ」
「私、いわゆる鼻持ちならない人は、駄目なんですと訴えた」
「常にクールで感情を表に出さなくて仕事のできる人が好きなんですと告白した」

「例えば、社長のようなタイプが大好きなんですと言うではないか」
「七郎は、困ってしまって、変なこと言うなよ」
「おじさんをつかまえて、からかうのも、いい加減にしろよと言った」

「すると、恵子は、こぼれそうな大粒の涙を浮かべ社長は、私のこと嫌いなんですねと泣き始めた」
「いや、そんなことないよ、むしろ、その逆さ、好きだよと告げた」

「ちょっと酔ったように、じゃー結婚して、見合い相手から、奪い取って下さいと語った」
「これには、七郎は、目を白黒して、なんて言っていいかわからずに困った」

「何て話して良いかわからず黙っていると、今日中に決めてよねと、話した」
「そこで、吉永さん今日は飲み過ぎだから家まで送るよと言った」
「タクシーをつかまえ、帰る途中、恵子が、ホテルニューグランドの前で止めてと運転手に言った」

「ホテルの前で止まると、今日だけは、私の言うこと聞いてよねと言い切った」
「その勢いに、ついていくと、ホテルの部屋に入り最後のパーティーしようと言うことになった」

「その後、お酒をのんで、七郎は、感情のまま、吉永君と1夜を共にしてしまった」
「翌日の朝、モーニングサービスを取ったが、2人とも、口数が少なくい」
「成り行きでの大きな出来事に困惑したように思えた」

 ただ。恵子は、この日から七郎商会でも社長と言わず七郎さんと呼び始めた。翌月の七郎の誕生日にホテルニューグランドを予約し楽しい夜と美味しい食事をした。

 吉永恵子は、敬虔なクリスチャンのお父さんを持ち横浜の歴史ある貿易商の娘として生まれた。幼い頃から、近くに住む外人さんと遊んで英語のマスターするのが早かった。

 そこで近くのインターナショナルスクールに入学させたが、小学校の3年の時に、突然、日本の学校に行きたいと言い出して転校した。

 その後、フェリス中学に入りたいと家庭教師をつけての猛勉強で合格しフェリス女学園高等部へ進んだ。そして、上智大学外国語学部・英文科に入学し、卒業と同時に七郎商会へ入社した。

 その時、七郎が、恵子さんにインターナショナルスクールから、日本の学校に転校したのか理由を聞いてみた。すると、同じクラスに好きな米国人の男の子がいた。

 そして恋の告白したらアジア人は程度が悪い日本人と言っても所詮「しょせん」アジア人であり、僕は、白人の方が、好きだ。君のことも、あまり美しいと思わないと言われてショックのあまり転校したようだ。

 この話の時、ちょっと笑うと厳しい顔で、七郎さんも人種差別主義者なのと大声で言った。違うよ小学校3年生で、おませさんだなと思い、笑っただけだよと言い返した。

 七郎も小さい頃から外人との付き合いが長いので、まれに人種差別の強い白人至上主義者がいたことは、知っていた。でも、そんな奴、大成しないよと言った。

 10月の恵子の誕生日、恵子がホテルニューグランドで食事したいというので出かけた。開口一番、ここが一番、落ち着くのよね。東京って大都会だけれどビルと多くの車と人と騒音しかない。

 その点、横浜は港の海の香り、日の光、山下公園の自然も十分にあり、人も車も決して多すぎない、良い所、やっぱり一番好きな所だわと語った。

 それに食事はホテルニューグランドが美味しいのよねと言った。食事を終え、少し赤ワインを飲みながら七郎が自分の事を話し始めた。

 1979年にサリーという米国人女性と結婚し2年後、ジョージという名の息子ができた。幸せな家庭を築いて10年が過ぎた1989年にサリーが突然、体調を崩して入院。

 そして、白血病で看病の甲斐もなく、翌年、私の腕の中で息を引き取ったと恵子に話した。今でも、サリーの写真は、名刺入れ、肌身離さず持ち歩いているんだと言った。
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