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第4話 王の器
50、岩場の温泉※
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「ラズ、、、ラズ、、、」
名前が呼ばれている。
返事をしないとと思うが気だるさに支配されてまぶたが重く、億劫だった。
ラズはふわりと浮遊感を感じる。方向感覚が麻痺した、たゆたう感覚。
抱きかかえられたとわかるまでに、部屋から連れ出されていた。
揺れる体と首に腕を巻き付かせ、夢中でしがみついた。知っている匂い。小鼻をヒクつかせてラズは一杯に取り込んだ。
無理矢理目を開ける。黒に金の刺繍がすぐそこにあった。
「シディ?」
既に屋外へ出ていて、闇が重く落ちる中、先行く者の灯りを頼りに小風にざわつく木立を抜ける。
どこともなく漂ってくる女たちの笑い声に笛の音。後宮沿いを歩いているのがわかる。
賑やかな様子から、まだ夜もそんなに遅くない時間帯だとわかった。
「どこへ、、?」
ようやく訊く。
たゆたう感覚とシディの匂いとひんやりした夜風が心地良くて行き先はどこでもいい感じがした。
「今日は頑張ってただろう。だから体を癒しに温泉に浸かろうかと連れ出した」
「温泉、、、」
そういえば温泉があると聞いていた。
「天然の岩場の温泉だ。人払いを済ませているので二人だけで入れる。
町中にもそういった温泉場があり、ボリビア人は温泉好きだ。一日の疲れを癒したり、怪我の療養に多くの者が利用している、、、」
急に、抱きかかえられているのが恥ずかしくなる。シディも疲れているはずだった。
半日訓練に付き合っただけでも部屋に戻るなり前後不覚に寝てしまうぐらいクタクタなのだから。
「下ろして。自分で歩く」
「もう少しだけつかまっていろ」
ラズは岩場の間に下ろされた。
その奥から軽く硫黄の香る蒸気がもわっと吹き出していた。空気は重くじっとりと足に巻き付き絡み付き抜けていく。
夜の空気はここだけ暖かかった。
前を歩くクリスはひとかたまりに持っていた燭台の灯りの三つのうちのひとつを岩の間に差し込むように据えた。
二つ目は、足元を照らせるように低めに据える。
最後のひとつはシディが受取り、奥へと置いた。
三つ目が照らしたのは岩場の洞窟の、いまにも滴り落ちそうなつららのようなものが固まった天井と緑の粒が煌めく岩の壁と、とうとうと湛えた明度の高い湯殿である。
天然の洞窟風呂がそこにあった。
湯に落ち葉がいくつか浮かぶが、きれいに整えられているようだった。
白い蒸気が立ちあがり、出口を求めて足元だけでなく二人にもあっと迫ってきた。
外で脱ぐことためらっているラズに構わず、シディはすべて脱ぐ。
ぐずぐずしているラズを見て呆れる。
「何を躊躇している?朝から騎士のトレーニングメニューに付き合って疲れただろう?今日中に湯に浸かり、筋肉をほぐしておいた方が明日が楽だぞ」
ラズも服を脱ごうとしたが、腕は重く痛い。腕だけでなく全身がそうだった。
ああ、脱ぎたくないではなくて脱げないのだな、とあははっと笑ってシディは頭から脱がせる。
夜着はすっぽりと被る単純な貫頭着である。
シディはその下に何も身に付けていないのを知り、目を細めて口許を弛めた。
「体がいうことをきかないならもう一度つかまれ」
再びラズは抱きかかえられると、恐れげもなくするするとシディは湯に足を入れてゆったりと心地よ良く落ち着ける位置を探る。
そして腰を下ろすとラズも湯に沈んでいく。
腕がほどかれ、促されるままにシディの胸を背中に、立てた膝の間に守られるように囲まれて、ラズはシディに己の体を預けた。
髪が湯に浸かるのに気がつき、ひとつにくるっとまとめた。
お尻はざらつく岩肌。
