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第3話 精霊の力
16.ノアールの誘惑3
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「僕は貴方のものにはなれない」
「なぜにですか?」
続けていくつものキスを落としていく。
その度に熱く紋様が浮きでては消える。
「僕は約定そのものだから。
神官とパリスの間で交わされた正しい約束だから。勝手に解約はすることはできない、、」
「あなた自身はどうなのですか?
こんなに君の体も、呼応している。
体の奥から燃えるような感じはしないですか?
わたしはあなたを存分に愛するよ。
どちらかを選べるのなら、私に愛される人生も良いのでは?
世界を旅して、民俗風習伝承、各地の不思議を集めて詩にして。
旅が嫌なら、どこか風光明媚なところに君のためにとどまってもいい、、、」
真剣な瞳にリリアスはたじろいだ。
(体の奥が燃えるよう。
加護が反応しているんだ。それに、どうしてこんな状況になっているんだ??)
「やめて、、ルージュっっ」
助けを求めて、横になる金茶の髪に顔を向ける。
「このピアスはあなたに似合いませんね。外しますよ、、」
リリアスは目を閉じた。
だが、ピアスを外そうとする手は来ない。
目を開けると視界を遮るのはギラリと光る銀色の剣の歯。
ルージュが半身に体を起こして、剣をノアールとリリアスの間に突きいれていた。
「詩人よ。私の恋人に迫るのはやめてもらえないか?」
「武器は持っていなかったのに何処に」
ルージュは体を起こし、リリアスと構えた剣の間に身を滑り込ませ、完全に壁となり遮断した。
ルージュはブーツに武器を忍び込ませていた。
「生憎、不逞の輩がいるのでね。いつでも身に付けている」
「ルージュ パリス ロワール、、」
ノアールは上着を羽織り、紋様の彫られた体を隠す。
丸腰であり分が悪いのには変わりはない。パリスの第2王子の経歴なら、ここで切り捨てられることもあり得た。
「すみません。彼があまりに可愛くてつい、口説いてしまったのです。
あなたにほっておかれて、退屈そうでしたから」
「そうか、色々気を使わせたな。
彼の命を助けてくれたアドバイスには非常に感謝している」
ノアールは切っ先が鞘に収まるのを目で追い、命拾いをしたのを理解した。
ルージュはここで怒りに任せて騒ぎを起こすより、穏便に別れるのが良いと判断していた。
薬が予想よりも速く切れたのは、王族ならば普段より薬や毒に対する耐性をつけていると考えた方が正しい気がした。
「ルージュ王子、早く帰国された方が良いのでは?ここはもうじき大変なことになりますよ」
ルージュはリリアスを抱えて、これ以上の長居無用とばかりに退席をしようとしていた。
正体がばれてしまった以上、エディンバラの楽しい観光は終わりにするつもりだったが、最後の一言に反応した。
「わからませんか?ずうっと降らない雨、枯れたエディンバラのオアシス。
エディンバラは砂漠では大きくなりすぎました。
バラモンの他のオアシスでは賄いきれないでしょう。
エディンバラはパリスとの国境に一番近い街。
そう遠くない未来に水を求めて多くの市民が難民となって、パリスに押し寄せますよ」
「なぜにですか?」
続けていくつものキスを落としていく。
その度に熱く紋様が浮きでては消える。
「僕は約定そのものだから。
神官とパリスの間で交わされた正しい約束だから。勝手に解約はすることはできない、、」
「あなた自身はどうなのですか?
こんなに君の体も、呼応している。
体の奥から燃えるような感じはしないですか?
わたしはあなたを存分に愛するよ。
どちらかを選べるのなら、私に愛される人生も良いのでは?
世界を旅して、民俗風習伝承、各地の不思議を集めて詩にして。
旅が嫌なら、どこか風光明媚なところに君のためにとどまってもいい、、、」
真剣な瞳にリリアスはたじろいだ。
(体の奥が燃えるよう。
加護が反応しているんだ。それに、どうしてこんな状況になっているんだ??)
「やめて、、ルージュっっ」
助けを求めて、横になる金茶の髪に顔を向ける。
「このピアスはあなたに似合いませんね。外しますよ、、」
リリアスは目を閉じた。
だが、ピアスを外そうとする手は来ない。
目を開けると視界を遮るのはギラリと光る銀色の剣の歯。
ルージュが半身に体を起こして、剣をノアールとリリアスの間に突きいれていた。
「詩人よ。私の恋人に迫るのはやめてもらえないか?」
「武器は持っていなかったのに何処に」
ルージュは体を起こし、リリアスと構えた剣の間に身を滑り込ませ、完全に壁となり遮断した。
ルージュはブーツに武器を忍び込ませていた。
「生憎、不逞の輩がいるのでね。いつでも身に付けている」
「ルージュ パリス ロワール、、」
ノアールは上着を羽織り、紋様の彫られた体を隠す。
丸腰であり分が悪いのには変わりはない。パリスの第2王子の経歴なら、ここで切り捨てられることもあり得た。
「すみません。彼があまりに可愛くてつい、口説いてしまったのです。
あなたにほっておかれて、退屈そうでしたから」
「そうか、色々気を使わせたな。
彼の命を助けてくれたアドバイスには非常に感謝している」
ノアールは切っ先が鞘に収まるのを目で追い、命拾いをしたのを理解した。
ルージュはここで怒りに任せて騒ぎを起こすより、穏便に別れるのが良いと判断していた。
薬が予想よりも速く切れたのは、王族ならば普段より薬や毒に対する耐性をつけていると考えた方が正しい気がした。
「ルージュ王子、早く帰国された方が良いのでは?ここはもうじき大変なことになりますよ」
ルージュはリリアスを抱えて、これ以上の長居無用とばかりに退席をしようとしていた。
正体がばれてしまった以上、エディンバラの楽しい観光は終わりにするつもりだったが、最後の一言に反応した。
「わからませんか?ずうっと降らない雨、枯れたエディンバラのオアシス。
エディンバラは砂漠では大きくなりすぎました。
バラモンの他のオアシスでは賄いきれないでしょう。
エディンバラはパリスとの国境に一番近い街。
そう遠くない未来に水を求めて多くの市民が難民となって、パリスに押し寄せますよ」
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