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第4部 花嫁(最終章)第十一話 エールの青
116、キス
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泉は穏やかで、頭を出して飛沫少なく泳ぐ二人に、水面に浮かぶカモたちは、少々毛色の変わった仲間でもあるかのように、受け入れてくれる。
目指す目的地は、近づくにつれて巨大な岩山が出現する。ロゼリアはすぐそばではなくて少し離れたところの岩場へ上がることにした。
対岸は岩がちである。一枚の岩が平らに削られているかのような巨大な岩で、僅かにくぼんだ所に雑草がまばらに生えている。
ロゼリアは体から雫を垂らしつつ、岩場に上がった。息が上がり、身体中が酸素を求めていた。一足ごとに崩れ落ちそうになる。背中を岩に預けるようにして腰をおろした。
背にした岩の向こう側が瀑布である。
霧のような細かな雫が降り注いでいる。ところどころ小さな虹が生まれていた。ひんやりと心地いい。
ジルコンも引き続いて上がり濡れた黒髪をかき上げる。
上半身裸でズボンは水をこれ以上ないほど吸っていて、見るからに重そうである。
「久々に泳いだからきつかったわ。他の人たちは?」
「俺以外にみんな自信がなかったようだ。ったく。泳げないあいつらもどうかと思うが、あなたはもっとどうしようもない。無鉄砲で、考えなしで、本当に姫なのか疑いたくなる。怒りを通り越して、むしろ、感心するぐらいだ」
ジルコンは軽く肩で息をしている。
曲げた膝を抱えて顔があげられないロゼリアと違って、身体の鍛え方が違うのだ。
膝に預けた顔を傾けてジルコンを盗み見た。
濡れた裸の上半身には細身ながら胸筋も三角筋もしっかりとついている。
水のしたたる髪は全てオールバックにして、くっきりと厳しい顔つきがあらわになって、秀麗である。イリスはジルコン狙いだった。
E国C国の姫たちが、ジルコンをあきらめきれずに誕生日の祝いにかこつけて再訪した気持ちもよくわかる。
ジルコンは婚約していても誰のものでもない。
だから、自分にもチャンスがあるかもしれないと夢を見てしまうのだ。
それは、ロゼリアも同じである。
ロゼリアは確たるものが欲しくてたまらない。
ジルコンは、ベルトにくくりつけた靴紐を解き、逆さにして水を切っていた。
ロゼリアはジルコンが靴を持ってきていたことに驚いた。
あの状況で靴を持ってきているところがさすがである。
ロゼリアに視線を合わせず、ジルコンは四囲を見回している。
懐かしそうに眼を細めている。
「ここに来たのは何年ぶりだろう。ここには古い遺跡があって、水場を守る祠があったはずだ。確か……」
「ううあ!」
ロゼリアは思わず呻いた。
はっとジルコンが振り返る。
この森には、ただの虫や蜂以外にも、毒虫も毒蛇もいる。
イノシシも狼もいる。
「どうした!?」
「足が、」
「足がどうした?」
ジルコンはロゼリアとの間を詰めた。
「つった」
そういうとジルコンの緊張が緩む。
「はあ?で、どっちの足だ?」
「右足」
「足を伸ばしてみろ、治してやる」
「いいえ、自分でできるわ」
「いいから足を貸せ」
ジルコンは片膝をつきロゼリアの右横にしゃがむ。
ロゼリアの右足を自分の立てた側の右足に乗せ足裏から足指にかけて右手を置いた。左手は膝の上にそえて、曲がらないように支え、右手に体重をかけて引っ張った。
ロゼリアの足指の裏側から足首ふくらはぎ、膝裏、太腿の裏側まで、絶妙の加減でストレッチされる。
「……きついか?」
「だ、大丈夫。イイ感じみたい。もういいわ」
「もう少し伸ばしてやる」