「はああ、、」
と思わず大きなため息が漏れる。
ボリビアの王子をクッション代わり。
贅沢な時間である。
湯からでている肩に優しく湯が掛けられる。
そのまま腕から肘、手首、手の甲と、丁寧にシディに揉まれながら、たどられていく。
シディはブレスレットが収まる手首を引き上げて、満足そうに手首にキスをした。
「ありがとう、プレゼント」
お礼をいっていないのを思い出した。
「わたしが誰かにブレスレットを渡すのは初めてだ」
シディはいう。
「これはここでは特別だから、絶対にはずさないでほしい」
「特別って?ブレスレットが?」
ラズは何かひっかかりを感じた。
ラブラドではブレスレットやチョーカーは奴隷の印だった。ボリビアにそのような慣例があるとは聞いたことがない。
そもそもボリビアでは奴隷制度はとうの昔に廃止されている。
答える代わりにシディはラズの太股をギュッと揉み、足先の方へたどっていく。
「ああ、、、」
ラズは目を閉じた。
気持ちよさに全身の力が抜けていく。頭をシディの鎖骨に持たせかけた。
首を回して鼻をその首筋にすり付けてしまう。
湯の中に、腕も腿も、すべての筋肉の繊維に閉じ込められた細かな鉛のような疲れ物質の粒がぱちぱちと弾けて溶けだしていくような気がする。
同時に頑張りすぎて傷ついた無数の小さな損傷が癒されていく感覚。
ラズを包む温かな小さな空間の中で、体の奥深くの芯から安心できた。
「外の温泉がこんなに気持ちがいいなんて。毎日入りに来たい」
はあーっとため息と共にラズはいう。
「機嫌は治ったか?」
「え、、?」
「昼間、わたしに怒っていただろう?」
ラズは自分の気持ちをシディが気がついていたとは思わず、驚いた。
シディは人の気持ちを慮るような人ではなかったからだ。
「それは、シディが僕を大事にしすぎるから。僕だって男だし、あれぐらいのトレーニングは以前はしていたよ。まあ、多少はボリビアの方がハードではあるけど。
僕は、いつもあなたに守られるだけの存在ではいたくないんだ。
ちゃんと自分で歩いて、自分の身は自分で守れるようになりたい」
ラズはいう。
シディはそれを聞きクスリと笑った。
「ここまで来るのもしがみついていた子ザルがそれを言うか?心配するな。お前のことはわたしが守ってやるから。ここでも、どこでも。だから安心してわたしに持たれておけ」
ラズの気持ちは伝わらない。
「そうじゃあなくて。このままあなたの庇護に甘えつづけていたら、僕はダメになりそうだ。あなたをシャーレンの館に引きとどめ、喧嘩に巻き込み、今朝は訓練を中断させて。僕がダメなせいで、あなたの足を引っ張ってしまいそうで怖いんだ」
「テーゼに何かいわれたのか?」
「テーゼというより、、」
テーゼはラズを避けていて、今日はキム騎士団長は何もいわないが、その見下した目が多くを語り辛かった。
「ラズ、勘違いをするな。シャーレンの館に留まったのも、喧嘩をしたのもわたしがそうしたかったからだ。ラズは何も気にすることはない。すべてわたしに任せておけ」
そうじゃあなくて、といおうとするが、シディの手が回されて頬から顎に触れ、軽く上を向かされる。被さるように顔が近付き唇が唇で塞がれた。
シディの手が胸に触れ、揉みしだく。
ラズは止めようする。
「これ、やだ。僕は女じゃないから胸なんてないから」
「最近はどことなしかふっくらしていているぞ?最近は感じているだろう?」
その指はラズの色づきふっくら膨らむ敏感なところをつまんだ。
頭が肩に押し付けられ無防備な耳朶から首筋を吸われ歯をたてられる。
その瞬間に背筋に気持ちよさがかけ上った。
「駄目、すぐそこにクリスがいるから、、、」
ラズは湯から引き上げられた。
後ろを向かせられ、縁の濡た岩に手をつかせられる。
