5 / 22
第一夜 危険な出会い
4、弓とクロスボウ
しおりを挟む
きじは大変美味である。
リシアは料理人が喜ぶ顔が浮かんでつい追いかけてしまっていた。
はじめのうちは後ろからクレイの自分を呼ぶ声が聞こえる。
その声はどんどん遠くになっていくこともあまり意識をしていなかった。
飛び上がっては走り、立ち止まる。
その誘うようなきじしか、リシアには見えていなかった。
狙いに狙った最初の矢を外したとき、思いがけず、森の奥まで来てしまったことにようやく気がついた。
人の踏みいることはめったにない、しんしんと深い森の中である。
獲物に集中をしていたために、方向感覚が怪しい。
このままクレイが探しに来るのを待つか迷う。
とはいえ、森を遊び場に育ったリシアである。
岩山をみれば位置関係がわかる。
少し息を整え、拓けた場所を探して移動することにした。
少しすると、明るく拓けた場所を見つける。そして、草をはむ牝鹿を少し先にみる。
鹿は森の神からの贈り物だった。
鹿は飢えをしのげる栄養豊かな肉を、服にも靴に加工できる革を森の民にもたらしてくれる。
だから牝は狩り対象にはならない。
また来年、彼らは子供を連れてリシアたちの前に現れてくれるのだ。
リシアは同時に、人の気配を感じる。
鹿のいる陽だまりの奥の藪に、その鹿を狙うものがいた。
迷わずリシアはそこへ、弓を引き絞る。
「やめなさい。あれは狩ってはならないわ!」
いきなり投げ掛けられた鋭い恫喝の声に、牝鹿は驚き顔をあげるとぽんと飛んで藪に消える。
「くそっ。邪魔するな」
外国語だった。
藪の中から男が体を起こした。
黒髪黒目、手にはデクロアにはない威力の強そうな飛び道具が構えられ、そのままリシアを探しあて心臓を狙う。
そういう、リシアも弓矢を構えている。
男が、リシアを上から下まで眺めた。
情け容赦のない鋭い、強者の目であった。
二人は陽だまりの端と端で、にらみあった。
殺られる!
感じたことのない戦慄にリシアの心臓はとびあがり、早鐘を打つ。
額に手に背中に一気に汗が吹き出した。
お互いに相手の心臓を殺気を込めた目と弓で狙いあう。
それが、デクロアの跳ねっ返りの姫リシアと、ベルゼラ国第二王子アズールの出会いであった。
張りつめた空気を破ったのはアズールの方だった。
「わたしが下ろすからあなたもわたしを狙わないでくれないか?わたしの言葉はわかるか?」
アズールは相手が娘と知り優しく声を掛ける。
彼の目的は森で狩りをすることではない。
ただの遊びの鹿狩りに失敗したからといって人を殺すことはない。
既に多くの血が流れている。
「もちろん」
ベルゼラ語だった。
リシアは用心しながら弓矢を下げる。
アズールも下げ、立ち上がった。
クロスボウから矢を外し、腰の筒にいれる。
リシアは内心ほっとする。
武器の威力ではかなわない。
「こんなところで、娘に会うとは思わなかった。デクロアでは女も狩りをするのか?」
堂々と陽だまりを歩く男の姿にリシアは釘付けになる。
鎖帷子が鈍く木漏れ日を反射させている。
近付いてきた男は端正な男だった。
若いがリシアよりも年上だ。
「今夜は来客があるから特別なの。それより、牝の鹿を狩ることは許されていないわ。あなたは密猟者?だったらとっとと帰ることね!」
流暢なベルゼラ語を話す。
どこか音楽的な響きもある。
言葉の内容はそっけないとはいえ、アズールは自国の言葉をこのように美しく話す者を知らない。
「密猟といえばそうなるのか」
男は目を細めて娘をみる。
リシアはその目に危険な色をみる。
値踏みするぶしつけな目である。
リシアは自分にそのような視線を向ける者を知らない。
リシアは美貌も色気もないとはいえ、王族の姫に生まれついているため、敬われることはあっても、素の彼女自身を値踏みされることはあまりない。
「お前たちの国のルールを知らなくてすまなかった。お前はひとりか?ここから抜けて、街道に残してきた者たちと合流して、王都にいきたいのだが」
「ベルゼラ国の使者なの?」
声が低くなる。
目の前の危険な男は、姉たちのどちらかを花嫁として迎えに来た一行のひとりのようだった。