ジルコンは右手を添える足の甲側に顔をむけている。体を傾けているので、その黒髪の雫がロゼリアの胸に滴り落ちた。
不意に、ロゼリアは自分があられもない格好をしていることに気が付いた。
ブラとショーツの上に短いノースリーブの肌着を一枚まとっただけである。
その長さも腿の半分ほどしか隠れない長さで、めくれあがっている。
水にぬれた肌着はすけて肌に貼りついているし、本当は今すぐに脱いで、乾かしたいぐらいであるが、そんなことできそうにない。
ジルコンの頭はすぐそこで、ジルコンが顔を向ければロゼリアの鼻と突き合わせる形になってしまうだろう。
ロゼリアの膝上はジルコンの大きな手でつかまれている。
心臓が、ばくばくと叩き、滝の音と混ざり合った。
これは、非常に危うい形ではないか。
ジルコンは伸ばしていたロゼリアの足を、ジルコンの腿の上に曲げて休め、地面に置いた。
すぐそばにあった頭は離れていく。
ジルコンは立ち上がり、元いた対岸に目を向けながら足元を周ると今度は左脚の側に同様に膝をつく。
「左脚も伸ばしておいてやる。帰りは泉ではなくて陸路を回って戻るつもりだが。迎えも陸路で来るからここで待っていろと連絡があった」
「いつ」
「いま。太陽の反射で信号が送られている。そこにいろ、すぐ陸路でむかうと」
確かにちかちかと対岸から光るものがある。
「パジャンの手話のようなもの?」
「パジャンの?太陽光の反射の方が、手話よりもかなり距離があっても会話ができる。戦場での連絡手段の一つだが」
再びわずかに後ろ向きになって、今度はロゼリアの左足を腿に乗せて持ち上げ、同様にストレッチする。
再びその黒髪が、濡れた背中がロゼリアの顔に近くなる。
ロゼリアの手は、無意識のうちにジルコンの背中に引き寄せられるように伸びていた。
筋肉の筋がくっきりと見えて、肩甲骨が大きい。
濡れた体から水分が蒸発していくのに熱を奪ったのか、触れた身体はひんやりと冷たかった。
不意にストレッチが緩んだ。ジルコンの腿の上に、膝が曲げられて休められた。
その頭がくるりと回りロゼリアに向く。目と鼻の先にその顔があった。
ジルコンの顔は影となっていたが、表情が読めないほどではない。
目を見開き、驚いていた。
「どうしてあなたはこんなに無防備で、危うくて、そして美しくて……」
ジルコンが体に触れていたロゼリアの手を掴んだ。
その身体から引き離される代わりに、ジルコンの首にかけ直された。
ロゼリアの足はジルコンの脚の上にかけられたままの状態で、ジルコンは体をひねり、体ごと顔を寄せる。彼の足に押された自分の腿が腹に押し付けられた。
ジルコンの手はロゼリアの顔の横に、逃げ場をふさぐかのように岩につく。
ジルコンの手が、ロゼリアの頬に貼りついた髪を耳の後ろになでつけると、手のひらをロゼリアの頬に滑らせて顎に手をかけ顔を向けさせる。
心臓が飛び出しそうだった。
ジルコンはじっとロゼリアの唇を見つめていた。
バーベキューでロゼリアの口元のトウモロコシの欠片を見つめていたように。その視線は、腰がなぜられたかのようにくすぐったかった。
唇が重ねられる。
ひんやりとした唇から熱い舌がロゼリアの口内に侵入する。
どうしていいかわからず引っ込めようとした舌はぬめる舌にからめとられた。
こんなにやわらかなキスは知らない。
体が浮き上がるような気がする。
ジルコンの首に触れるロゼリアの手は震えた。
気持よさに喘ぎが漏れそうになる。
ジルコンの唇が離れた。
ジルコンの表情を読むには近すぎてわからない。
後悔しているのか、それとももっと触れ合いたいと思うのか。
「もっと……」
ロゼリアは首にかける手に力を込めた。離れようとする体を引き寄せる。
唇を突き出すようにキスをねだる。
「あなたが望むならば……」
ジルコンの声が上ずる。