「クリス?お前を木に登らせた若い騎士か!あいつに、わたしに鳴かされるのを聞かれるのが嫌なのか?」
狂暴さが垣間見れる低い声。
背中から這わされた手が下腹にすべり和毛に指を割り入れて、ラズの柔かなそれを握る。ラズはその手を離そうとするが、ガンとして解放されない。
むしろ強く握られる。
「そうじゃあなくて、ここは、外で、壁もなくて、、、」
ラズの体の準備ができていないのに構わず、性急に後ろの口に指をいれられる。
お尻の筋肉は固く強ばっていたが、シディは手のひらで固まった尻を揉みつつ二本の親指も入れて内側から開きほぐした。
執拗な愛撫に、こらえきれないあえぎがラズの喉の奥から漏れる。
「ラズ、愛しい人。わたしはもうこんなになっている」
猛る熱いものをラズの尻に擦り付けられた。
理性をかき集めてやめてと言おうと、ラズは腰を引き首を巡らして振り返る。
そこには欲望に燃える目をした火照る体の男がラズに今まさに己の雄で貫かんと掴んでいる姿であった。
心臓がどきりと大きく跳ね上がる。
ラズの人生を手にした絶対的な支配者がそこにいた。
己を求める姿は媚薬のようにラズの体に火をつける。
「わたしを受け入れてくれ」
指で開いた口に押しあてられ突きこまれる。だが、腰を押さえられ熱くて圧倒的な質量をもつそれが、ラズの内側の敏感なところを攻め始めると、背筋がぞくぞくとして閉じた瞼にチカチカと快感の光が瞬いた。
固まっていた体が緩む。
シディはラズの胸から生まれ、背中に続く妖しく美しく咲きはじめた花を見た。
ラズは己の体を自分で支えられない。
支えるのは腰を掴む強い手。
彼らの動きに、小さな波が立ちあがりあちこちでぶつかりあい泡立った。
「あああッ、はあッ、シディ、、」
ラズは体が熱くてとろけて、熱に浮かされたように呻き、喘ぎ、泣いていた。
シディは深く突きいれ突きあげ、ラズの内側が蠢きながらさらに奥へと引きこもうと絡み付くのにあがらえず、くぐもった呻きと共に、精を注ぎ込んだのだった。
名前が呼ばれている。
返事をしないとと思うが気だるさに支配されてまぶたが重く、億劫だった。
ラズはふわりと浮遊感を感じる。方向感覚が麻痺した、たゆたう感覚。
抱きかかえられたとわかるまでに、部屋から連れ出されていた。
揺れる体と首に腕を巻き付かせ、夢中でしがみついた。知っている匂い。小鼻をヒクつかせてラズは一杯に取り込んだ。
無理矢理目を開ける。黒に金の刺繍がすぐそこにあった。
「シディ?」
既に屋外へ出ていて、闇が重く落ちる中、先行く者の灯りを頼りに小風にざわつく木立を抜ける。
どこともなく漂ってくる女たちの笑い声に笛の音。後宮沿いを歩いているのがわかる。
賑やかな様子から、まだ夜もそんなに遅くない時間帯だとわかった。
「どこへ、、?」
ようやく訊く。
たゆたう感覚とシディの匂いとひんやりした夜風が心地良くて行き先はどこでもいい感じがした。
「今日は頑張ってただろう。だから体を癒しに温泉に浸かろうかと連れ出した」
「温泉、、、」
そういえば温泉があると聞いていた。
「天然の岩場の温泉だ。人払いを済ませているので二人だけで入れる。
町中にもそういった温泉場があり、ボリビア人は温泉好きだ。一日の疲れを癒したり、怪我の療養に多くの者が利用している、、、」
急に、抱きかかえられているのが恥ずかしくなる。シディも疲れているはずだった。
半日訓練に付き合っただけでも部屋に戻るなり前後不覚に寝てしまうぐらいクタクタなのだから。
「下ろして。自分で歩く」
「もう少しだけつかまっていろ」
ラズは岩場の間に下ろされた。
その奥から軽く硫黄の香る蒸気がもわっと吹き出していた。空気は重くじっとりと足に巻き付き絡み付き抜けていく。
夜の空気はここだけ暖かかった。
