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第十話 ダンス勝負
104-2、鎮魂祭 ②
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地面には白杖が転がっていて、ロゼリアは盲人とぶつかったことを知って焦った。
「すみません。後ろを見ていなくて。お怪我はありませんか?」
背中を支えて体を起こした。男は50代ぐらい。目にはまっすぐに横に走る傷があった。
ロゼリアはその生々しさに慄いた。これは戦の傷である。
「ああ、大丈夫」
男性が周囲を探る。咄嗟に白杖を掴んで握らせ、転がった彼の荷物をその胸に押し付けた。
立とうとするのでその手を取ったが、男はロゼリアの手を遠慮し、白杖をぬかるみに突き立てた。
「どちらにいかれますか?そこまで一緒にいきましょうか」
「いやいいよ。大丈夫だから。方向さえ教えてくれればなんとかなる」
行きたいという方向へ手を引こうとするのを、盲人は頑なに断り続ける。
そこへ、ララが駆け付けた。
「まあ、おじさま、大丈夫ですか?学校に用事ですか?祭壇の方の準備が終わりましたので、わたしも行きますわ」
ララはロゼリアの代わりに男の手を取った。
ロゼリアが驚いたことに、ララがおじさまという盲人は、すなおに手を引かれている。しかも白杖は手に持ってはいるが地面につけもしていなかった。
帰ってきたララにロゼリアは腑に落ちないと思ったことをきく。
「どうして、わたしが手を引こうとしたら拒絶したのに、ララだと手をひかせたのかしら。ララが、血縁で、美人だから?」
「なんですって?血縁なんてないわよ。あのおじさまは盲学校で働いている人よ。毎年わたしが訪れるからすっかり知り合いになったし、その都度手をひいていたりしたから、わたしも彼も慣れているというか、信頼関係があるからかしら」
「信頼……」
ロゼリアは繰り返した。
何かひらめくものがあった。
「信頼関係が築けていたら、眼が見えなくても体を預けてしまえるということ?」
「そのとおりねえ」
幌馬車の荷物は残り少なくなり、荷物は一つにまとめられた。
黒騎士たちはジャケットを脱ぎ、ジルコンも黒金のジャケットをぬぎ、襟元を緩めていた。馬の派手な胴飾りは裏向けにされ、地味な革面にしている。
「ここまで付き合ってくれたので十分だ。姫とララはもう城に戻れ。俺たちで運ぶ」
ジルコンはララに言う。
「わたしは大丈夫よ。最後まで付き合うわ」
ジルコンはロゼリアに顔を向ける。
「馬車もないが。アヤにでも送らせる」
アヤはすました顔でロゼリアにうなずいた。
「その幌馬車に乗っていく」
ジルコンは呆れたようにロゼリアを見た。
「勝手にしろ。ララは?」
「ロゼリアさまがいくというのならわたしも」
ジルコンが舌打ちする。
「気を付けろ。これから最も治安が悪いところに行くのだから」
馬車が通れないところに差し掛かり、ジルコンたちは手分けして馬に荷物を載せる。
歓楽街のすぐ裏手である。
迷路のように入り組んだ路地を行く。
表の賑々しく飾り付けられていた町と様相は一変する。
足元には生ごみが落ちていたり、路上で酒を飲んでいるものたちもいた。
発育不良の就学前の子供たちが走って遊び、日も落ちていないのにやせた女が胸元を露出し路上に立つ。
片腕がなかったり義足だったり、片眼を眼帯したりするガタイのいい男たちが店前にたむろし、荷物を運ぶジルコン王子の一行を胡散臭げに見ていた。
ジルコンはロゼリアをすぐ後ろに歩かせた。ララもその後ろに付いた。
横にはジムが、ララの横にはアヤが立ち、剣の柄にさりげなく手を置く。
黒騎士たち全員が取り囲むようにジルコンとロゼリアとララを守っていた。
これが同じ王都なのか。
ロゼリアは愕然とする。
ジルコンは子供の頭を撫で、ご飯は食べているかと声をかけた。
からだの大きさに合わない服を着た子供たちは、ジルコンや黒騎士たちに絡みついて喜んでいた。
「ここが最後のところなの?」
「そうです。ここまで来たのはわたしも初めてで。早く仕事を終わらせましょう」
