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37話:那覇での避寒暮らし

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 その後、物価が安くて、フランスパンを買い、ハム、卵、バター、昼は、近くの沖縄そばを食べて、夕飯は、おにぎりと、惣菜を買い、生活を続け、天気の良い日は、沖縄県庁前から海の方まで散歩して歩いた。また、気分転換に泊港という、那覇から離島へ行くフェリーが出ている所へ出かけてみた。

 そこには、格安で旨いステーキの店や海が見える喫茶店もあり、ちょくちょく行くようになった。買い物はホテルから近いリューボーというデパートで買い物をしたが、物価は安く助かった。1週過ぎた頃、ホテルの人による、軽く飲めて、健全で楽しいところないかと聞くと、ケントスが良いと言い、セット料金なら、そんなに高くないよと教えてもらい、那覇の繁華街、松山にある、ケントスへ出かけた。

 ケントスの回りはネオン輝く、高そうなキャバレー、クラブが多かった。そして、ホテルで教えられたように、ケントスに入店して、セット料金で、お願いした。すると、夜8時から、最初のステージが始まり1960年代の
アメリカのなつかしい、ロックが流れ、ポニーテールで派手な衣装の女の子と、リーゼントをビシッと決めた男が大きいマイクをもって、懐かしい曲を次々と歌い、リズムに合わせて女の子が踊る、お決まりのシーンが再現された。

 哲二と香織が感激して、ショーを見入っていた。そうして、3ステージを見ると夜11時となり、精算してタクシーで帰って来たが、タクシー代を入れても2人で1万円程度だった。その後のステージの予定表のパンフレットをもらって来て、毎週、出かけるようになった。

 そんな、ある日の朝、散歩して海辺に着いた時、見るからに汚い格好した浮浪者の様な男が、素っ裸になり海に入っていった。まさか入水自殺じゃないかとドキドキしていた時、タオルで身体を拭き始めたではないか、風呂代わりに海に入ったことがわかり、安心してみていた。

 すると持っていた袋からボロボロのパンのかけらと、どっかで見た発泡スチロールの皿に入ったポップコーン、サラミ、ポテトチップス、あれは、「ケントスのつまみ」よと、奥さんの香織さんが言った。これは、想像だが、那覇の繁華街で何回か、彼らのような浮浪者を見かけた、

 残飯をあさり食べられそうなものを集めて身体がよごれれば、海に入る生活をしているのかもしれない。ある意味、何てタフなんだろうと、哲二は、感心していた。そして那覇に来て泡盛も、いくつも飲んだが、残波・ホワイトが飲みやすく、哲二も香織さんも大好きになり一升瓶で購入して、部屋に置いた。

 スーパーで買ってきたソーキそば、ゴーヤチャンプルー、おにぎりと野菜とラフテーの組み合わせも絶品だった。その他には、ステーキハウスが、安くて、旨くて、ボリュームがあり、千円か2千円で美味しい牛ステーキが、おなかいっぱい食べられるのは、他の日本の都市ではあり得ないとやすさだと感じた。

 特に2人とも牛ステーキには目がないので、何回も有名な牛ーステーキのチェーン店に通った。そうして、2月も終わり、沖縄ではうりずんの季節・沖縄の春を迎えて、朝の寒さが、感じられなくなるのだ。3月1日、ホテル
を出て、那覇空港から羽田経由で、午後に、熱海に帰った。
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