女王の剣と旅の騎士

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プロローグ ケインと王政の危機

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ユスター暦 1482年 12月24日 19時00分
アングランテ王国 王都ガルスダット 王立議会議事堂…

雲一つ無い夜だった。王立議事堂で突如、爆風と炎が建物を包み込み、煙が空を黒くした。床が揺れ、壁が崩れ、議事堂の中は混沌とした。

議事堂入口で控えていた、近衛騎士団団長のケイン・イスカードは爆発の直前にシールドを張ったため無事だった。そしてもう一人彼のそばに居た近衛騎士も無傷であったが、議事堂内は石とガラス、煙の山であり生存者は居ない。しかし国王には王の剣がある。王の剣の力を使えば建物の爆発程度では所有者にかすり傷一つつけられないはずだ。

瓦礫をかき分け、懸命にハイラム10世国王を探し出した。すると国王は床に倒れており、その表情は痛みに歪んでいたが、彼の目には未だ確固たる決意が宿っていた。
「ケイン…来てくれたか…私はもう良い この爆発の主犯は宰相ベルメッドだ だが奴を追うのは後だ 私の剣…これは偽物だ 本物の王の剣は既にマリオンに託してある…彼女が…未来の王となるだろう…」と言う王の震える声が、ケインの耳に響く。ケインは涙を抑え、誓いの言葉を述べた。「陛下 マリオン王女も剣も 必ずお守りいたします そしてマリオン王女に国王の意志を継いで頂きます」
それを聞いた国王ハイラム10世は笑顔をケインに見せながら、ケインの頬を撫でると息を引き取った。

遠くから宰相配下の憲兵隊の足音がする。宰相ベルメッドはハイラム10世の持つ王の剣が偽物であることに気付いたため、次の王位を継ぐマリオン王女の元へ移動しているのだろう。
ケインは国王の遺体にひざまずき礼をすると生き残った近衛騎士に遺体を安置するように指示し、破壊された議事堂を出た。
議事堂から通常の大人だと駆け足で10分かかる場所に国王の居城、ストルジャー城がある。騎士として鍛えられた体を持つケインの足なら、3分でたどり着く。ストルジャー城には近衛騎士を50名残している。3分程度なら憲兵隊の突入を食い止めて、自分の到着まで持ちこたえられるが不安はある。宰相が自らが持つ宰相の剣を使い、ストルジャー城を襲えば一瞬で城ごと破壊できる。

ケインは到着するが城には憲兵隊は一人も居ない。そしてケインを待っていたように城の扉の奥に王女マリオンが近衛騎士50名を従えて待っていた。
国王の暗殺を聞いても一切動揺せず、王女らしく気丈に立っていた。腰には剣が下がっている。白い柄と白い鞘、白い鍔を跨るように、黄金の十字が描かれている剣、これこそ王の剣だ。

「マリオン様 私は陛下より 王の剣と貴女を守るよう命じられました 今 直ぐに城から逃げ出しましょう」ケインの声は決意に満ちていた。マリオン王女は深く頷き、左手で王の剣をしっかりと握った。そして右手はケインの左手を握るが、二人とも少し戸惑った。二人の思いは身分の差だけではない。

「私はマリオン様と城外にを出て ガルスダットのイスカード邸まで行く 足に自信のある者だけでもいい ついて来い」
ケインは全速力で庭園から外に出て、街を駆け抜けるが、右手を握られていた王女マリオンも彼のスピードについて来られた。彼女も幼少より王として知勇の訓練を施されているからだ。

宰相の部下達である憲兵隊がストルジャー城に到着すると、ケインの近衛騎士団30名が城に立てこもり憲兵隊と銃撃戦を行っていた。憲兵隊の注意をそらせ、少しでも追跡を遅らせるためだ。ケインの向かう先、イスカード邸は王都ガルスダットの中央にあるストルジャー城から、約4.5㌔の距離にある。
しかし王都ガルスダットは王立議会議事堂の爆発により、混乱に包まれている。救命車両や消防車両が行き来し、未だ燃え続ける王立議会議事堂から憲兵隊が現れる。城を落としたあと、そのまま街を進軍し、テレビ塔、そして都市部の病院を占拠する。市民たちは恐怖に逃げ惑っていた。