ララは肩をすぼめ顔をしかめている。しきりに建物の間の空を確認し、日が落ちていくのを気にしている。
まだ完全な日暮れには数時間ほど時間がある。
「ここは国の援助の手が届かないところ。なかったことにされたところだ。逃亡軍人、犯罪者、私生児、薬漬けで立ち直れないものたち。体を売らなければ生きていけない女たち。そんな者たちが吹きだまる。犯罪者もそんな弱者を隠れ蓑にして潜んでいる」
ジルコンは正面を見据えている。顔には苦悩がにじむ。
「戦争が残した爪痕だともいえるし、エール国の怠慢だともいえる。父が何もしないのであれば、俺がなんとかしなければならない。この裏社会に生きる者こそ、鎮魂の供物を必要としている」
案内が示したのは路地の一角にしつらえられたただの台である。花が数輪、無造作に散らばっていた。これ以上ないほどみすぼらしい祭壇であった。
無言で騎士たちにより荷物が積み上げられていく。
ララがそれでも見栄えよく配置するように指示をした。
建物の影から、うす暗い窓からこちらをうかがう無数の視線をロゼリアは感じた。
たとえララが頑張り綺麗にしつらえたとしても、彼らがいなくなれば一瞬のうちに、持ち去られていくのだろう。
「……お姉ちゃん、生者にお菓子を?」
ロゼリアのスカートの裾をそっと引いた者がいる。
薄暗い路地から手を伸ばしてロゼリアにわかるように半分だけ顔をさらしている。
12歳ぐらいの女の子である。
ぱっちりとした目がこの裏路地に似合わず愛らしい。
ロゼリアはずっと籠を握りしめていたことに気が付いた。
籠の菓子はたっぷりと補充している。
菓子の袋をみっつほど握らせようと女の子の方に手を伸ばす。
「ありがとう!きれいなお姉ちゃん。まだ向こうに幼い妹たちがいるんだ。ついてきて!」
ロゼリアは菓子の代わりに手首を掴まれた。
女の子にしては力強い。
引きずられるようにしてロゼリアは路地に足を踏み入れた。
だがロゼリアは手を振り払うのをためらってしまった。女の子の身体の細さが痛々しかったのだ。
路地に入ってすぐに、ロゼリアは何かにぶつかった。
悲鳴を上げる前に体が浮く。酒の匂いのする生暖かい何かに口鼻を抑えられた。
武骨な大人の男の手だった。
「暴れると怪我するぞ」
酒で焼けて割れた声。
ロゼリアは誘拐されたのである。
「すみません。後ろを見ていなくて。お怪我はありませんか?」
背中を支えて体を起こした。男は50代ぐらい。目にはまっすぐに横に走る傷があった。
ロゼリアはその生々しさに慄いた。これは戦の傷である。
「ああ、大丈夫」
男性が周囲を探る。咄嗟に白杖を掴んで握らせ、転がった彼の荷物をその胸に押し付けた。
立とうとするのでその手を取ったが、男はロゼリアの手を遠慮し、白杖をぬかるみに突き立てた。
「どちらにいかれますか?そこまで一緒にいきましょうか」
「いやいいよ。大丈夫だから。方向さえ教えてくれればなんとかなる」
行きたいという方向へ手を引こうとするのを、盲人は頑なに断り続ける。
そこへ、ララが駆け付けた。
「まあ、おじさま、大丈夫ですか?学校に用事ですか?祭壇の方の準備が終わりましたので、わたしも行きますわ」
ララはロゼリアの代わりに男の手を取った。
ロゼリアが驚いたことに、ララがおじさまという盲人は、すなおに手を引かれている。しかも白杖は手に持ってはいるが地面につけもしていなかった。
帰ってきたララにロゼリアは腑に落ちないと思ったことをきく。
「どうして、わたしが手を引こうとしたら拒絶したのに、ララだと手をひかせたのかしら。ララが、血縁で、美人だから?」
「なんですって?血縁なんてないわよ。あのおじさまは盲学校で働いている人よ。毎年わたしが訪れるからすっかり知り合いになったし、その都度手をひいていたりしたから、わたしも彼も慣れているというか、信頼関係があるからかしら」
「信頼……」
ロゼリアは繰り返した。
何かひらめくものがあった。
「信頼関係が築けていたら、眼が見えなくても体を預けてしまえるということ?」
「そのとおりねえ」
幌馬車の荷物は残り少なくなり、荷物は一つにまとめられた。
黒騎士たちはジャケットを脱ぎ、ジルコンも黒金のジャケットをぬぎ、襟元を緩めていた。馬の派手な胴飾りは裏向けにされ、地味な革面にしている。
「ここまで付き合ってくれたので十分だ。姫とララはもう城に戻れ。俺たちで運ぶ」
ジルコンはララに言う。
「わたしは大丈夫よ。最後まで付き合うわ」
ジルコンはロゼリアに顔を向ける。
「馬車もないが。アヤにでも送らせる」
アヤはすました顔でロゼリアにうなずいた。
「その幌馬車に乗っていく」
ジルコンは呆れたようにロゼリアを見た。
「勝手にしろ。ララは?」
「ロゼリアさまがいくというのならわたしも」
ジルコンが舌打ちする。
「気を付けろ。これから最も治安が悪いところに行くのだから」
馬車が通れないところに差し掛かり、ジルコンたちは手分けして馬に荷物を載せる。
歓楽街のすぐ裏手である。
迷路のように入り組んだ路地を行く。
表の賑々しく飾り付けられていた町と様相は一変する。
足元には生ごみが落ちていたり、路上で酒を飲んでいるものたちもいた。
発育不良の就学前の子供たちが走って遊び、日も落ちていないのにやせた女が胸元を露出し路上に立つ。
片腕がなかったり義足だったり、片眼を眼帯したりするガタイのいい男たちが店前にたむろし、荷物を運ぶジルコン王子の一行を胡散臭げに見ていた。
ジルコンはロゼリアをすぐ後ろに歩かせた。ララもその後ろに付いた。
横にはジムが、ララの横にはアヤが立ち、剣の柄にさりげなく手を置く。
黒騎士たち全員が取り囲むようにジルコンとロゼリアとララを守っていた。
これが同じ王都なのか。
ロゼリアは愕然とする。
ジルコンは子供の頭を撫で、ご飯は食べているかと声をかけた。
からだの大きさに合わない服を着た子供たちは、ジルコンや黒騎士たちに絡みついて喜んでいた。
「ここが最後のところなの?」
「そうです。ここまで来たのはわたしも初めてで。早く仕事を終わらせましょう」
ララは肩をすぼめ顔をしかめている。しきりに建物の間の空を確認し、日が落ちていくのを気にしている。
まだ完全な日暮れには数時間ほど時間がある。
「ここは国の援助の手が届かないところ。なかったことにされたところだ。逃亡軍人、犯罪者、私生児、薬漬けで立ち直れないものたち。体を売らなければ生きていけない女たち。そんな者たちが吹きだまる。犯罪者もそんな弱者を隠れ蓑にして潜んでいる」
ジルコンは正面を見据えている。顔には苦悩がにじむ。
「戦争が残した爪痕だともいえるし、エール国の怠慢だともいえる。父が何もしないのであれば、俺がなんとかしなければならない。この裏社会に生きる者こそ、鎮魂の供物を必要としている」
案内が示したのは路地の一角にしつらえられたただの台である。花が数輪、無造作に散らばっていた。これ以上ないほどみすぼらしい祭壇であった。
無言で騎士たちにより荷物が積み上げられていく。
ララがそれでも見栄えよく配置するように指示をした。
建物の影から、うす暗い窓からこちらをうかがう無数の視線をロゼリアは感じた。
たとえララが頑張り綺麗にしつらえたとしても、彼らがいなくなれば一瞬のうちに、持ち去られていくのだろう。
「……お姉ちゃん、生者にお菓子を?」
ロゼリアのスカートの裾をそっと引いた者がいる。
薄暗い路地から手を伸ばしてロゼリアにわかるように半分だけ顔をさらしている。
12歳ぐらいの女の子である。
ぱっちりとした目がこの裏路地に似合わず愛らしい。
ロゼリアはずっと籠を握りしめていたことに気が付いた。
籠の菓子はたっぷりと補充している。
菓子の袋をみっつほど握らせようと女の子の方に手を伸ばす。
「ありがとう!きれいなお姉ちゃん。まだ向こうに幼い妹たちがいるんだ。ついてきて!」
ロゼリアは菓子の代わりに手首を掴まれた。
女の子にしては力強い。
引きずられるようにしてロゼリアは路地に足を踏み入れた。
だがロゼリアは手を振り払うのをためらってしまった。女の子の身体の細さが痛々しかったのだ。
路地に入ってすぐに、ロゼリアは何かにぶつかった。
悲鳴を上げる前に体が浮く。酒の匂いのする生暖かい何かに口鼻を抑えられた。
武骨な大人の男の手だった。
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