徳川泰平の秘密

ハリマオ65

文字の大きさ
上 下
60 / 61

60話:ポルトガル離島巡り3

しおりを挟む
 次は、ラボ・デ・ペイシェ村にある農業協同組合のレストランへ、ここは、サン・ミゲル島内のみならず、ポルトガル全国的にその名声を博している。ステーキは色々な種類のソースがあり、それぞれ大きさと部位が3種類ずつ
ある。私は最もシンプルかつアソーレスらしいレジオナル・ステーキ小をテンダーロインのミディアムで注文した。

 地元ステーキとはピメントの塩漬けとニンニクがのっているもので、ソースもピメントのペーストと白ワインが
使われる。肉の旨さもさることながら、ソースの浸みたフライドポテトが激ウマで、芋の種類が違うのか中がとろけるようにクリーミィで、完食した。

 デザートは桑の実のアイスクリーム、リスボンではアソーレスレストランにもあるかどうか微妙なので、ヨーロッパ唯一の桑畑のあるサン・ミゲル島に来たらダイエットを中断しても是非味わいたい。3日目と4日目に泊まった貸別荘は、この山の手地区にある。

 昔はオレンジ
が名産だったが、病気で全滅し、新たな商品作物としてパイナップルが作られるようになった。私が借りた家は蜜柑荘・キンタ・ダス・タンジェリーナスといい、生垣に囲まれた小さな果樹園の中に造られた築6年の一戸建てである。車がやっと通れる細い道の奥にあり、付近にはスーパーも飲食店も何もないので、外食するにも買い出しするにも漁師町の方に降りて行かなくてはならない。

 幹線道路を西に向かって数分歩くと、テラス席のあるカフェが現れる。ヨーロッパ最貧の村で生まれたチョコレート専門店「ショコラティーニョ 」である。ベルギーで修行した若者が、アソーレス産の材料を使ったユニークな
チョコを製造販売し、チョコの他にケーキやサンドイッチなどの軽食も出す。

 ちょっとコーヒーを飲むために立ち寄ったのだが、チョコラティーニョのチョコレートは、アソーレス産のミルクがフルーツやカカオの刺激をまろやかに中和する。はっきり言ってヘーゼルナッツのプラリネばかり使ったゴディバ
よりも、ポルトのアルカディアよりもずっと美味しい。

 運転手さんが12時にロビーに迎えに来て、村のレストランで私を下ろし食事が終わる頃に再びやって来て宿まで送ってくれた。「ボテキン・アソレアーノ」は魚がメインの、おそらく村の誰もが推奨する店だ。まず島に来たら自分のお約束のカサガイを注文する。残念ながらアソーレス産ではなく、マデイラ産だが若干安いという事だ。

 アソーレスのカサガイは採る時期が決まっていて冬は流通しないそうだ。魚はペイシャン・大魚という名前の小さめの鯛のような魚であっさりした淡白な味だ。デザートはクルミのタルト。私はクルミが大好きなのだが、ポルトガルのクルミ系菓子には失望することが多かった。しかしこの店のはザクザクとクルミが使われていて食感と香ばしさが素晴らしい。カサガイや魚よりもクルミタルトの方が印象に残った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

曾祖母の秘密

ハリマオ65
現代文学
*祖先のお宝と突然の不幸、子供、親戚、友人への援助は、身を助けるものだ!! 1995年8月13日の早朝に電話が鳴り金井次郎と奥さんの交通事故で死亡を知る。幸い長女・秀子と長男・秀二は軽傷で済んだ。残された秀子、秀二の兄弟をどうするか親族会議を開き祖父の金井一郎の家に住んだ。その後、両親を亡くした金井秀子、秀二など若手も進路を決め家を後にした。金井義朗と一郎は仕事と投資で資産ふやしていくが。その後、巻き込まれ・・・。  是非、本編をご覧下さい、宜しくお願いします。この作品はカクヨク、星空文庫、ツギクル、小説家になろうに重複掲載。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

鑓水商人の子孫達

ハリマオ65
現代文学
*先を読んで金を掴め。稼いだ金を増やし、故郷の日本で、錦を飾れ!!  橫浜開港後、大勢の生糸商人が横浜へ。その中に八王子鑓水の商人がいた。安田亀吉は、鑓水の大島屋に丁稚奉公に入り商いを学び生糸を運び金をためた。その後、原善三郎の亀屋で雇われ、持ち金を亀屋に投資し番頭へ。さらにその金を船につぎ込み大金を得る。亀屋を退職後、マルセイユへ渡り安田商事で商売開始。第二次大後、世界を相手に安田商事で、儲け、子孫の家族が日本に戻り商売開始・・・。 この作品は小説家になろう、NOVELDAyS、に重複投稿。

裕福な同居人

ハリマオ65
現代文学
*素敵な笑顔と心の優しさは、身を助ける、心根の良さは、何よりまさるものだ!! 池田松男は貧農の生まれだが、勉強をして中央大学商学部夜間部を卒業。愛想が良く人なつっこい性格で友人も多く保険会社に入り活動を開始。入社3年目で多摩営業所、契約件数トップになり顧客の輪が広がった。その後、世田谷営業所の所長に出世したが、リストラ指令を断り退職。飯能に移り住み、近くに幼い兄弟が越して来た。彼らが、松男の笑顔と優しさにひかれ夕食を一緒に食べた。幼い娘に、お母さんと結婚してと突然、言われ・・・この後は、是非、本編をご覧下さい。 この作品は小説家になろう、ツギクル、カクヨムに重複投稿。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...