前を歩くクリスはひとかたまりに持っていた燭台の灯りの三つのうちのひとつを岩の間に差し込むように据えた。
二つ目は、足元を照らせるように低めに据える。
最後のひとつはシディが受取り、奥へと置いた。
三つ目が照らしたのは岩場の洞窟の、いまにも滴り落ちそうなつららのようなものが固まった天井と緑の粒が煌めく岩の壁と、とうとうと湛えた明度の高い湯殿である。
天然の洞窟風呂がそこにあった。
湯に落ち葉がいくつか浮かぶが、きれいに整えられているようだった。
白い蒸気が立ちあがり、出口を求めて足元だけでなく二人にもあっと迫ってきた。
外で脱ぐことためらっているラズに構わず、シディはすべて脱ぐ。
ぐずぐずしているラズを見て呆れる。
「何を躊躇している?朝から騎士のトレーニングメニューに付き合って疲れただろう?今日中に湯に浸かり、筋肉をほぐしておいた方が明日が楽だぞ」
ラズも服を脱ごうとしたが、腕は重く痛い。腕だけでなく全身がそうだった。
ああ、脱ぎたくないではなくて脱げないのだな、とあははっと笑ってシディは頭から脱がせる。
夜着はすっぽりと被る単純な貫頭着である。
シディはその下に何も身に付けていないのを知り、目を細めて口許を弛めた。
「体がいうことをきかないならもう一度つかまれ」
再びラズは抱きかかえられると、恐れげもなくするするとシディは湯に足を入れてゆったりと心地よ良く落ち着ける位置を探る。
そして腰を下ろすとラズも湯に沈んでいく。
腕がほどかれ、促されるままにシディの胸を背中に、立てた膝の間に守られるように囲まれて、ラズはシディに己の体を預けた。
髪が湯に浸かるのに気がつき、ひとつにくるっとまとめた。
お尻はざらつく岩肌。
「はああ、、」
と思わず大きなため息が漏れる。
ボリビアの王子をクッション代わり。
贅沢な時間である。
湯からでている肩に優しく湯が掛けられる。
そのまま腕から肘、手首、手の甲と、丁寧にシディに揉まれながら、たどられていく。
シディはブレスレットが収まる手首を引き上げて、満足そうに手首にキスをした。
「ありがとう、プレゼント」
お礼をいっていないのを思い出した。
「わたしが誰かにブレスレットを渡すのは初めてだ」
シディはいう。
「これはここでは特別だから、絶対にはずさないでほしい」
「特別って?ブレスレットが?」
ラズは何かひっかかりを感じた。
ラブラドではブレスレットやチョーカーは奴隷の印だった。ボリビアにそのような慣例があるとは聞いたことがない。
そもそもボリビアでは奴隷制度はとうの昔に廃止されている。
答える代わりにシディはラズの太股をギュッと揉み、足先の方へたどっていく。
「ああ、、、」
ラズは目を閉じた。
気持ちよさに全身の力が抜けていく。頭をシディの鎖骨に持たせかけた。
首を回して鼻をその首筋にすり付けてしまう。
湯の中に、腕も腿も、すべての筋肉の繊維に閉じ込められた細かな鉛のような疲れ物質の粒がぱちぱちと弾けて溶けだしていくような気がする。
同時に頑張りすぎて傷ついた無数の小さな損傷が癒されていく感覚。
ラズを包む温かな小さな空間の中で、体の奥深くの芯から安心できた。
「外の温泉がこんなに気持ちがいいなんて。毎日入りに来たい」
はあーっとため息と共にラズはいう。
「機嫌は治ったか?」
「え、、?」
「昼間、わたしに怒っていただろう?」
ラズは自分の気持ちをシディが気がついていたとは思わず、驚いた。
シディは人の気持ちを慮るような人ではなかったからだ。
「それは、シディが僕を大事にしすぎるから。僕だって男だし、あれぐらいのトレーニングは以前はしていたよ。まあ、多少はボリビアの方がハードではあるけど。
僕は、いつもあなたに守られるだけの存在ではいたくないんだ。
ちゃんと自分で歩いて、自分の身は自分で守れるようになりたい」
ラズはいう。