昨晩の早駆の使者は、彼を含めた一行の到着を告げていたのだった。
「ああ。王子の、、、騎士だ。ラリマーという」
アズール王子はなぜか王子と知られたくなかった。手を差し出す。
「わたしは、シーアよ」
リシアも偽名を名乗る。
リシアはブルーグレイの目で、端正な男の目を覗きこむ。
そのどこまでも深い漆黒の目に、見たことのない異国の風景が見えるような気がした。
リシアはその手を握る。
固く厚い剣を握る手だった。
「娘がひとり危険ではないか?」
「あなたが、オオカミにならない限り大丈夫よ!それにわたしは骨と皮しかないから美味しくない。
それより、貴方の肩に座らせてもらえない?岩山を確認したいの。
仲間とはぐれてしまった」
アズールはひょいと娘を肩に乗せる。
細く軽い体であった。
「見えるか?」
「うーん?森が高いわ。立ってもいい?」
リシアは肩車からアズールの頭に手を置き、肩を台にして立ち上がる。ふくらはぎで頭を挟む。
グラッと来て、アズールは足首をつかむ。
「ばかっ!!上を見るな!踏ん張って!!」
発破をかけられ、アズールは上げかけた顔を正面に戻す。
ベルゼラの王子に生れつき、ばかっと言われたことも、土足で肩を踏まれるのも初めてだった。
女から命令口調で言われるのも初めてだった。だがなぜか不快には感じない。
もちろん秘事の時を除いてのことではあるが。
娘の声の、美しい音楽的な響きをアズールは気に入ってしまった。
「わかったわ!離して」
リシアは再び頭に手を置き、肩車に戻り、すぐさま、アズールの背後に着地する。
軽い身のこなしだった。
デクロアの娘は木登りもするのかも知れない。
例えば、高く届かないところの無花果を収穫するときとか。
「場所はわかったわ。あなたはひとりよね?
迷子のようだから、途中まで連れていってあげる。
狩りをして寄道する使者なんて知らないわ!」
リシアは確認した方向に森へ再び入る。
「狩りは狩りだが、道があんまりくねくねしていたので、真っ直ぐに進めるのではないかと思ったんだが」
リシアは慎重に驚きを隠す。
「街道が安全で早いわ。帰りは街道から反れないでね!」
その時はリシアは、場所も確認できたので、すぐにクレイと合流できると楽観的に思っていたのだった。
リシアは料理人が喜ぶ顔が浮かんでつい追いかけてしまっていた。
はじめのうちは後ろからクレイの自分を呼ぶ声が聞こえる。
その声はどんどん遠くになっていくこともあまり意識をしていなかった。
飛び上がっては走り、立ち止まる。
その誘うようなきじしか、リシアには見えていなかった。
狙いに狙った最初の矢を外したとき、思いがけず、森の奥まで来てしまったことにようやく気がついた。
人の踏みいることはめったにない、しんしんと深い森の中である。
獲物に集中をしていたために、方向感覚が怪しい。
このままクレイが探しに来るのを待つか迷う。
とはいえ、森を遊び場に育ったリシアである。
岩山をみれば位置関係がわかる。
少し息を整え、拓けた場所を探して移動することにした。
少しすると、明るく拓けた場所を見つける。そして、草をはむ牝鹿を少し先にみる。
鹿は森の神からの贈り物だった。
鹿は飢えをしのげる栄養豊かな肉を、服にも靴に加工できる革を森の民にもたらしてくれる。
だから牝は狩り対象にはならない。
また来年、彼らは子供を連れてリシアたちの前に現れてくれるのだ。
リシアは同時に、人の気配を感じる。
鹿のいる陽だまりの奥の藪に、その鹿を狙うものがいた。
迷わずリシアはそこへ、弓を引き絞る。
「やめなさい。あれは狩ってはならないわ!」
いきなり投げ掛けられた鋭い恫喝の声に、牝鹿は驚き顔をあげるとぽんと飛んで藪に消える。
「くそっ。邪魔するな」
外国語だった。
藪の中から男が体を起こした。
黒髪黒目、手にはデクロアにはない威力の強そうな飛び道具が構えられ、そのままリシアを探しあて心臓を狙う。
そういう、リシアも弓矢を構えている。
男が、リシアを上から下まで眺めた。
情け容赦のない鋭い、強者の目であった。
二人は陽だまりの端と端で、にらみあった。
殺られる!