ロゼリアに再びキスが与えられた。
今度はもっと激しく食らいつくようなキス。
ジルコンの腿に強く押さえられた己の脚が震え、身体の芯が蕩けた。
目指す目的地は、近づくにつれて巨大な岩山が出現する。ロゼリアはすぐそばではなくて少し離れたところの岩場へ上がることにした。
対岸は岩がちである。一枚の岩が平らに削られているかのような巨大な岩で、僅かにくぼんだ所に雑草がまばらに生えている。
ロゼリアは体から雫を垂らしつつ、岩場に上がった。息が上がり、身体中が酸素を求めていた。一足ごとに崩れ落ちそうになる。背中を岩に預けるようにして腰をおろした。
背にした岩の向こう側が瀑布である。
霧のような細かな雫が降り注いでいる。ところどころ小さな虹が生まれていた。ひんやりと心地いい。
ジルコンも引き続いて上がり濡れた黒髪をかき上げる。
上半身裸でズボンは水をこれ以上ないほど吸っていて、見るからに重そうである。
「久々に泳いだからきつかったわ。他の人たちは?」
「俺以外にみんな自信がなかったようだ。ったく。泳げないあいつらもどうかと思うが、あなたはもっとどうしようもない。無鉄砲で、考えなしで、本当に姫なのか疑いたくなる。怒りを通り越して、むしろ、感心するぐらいだ」
ジルコンは軽く肩で息をしている。
曲げた膝を抱えて顔があげられないロゼリアと違って、身体の鍛え方が違うのだ。
膝に預けた顔を傾けてジルコンを盗み見た。
濡れた裸の上半身には細身ながら胸筋も三角筋もしっかりとついている。
水のしたたる髪は全てオールバックにして、くっきりと厳しい顔つきがあらわになって、秀麗である。イリスはジルコン狙いだった。
E国C国の姫たちが、ジルコンをあきらめきれずに誕生日の祝いにかこつけて再訪した気持ちもよくわかる。
ジルコンは婚約していても誰のものでもない。
だから、自分にもチャンスがあるかもしれないと夢を見てしまうのだ。
それは、ロゼリアも同じである。
ロゼリアは確たるものが欲しくてたまらない。
ジルコンは、ベルトにくくりつけた靴紐を解き、逆さにして水を切っていた。
ロゼリアはジルコンが靴を持ってきていたことに驚いた。
あの状況で靴を持ってきているところがさすがである。
ロゼリアに視線を合わせず、ジルコンは四囲を見回している。
懐かしそうに眼を細めている。
「ここに来たのは何年ぶりだろう。ここには古い遺跡があって、水場を守る祠があったはずだ。確か……」
「ううあ!」
ロゼリアは思わず呻いた。
はっとジルコンが振り返る。
この森には、ただの虫や蜂以外にも、毒虫も毒蛇もいる。
イノシシも狼もいる。
「どうした!?」
「足が、」
「足がどうした?」
ジルコンはロゼリアとの間を詰めた。
「つった」
そういうとジルコンの緊張が緩む。
「はあ?で、どっちの足だ?」
「右足」
「足を伸ばしてみろ、治してやる」
「いいえ、自分でできるわ」
「いいから足を貸せ」
ジルコンは片膝をつきロゼリアの右横にしゃがむ。
ロゼリアの右足を自分の立てた側の右足に乗せ足裏から足指にかけて右手を置いた。左手は膝の上にそえて、曲がらないように支え、右手に体重をかけて引っ張った。
ロゼリアの足指の裏側から足首ふくらはぎ、膝裏、太腿の裏側まで、絶妙の加減でストレッチされる。
「……きついか?」
「だ、大丈夫。イイ感じみたい。もういいわ」
「もう少し伸ばしてやる」
ジルコンは右手を添える足の甲側に顔をむけている。体を傾けているので、その黒髪の雫がロゼリアの胸に滴り落ちた。
不意に、ロゼリアは自分があられもない格好をしていることに気が付いた。
ブラとショーツの上に短いノースリーブの肌着を一枚まとっただけである。
その長さも腿の半分ほどしか隠れない長さで、めくれあがっている。