ケインは王女マリオンを連れてイスカード邸に入ると、門の前にはイスカード家に仕えている剣士オスカーが待っていた。
「マリオン様 ケイン様 よくぞご無事で…」
オスカーは頭を下げるが、ケインは歩みを止めずにマリオンを連れたまま邸宅に入る。邸宅の2階には、騎士見習いである弟のアランの部屋がある。時間はまだ20時前であったが、翌日早朝からオスカーによる剣術の訓練があるためアランは早めに睡眠をとっていた。
そこへケインの声がした。
「アラン すぐに起きて剣を持つんだ  大変なことが起きている 宰相ベルメッドがクーデターを起こした」

ケインの声が聞こえていたが、アランの意識はまだ覚醒してはいない。ドアが開く音と同時にアランは緑色の瞳を開いた。奥には女王マリオンが立っており、事態が把握出来ないままアランはベッドから飛び起きて床に跪く。

ケインが12歳の弟の両肩に手を添えて笑顔を見せると、アランは眠気をこすりながら、慌てて軍服に着替えはじめた。
その姿にマリオン王女はやや笑みを見せて、ドアの外へ出た。しかし彼女のもつ王家の瞳、ブルーとヘーゼルカラーの瞳には未来の王としての決意が灼熱のように輝いていた。

イスカード邸には王立議事堂で起きた爆発から生き残った近衛騎士団のメンバーと、交代要員としてイスカード邸に居た騎士達が合流した。お互いの無事を喜びながら、ケインの次の命令を待つ。彼らの表情は厳しさと優しさを持つケインに忠誠を持っていたのだ。
ケインがイスカード邸の門に戻ると騎士達に命令した。
「我々は王女マリオン様と共に この王都ガルスダットを脱出する 不名誉な行軍となるが ドルバンの軍港からカルラ・ドル海峡を渡り フランドルの地で軍を立て直す その後 宰相のクーデターから王国を取り戻そう」と呼びかけ、騎士団の士気を高めた。
王女マリオンも父 ハイラム10世から譲り受けた王の剣を両手でしっかりと握りしめて、持ち挙げた。
「私達の国を 民を 宰相の野望から守るため 力を合わせて戦いましょう 私は貴方達と共に戦います」と力強く宣言した。
騎士団は一丸となり、王女と未来の国王としての剣を守る誓いを新たにし、王都ガルスダットからの脱出を開始したのであった。



王都ガルスダットの空には黒煙が立ち上り、火の手が建物を舐め上げていた。街は宰相の憲兵隊によって容赦なく焼かれ、絶望と恐怖に包まれていた。
しかし騎士団が進軍を進めていくと、街の至る所から、市民たちが近衛騎士団のもとへと合流し始めた。彼らの顔には恐怖と期待が入り混じっていた。ケインは王女と市民たちを見ると、その足を一瞬止め、深く息を吸った。

「アラン マリオン様と王の剣を頼む」
彼の言葉は弟であり、騎士見習いのアランに向けられ、その声には弟への信頼と決意が込められていた。アランは素直に頷き、兄弟お揃いの緑色の瞳で兄の心を真っ直ぐに受け止めた。
「騎士団はマリオン様をお守りしながら ドルバンの軍港へ急げ 私はここで憲兵隊を食い止める」
不安な気持ちを持ちつつも、マリオン王女は近衛騎士団、そして騎士見習いのアランと共にドルバンへ進んだ。

空から空中戦艦の近づく音が聞こえ、焦げ臭い風が吹き出す。宰相の憲兵隊が近付いてきたのだ。宰相は陸上だけでなく空からもガルスダットを焼き、王の剣を探しに迫って来る。
上空からサーチライトが当たると、ケインは右手で左腰にある剣を握る。王から授けられた近衛騎士の剣だ。