シディはそれを聞きクスリと笑った。
「ここまで来るのもしがみついていた子ザルがそれを言うか?心配するな。お前のことはわたしが守ってやるから。ここでも、どこでも。だから安心してわたしに持たれておけ」
ラズの気持ちは伝わらない。
「そうじゃあなくて。このままあなたの庇護に甘えつづけていたら、僕はダメになりそうだ。あなたをシャーレンの館に引きとどめ、喧嘩に巻き込み、今朝は訓練を中断させて。僕がダメなせいで、あなたの足を引っ張ってしまいそうで怖いんだ」
「テーゼに何かいわれたのか?」
「テーゼというより、、」
テーゼはラズを避けていて、今日はキム騎士団長は何もいわないが、その見下した目が多くを語り辛かった。
「ラズ、勘違いをするな。シャーレンの館に留まったのも、喧嘩をしたのもわたしがそうしたかったからだ。ラズは何も気にすることはない。すべてわたしに任せておけ」
そうじゃあなくて、といおうとするが、シディの手が回されて頬から顎に触れ、軽く上を向かされる。被さるように顔が近付き唇が唇で塞がれた。
シディの手が胸に触れ、揉みしだく。
ラズは止めようする。
「これ、やだ。僕は女じゃないから胸なんてないから」
「最近はどことなしかふっくらしていているぞ?最近は感じているだろう?」
その指はラズの色づきふっくら膨らむ敏感なところをつまんだ。
頭が肩に押し付けられ無防備な耳朶から首筋を吸われ歯をたてられる。
その瞬間に背筋に気持ちよさがかけ上った。
「駄目、すぐそこにクリスがいるから、、、」
ラズは湯から引き上げられた。
後ろを向かせられ、縁の濡た岩に手をつかせられる。
「クリス?お前を木に登らせた若い騎士か!あいつに、わたしに鳴かされるのを聞かれるのが嫌なのか?」
狂暴さが垣間見れる低い声。
背中から這わされた手が下腹にすべり和毛に指を割り入れて、ラズの柔かなそれを握る。ラズはその手を離そうとするが、ガンとして解放されない。
むしろ強く握られる。
「そうじゃあなくて、ここは、外で、壁もなくて、、、」
ラズの体の準備ができていないのに構わず、性急に後ろの口に指をいれられる。
お尻の筋肉は固く強ばっていたが、シディは手のひらで固まった尻を揉みつつ二本の親指も入れて内側から開きほぐした。
執拗な愛撫に、こらえきれないあえぎがラズの喉の奥から漏れる。
「ラズ、愛しい人。わたしはもうこんなになっている」
猛る熱いものをラズの尻に擦り付けられた。
理性をかき集めてやめてと言おうと、ラズは腰を引き首を巡らして振り返る。
そこには欲望に燃える目をした火照る体の男がラズに今まさに己の雄で貫かんと掴んでいる姿であった。
心臓がどきりと大きく跳ね上がる。
ラズの人生を手にした絶対的な支配者がそこにいた。
己を求める姿は媚薬のようにラズの体に火をつける。
「わたしを受け入れてくれ」
指で開いた口に押しあてられ突きこまれる。だが、腰を押さえられ熱くて圧倒的な質量をもつそれが、ラズの内側の敏感なところを攻め始めると、背筋がぞくぞくとして閉じた瞼にチカチカと快感の光が瞬いた。
固まっていた体が緩む。
シディはラズの胸から生まれ、背中に続く妖しく美しく咲きはじめた花を見た。
ラズは己の体を自分で支えられない。
支えるのは腰を掴む強い手。
彼らの動きに、小さな波が立ちあがりあちこちでぶつかりあい泡立った。
「あああッ、はあッ、シディ、、」
ラズは体が熱くてとろけて、熱に浮かされたように呻き、喘ぎ、泣いていた。
シディは深く突きいれ突きあげ、ラズの内側が蠢きながらさらに奥へと引きこもうと絡み付くのにあがらえず、くぐもった呻きと共に、精を注ぎ込んだのだった。
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