感じたことのない戦慄にリシアの心臓はとびあがり、早鐘を打つ。
額に手に背中に一気に汗が吹き出した。
お互いに相手の心臓を殺気を込めた目と弓で狙いあう。
それが、デクロアの跳ねっ返りの姫リシアと、ベルゼラ国第二王子アズールの出会いであった。
張りつめた空気を破ったのはアズールの方だった。
「わたしが下ろすからあなたもわたしを狙わないでくれないか?わたしの言葉はわかるか?」
アズールは相手が娘と知り優しく声を掛ける。
彼の目的は森で狩りをすることではない。
ただの遊びの鹿狩りに失敗したからといって人を殺すことはない。
既に多くの血が流れている。
「もちろん」
ベルゼラ語だった。
リシアは用心しながら弓矢を下げる。
アズールも下げ、立ち上がった。
クロスボウから矢を外し、腰の筒にいれる。
リシアは内心ほっとする。
武器の威力ではかなわない。
「こんなところで、娘に会うとは思わなかった。デクロアでは女も狩りをするのか?」
堂々と陽だまりを歩く男の姿にリシアは釘付けになる。
鎖帷子が鈍く木漏れ日を反射させている。
近付いてきた男は端正な男だった。
若いがリシアよりも年上だ。
「今夜は来客があるから特別なの。それより、牝の鹿を狩ることは許されていないわ。あなたは密猟者?だったらとっとと帰ることね!」
流暢なベルゼラ語を話す。
どこか音楽的な響きもある。
言葉の内容はそっけないとはいえ、アズールは自国の言葉をこのように美しく話す者を知らない。
「密猟といえばそうなるのか」
男は目を細めて娘をみる。
リシアはその目に危険な色をみる。
値踏みするぶしつけな目である。
リシアは自分にそのような視線を向ける者を知らない。
リシアは美貌も色気もないとはいえ、王族の姫に生まれついているため、敬われることはあっても、素の彼女自身を値踏みされることはあまりない。
「お前たちの国のルールを知らなくてすまなかった。お前はひとりか?ここから抜けて、街道に残してきた者たちと合流して、王都にいきたいのだが」
「ベルゼラ国の使者なの?」
声が低くなる。
目の前の危険な男は、姉たちのどちらかを花嫁として迎えに来た一行のひとりのようだった。
昨晩の早駆の使者は、彼を含めた一行の到着を告げていたのだった。
「ああ。王子の、、、騎士だ。ラリマーという」
アズール王子はなぜか王子と知られたくなかった。手を差し出す。
「わたしは、シーアよ」
リシアも偽名を名乗る。
リシアはブルーグレイの目で、端正な男の目を覗きこむ。
そのどこまでも深い漆黒の目に、見たことのない異国の風景が見えるような気がした。
リシアはその手を握る。
固く厚い剣を握る手だった。
「娘がひとり危険ではないか?」
「あなたが、オオカミにならない限り大丈夫よ!それにわたしは骨と皮しかないから美味しくない。
それより、貴方の肩に座らせてもらえない?岩山を確認したいの。
仲間とはぐれてしまった」
アズールはひょいと娘を肩に乗せる。
細く軽い体であった。
「見えるか?」
「うーん?森が高いわ。立ってもいい?」
リシアは肩車からアズールの頭に手を置き、肩を台にして立ち上がる。ふくらはぎで頭を挟む。
グラッと来て、アズールは足首をつかむ。
「ばかっ!!上を見るな!踏ん張って!!」
発破をかけられ、アズールは上げかけた顔を正面に戻す。
ベルゼラの王子に生れつき、ばかっと言われたことも、土足で肩を踏まれるのも初めてだった。
女から命令口調で言われるのも初めてだった。だがなぜか不快には感じない。
もちろん秘事の時を除いてのことではあるが。
娘の声の、美しい音楽的な響きをアズールは気に入ってしまった。
「わかったわ!離して」
リシアは再び頭に手を置き、肩車に戻り、すぐさま、アズールの背後に着地する。
軽い身のこなしだった。
デクロアの娘は木登りもするのかも知れない。
例えば、高く届かないところの無花果を収穫するときとか。
「場所はわかったわ。あなたはひとりよね?
迷子のようだから、途中まで連れていってあげる。
狩りをして寄道する使者なんて知らないわ!」
リシアは確認した方向に森へ再び入る。
「狩りは狩りだが、道があんまりくねくねしていたので、真っ直ぐに進めるのではないかと思ったんだが」
リシアは慎重に驚きを隠す。
「街道が安全で早いわ。帰りは街道から反れないでね!」
その時はリシアは、場所も確認できたので、すぐにクレイと合流できると楽観的に思っていたのだった。
5
お気に入りに追加
1,553
あなたにおすすめの小説
クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~
いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。
橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。
互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。
そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。
手段を問わず彼を幸せにすること。
その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく!
選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない!
真のハーレムストーリー開幕!
この作品はカクヨム等でも公開しております。
転生幽霊は悪役令嬢の味方です
波湖 真
恋愛
「クリスティーナ!貴女を悪役令嬢ではなくて、完璧令嬢として幸せにしてみせる。」
異世界に幽霊として転生したアカネは大好きだった悪役令嬢クリスティーナの幸せの為、今日もせっせと動いていた。
王子や兄そしてヒロインも巻き込んでついでに王国の危機まで回避してみせます。
ひょんなことから幽霊となったアカネと悪役令嬢クリスティーナが幸せを掴むまでの物語です。
全42話です
毎日21時に更新します。
完結済みです。
第12回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる