狛江の訳あり人

ハリマオ65

文字の大きさ
上 下
10 / 27

9話:金融機関の不祥事、投資と松平の父の死

しおりを挟む
 第一勧業銀行の近藤克彦頭取は、1997年5月23日に「『総会屋側に』多額の融資を行った最大の要因は、『歴代最高幹部が親しかった』元出版社社長の依頼を断れなかった事で、社長の死後もその呪縛が解けず、関係を断ち切れなかった…」と記者会見で述べ退任した。

 次期頭取と紹介された副頭取藤田一郎の「以前から不正融資を知っていた」と記者会見で告白し、第一勧業銀行の幹部も驚く爆弾発言となった。頭取経験者の11人に及ぶ逮捕や、宮崎邦次元会長の自殺という事態を引き起こした。

 さらに、調べ上げると、第一勧業銀行が1985年から1996年まで総会屋に提供した総額460億円にのぼった。その資金は、四大証券会社「山一證券・野村證券・日興証券・大和証券」をゆする資金元となった。

 銀行・証券界と監督当局との腐りきった関係を白日の下に晒した「さらした」。大蔵省接待汚職事件、遂には大蔵省解体と帰結し前代未聞「ぜんだいみもん」の経済疑獄となって、日本国民は信じがたい事実に金融業界の断末魔を全国民に知らせる結果となった。

 この時も、逮捕された元頭取の中には「あれは旧第一銀行の案件で、自分は旧日本勧業銀行出身だから関係ない」などと公判で無責任な証言をした者がおり、いかに旧第一・勧業の関係が悪いものであったかを露呈してしまう結果になった。

 その他、7月には、155年の英国統治に幕。香港が英国から中国に返還され、「一国二制度」が始まった。1998年7月21日、早朝、証券会社の担当者から電話でソニー株の気配値が、13400円で売りと助言され、全株、成り行き売りを指示。

 9時過ぎ、全株売れた。この結果、税引き後利益が、16800万円となり投資残金が24400万円となった。1998年10月30日、昼、証券会社の担当者から電話で、ソニー株の気配値が7300円と安いと言われ同意した。

 その後、ソニー株15000株を成り行き買いを指示。その後、10950万円で買え、投資残高が、13450万円となった。1999年、アメリカで生活していた松平の両親、松平平輔さんと、よねさんが、父が、体調不良のため、日本に戻ってきた。

 そして、江ノ島の近くで、海の見える老人施設を申し込んで入居した。母は、日本に帰ってきてほっとした様で、すぐに日本国籍に変える手続きをしていた。よねさんが、松平富二に、お父さんの心臓の調子が悪いと話した。

 その言葉通り、翌2000年1月8日、体調を崩し藤沢市民病院に入院し意識を回復することなく心筋梗塞でなくなった。葬儀は、家族葬として、松平富二が、母と、自分の奥さんと柳橋夫妻の5人で、藤沢のお寺で行い生前の父の希望通り相模湾を見渡せる墓地に埋葬した。


 そして、松平の母が、富二、独りぼっちにして、ごめんねと泣いてわびた。そして、遺産は、全て、富二に渡し、老人施設の費用を初め、全て、お願いしたいと言った。それに対して、何も言わず、承知しましたと、松平富二が、静かに答えた。

 それを見ていた松平富二の奥さんが、思わず、富二さんて、本当に偉いわと言うと泣きながら富二に抱きついた。それを見ていた柳橋夫妻が、松平夫妻の態度に感銘を受けて涙ぐんだ。その後、松平よねさんは、入居した老人施設に戻った。

 その後、その老人施設で、女性の友人ができ、楽しそうに暮らし始めた。そして、顔色が、戻ってきた頃より良くなり、元気を取り戻してきたように松平富二は、感じた。

 それからも松平夫妻は、母の所に、足繁く通いはじめた。この頃、西暦2000年であることをコンピュータが正常に認識できなくなるという問題が、ちまたで、ささやかれた。

 そして、2000年になると、世界中のコンピューターが狂って大変な事になると言う、「2000年問題」の噂が、まことしやかに語られた。しかし、その後、2000年を迎えたが、何の異常も見られなかった。

 そんな2000年3月1日、早朝、証券会社の担当者から電話でソニー株の気配値が、33700円で売りと助言され、全株、成り行き売りを指示。9時過ぎ、全株売れた。この結果、税引き後利益が、41800万円となり投資残金が55300万円となった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夜の物語たち

naomikoryo
現代文学
人生の交差点で紡がれる、ささやかな奇跡―― 誰もが日常の中で抱える葛藤、愛情、そして希望。 それらが交錯する瞬間を切り取り、***一話一話完結***の形でお届けします。 警察署で再会する別居中の家族、山奥で出会う見知らぬ登山者、深夜のコンビニで交わる不器用な恋……。 どの物語も、どこかで私たち自身を映し出すような人間模様が広がります。 「今、この瞬間にあなたが手にする何かが、誰かの物語と繋がるかもしれない」 ほろ苦い涙と優しい微笑みが胸に広がる、心に寄り添うオムニバス形式の珠玉の一冊。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

甘夏と青年

宮下
現代文学
病気が発覚し、仕事と恋人を失い人生に失望した日々を送る女性、律。 深い傷を抱え、田舎を訪れ己の正解を求める少年、智明。 そして二人と交わる、全てが謎に包まれた『マキ』と名乗る青年。 これは、海の見える土地で、ひと夏を全力で生きた、彼女彼らの物語。

小説練習帖 七月

犬束
現代文学
 ぐるぐる考えたけれども、具体的な物語が思いつかないので、焦っております。  人物造形もあやふややし。  だけど、始めなければ、『否応なしに』。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...