水にぬれた肌着はすけて肌に貼りついているし、本当は今すぐに脱いで、乾かしたいぐらいであるが、そんなことできそうにない。
ジルコンの頭はすぐそこで、ジルコンが顔を向ければロゼリアの鼻と突き合わせる形になってしまうだろう。
ロゼリアの膝上はジルコンの大きな手でつかまれている。
心臓が、ばくばくと叩き、滝の音と混ざり合った。
これは、非常に危うい形ではないか。
ジルコンは伸ばしていたロゼリアの足を、ジルコンの腿の上に曲げて休め、地面に置いた。
すぐそばにあった頭は離れていく。
ジルコンは立ち上がり、元いた対岸に目を向けながら足元を周ると今度は左脚の側に同様に膝をつく。
「左脚も伸ばしておいてやる。帰りは泉ではなくて陸路を回って戻るつもりだが。迎えも陸路で来るからここで待っていろと連絡があった」
「いつ」
「いま。太陽の反射で信号が送られている。そこにいろ、すぐ陸路でむかうと」
確かにちかちかと対岸から光るものがある。
「パジャンの手話のようなもの?」
「パジャンの?太陽光の反射の方が、手話よりもかなり距離があっても会話ができる。戦場での連絡手段の一つだが」
再びわずかに後ろ向きになって、今度はロゼリアの左足を腿に乗せて持ち上げ、同様にストレッチする。
再びその黒髪が、濡れた背中がロゼリアの顔に近くなる。
ロゼリアの手は、無意識のうちにジルコンの背中に引き寄せられるように伸びていた。
筋肉の筋がくっきりと見えて、肩甲骨が大きい。
濡れた体から水分が蒸発していくのに熱を奪ったのか、触れた身体はひんやりと冷たかった。
不意にストレッチが緩んだ。ジルコンの腿の上に、膝が曲げられて休められた。
その頭がくるりと回りロゼリアに向く。目と鼻の先にその顔があった。
ジルコンの顔は影となっていたが、表情が読めないほどではない。
目を見開き、驚いていた。
「どうしてあなたはこんなに無防備で、危うくて、そして美しくて……」
ジルコンが体に触れていたロゼリアの手を掴んだ。
その身体から引き離される代わりに、ジルコンの首にかけ直された。
ロゼリアの足はジルコンの脚の上にかけられたままの状態で、ジルコンは体をひねり、体ごと顔を寄せる。彼の足に押された自分の腿が腹に押し付けられた。
ジルコンの手はロゼリアの顔の横に、逃げ場をふさぐかのように岩につく。
ジルコンの手が、ロゼリアの頬に貼りついた髪を耳の後ろになでつけると、手のひらをロゼリアの頬に滑らせて顎に手をかけ顔を向けさせる。
心臓が飛び出しそうだった。
ジルコンはじっとロゼリアの唇を見つめていた。
バーベキューでロゼリアの口元のトウモロコシの欠片を見つめていたように。その視線は、腰がなぜられたかのようにくすぐったかった。
唇が重ねられる。
ひんやりとした唇から熱い舌がロゼリアの口内に侵入する。
どうしていいかわからず引っ込めようとした舌はぬめる舌にからめとられた。
こんなにやわらかなキスは知らない。
体が浮き上がるような気がする。
ジルコンの首に触れるロゼリアの手は震えた。
気持よさに喘ぎが漏れそうになる。
ジルコンの唇が離れた。
ジルコンの表情を読むには近すぎてわからない。
後悔しているのか、それとももっと触れ合いたいと思うのか。
「もっと……」
ロゼリアは首にかける手に力を込めた。離れようとする体を引き寄せる。
唇を突き出すようにキスをねだる。
「あなたが望むならば……」
ジルコンの声が上ずる。
ロゼリアに再びキスが与えられた。
今度はもっと激しく食らいつくようなキス。
ジルコンの腿に強く押さえられた己の脚が震え、身体の芯が蕩けた。
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