時代の波と恩人の死

ハリマオ65

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1話:甘太の茂田先輩が参謀で株売買開始

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 父の名は青山茂、俺の名は青山甘太、八王子の郊外、神奈川県の北の果てに住み。父は売れない作家で娘が八王子の農家の息子と結婚して姉夫婦が相模川近くの高台に宿屋を経営して生計を立てている。

 父は1つの作品が以前、バカ売れし、その後その作品の脚本を書いて映画になりヒットして大金が入ったが、その後、書いても書いても売れなくなってしまった。そこで、株で少しずつでも、お金を増やそうと考えている。

 主人公、甘太は金の計算速くて性格で絶対に損しない様に、気迫も持っていて数学が得意だが、それ以外は駄目だった。勉強も好きではなく、父・青山茂のように一山当てたいと考えていた。

 現在、中学2年で志望校もなく漫然と近くの農家の跡取り息子と遊ぶ毎日だった。1959年が終わりを告げようとしていた。やがて1959年が空けて甘太が高校受験するか決めなければならない。

 父からは公立高校には入れなければ中卒で良いと言われていて公立高校には入れそうもなく勉強の意欲もなかった。ただ唯一希望の星は、昔から仲良くしてくれている中央大学の茂田作蔵先輩だった。

 彼は昼間、働いて中央大学の夜間部に通っている努力家で経済学部で卒業後はN証券に就職が内定していると話していた。そうして、彼はこれからの日本は、経済が伸びるはずだから株投資が有望だと話していた。

 そうしているうちに2月を迎え今後の進路も決めるように担任の石田肇先生にせっつかれた。ここままだと中学卒業で終わるが良いのかと言われ、仕方ないので、姉の旅館で働きますと告げて、とうとう中卒で4月を迎えてしまった。

 茂田作蔵先輩も中央大学を卒業しN証券に就職した。そんな1960年4月に姉の宿屋で下働きする事になり月の給料5万円で食事、寝床付き、ボーナスなし、昇給は儲けが増えればという条件で就職した。

 しかし宿屋は、あまり繁盛せず、甘太は相模川の釣りのお供について行ったり鮎を購入し周りの宿屋に卸販売したり漁協に入漁料を支払った。その他、津久井湖の手こぎボートの手配をする位のしかなく仕事は土日祭日中心であった。

 そのため昇給はのぞめなかった。それでも部屋と風呂と食事が無料で毎月5万円の給料から3万円を積み立てていた。すると茂田先輩から久しぶりに電話が入り、彼は、証券会社でアルバイトしながら夜間大学に通った。

 そして今年卒業して証券マンになったと連絡してきた。そして1960年4月10日・日曜、お昼に橋本の「喫茶店・コロラド」で会おうと言ったので出かけて行った。

 そして茂田作蔵先輩がN証券・八王子支店に勤務して証券部に配属されて、お客さんの株取引を電話で受け、結果を連絡する仕事をする事になったと言った。そこで甘太も証券口座を開いて売買しないかと誘われた。

 しかし甘太が、俺、賢くないから、無理だよと言うと、耳元で俺が教えてやるからその通りに売買して儲かったら何割かくれれば良いと言った。証券会社に口座を開くには社会人として働いている証明として給料明細をコピーが欲しいと言われた。

 了解して4月分の給料明細をコピーして4月26日、茂田作蔵先輩に直接渡した。その後、N証券八王子支店に甘太の証券口座を開いた。甘太はお父さんに株投資を始めるから種銭を頂戴と言うと口座に10万円くれ、すぐに入金した。

 その時、茂田先輩に甘太の家の電話番号を聞かれて株の売買の指示するから言われ了解した。甘太は1960年4月28日にN証券の証券口座に10万円入れ、いつでも株を買えるようにした。そして茂田先輩が甘太の担当となった。

 1960年5月6日に指示通りソニー株を88円で1千株買い8.8万円で純利益11万円で買い残金が1.2万円となった。そして10月7日に220円で売り、税引き後利益が11.8万円となりの資産合計が13万円となった。

 その後12月23日、八王子のレストランに招待してくれ、茂田先輩と2人で忘年会を開き、食事代を出してもらった。1961年の12月23日も忘年会に招待してくれた。
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