ケインは「行くよ ジェネレール」とつぶやき、長いサーベルの様な剣を強い決意と闘志を込めて彼は剣を高々と天に突き上げ
「シクロプタル!」と力強く叫ぶ。

その瞬間、静寂が割れ、天空から熾烈な火柱が降り注ぎ、光と炎でケインの姿を完全に包み込む。しかし、その中で彼は決して焼け落ちることなく、逆に一つの巨大な白い球体に包まれて浮かび上がる。周囲には重厚なエネルギーが満ち、地を揺るがす轟音が鳴り響く。やがて、球体から手足が力強く伸び、装甲が装着される。そして地上に18㍍の巨人が現れた。その姿はまるで黒い甲冑を着た巨大な騎士であり、その足元の大地が揺れ動く。王から授かる7本の神の剣より出る鉄の巨人はアームノイドと呼ばれ、その神聖さと圧倒的な力により、市民から畏敬の念を持たれている。
ケインの黒いアームノイドの名はジェネレールと言う。



「提督 近衛騎士団団長がアームノイド・ジェネレールを起動させました」
ブリッジの若いオペレーターが、提督と呼ばれた男、コーデリア中将に報告した。
「間に合わなかったか…」提督は予測を外してしまったことに絶望した。
「敵は一人の騎士ですよ」オペレーターは言うが提督は彼の意見を否定した。
「バカモン 相手は神の剣が生み出したアームノイドだぞ! 我々などでは足止めにしかならんわ」部下をそう叱った後、提督は独り言をポツリと言った。
「短時間の足止め それだけで良い」

艦隊も憲兵隊も全力でジェネレールを追い詰めるしか無い。
「戦艦 巡洋艦は 距離をとって艦砲射撃 揚陸艇は散開しながらメカノイドを全て降ろせ」
コーデリア中将の命令で、複数のサーチライトが重なると、空中戦艦が艦砲射撃をはじめた。地面に着弾し火炎を撒き散らしながら、砲弾の精度は徐々に上がりジェネレールに着弾するもケインのアームノイドはビクともしない。

「宰相のメカノイドは2000機か…」ケインのジェネレールは両手を広げるとキャノン砲を具現化させて、高度を高くした戦艦に向けて発砲した。カノーネのと呼ばれる長距離砲の光線は戦艦の装甲を貫通し、一撃で撃沈させた。

カノーネの破壊力を目の当たりにした揚陸艇の乗組員はメカノイドを降下させながら、戦場から離れていき、メカノイドに乗る憲兵達はバラバラに降下しながらマシンガンを撃ち始めた。しかしアームノイド・ジェネレールには全く無力だった。
「神の剣から現れるアームノイドは それを模倣したメカノイドよりも はるかに強力だ メカノイド2000機だろうと10000機だろうとも 一気に破壊してやる 見るがいい」
ケインはコックピットのシートにある肘掛けを右手で強く握った。するとカノーネが消えて、全身を覆うミサイランチャーが具現化された。
「ターゲットロックオン フルバレット‼」ケインはコックピットに映し出された360度に広がるメカノイド達に向かって、超マルチターゲットロックを行い、同時にミサイルを飛ばした。たった一度の攻撃により、2000機のメカノイド達は全て破壊された。

ドルバンに向かう王女マリオン、アラン、そして避難民達にもガルスダット郊外で行なわれている戦闘は音と光で手に取るように分かる。そしてアランは兄がジェネレールで敵兵を撃退する姿を想像していた。

空中戦艦を沈め、2000機のメカノイドを破壊したケインはジェネレールを一度近衛騎士の剣に収めた。
空中からストンと降りるケインは額から流れる汗を拭いた。アームノイドの起動、活動には剣の所有者の精神力が必要で、短時間でも大量の敵を撃破するにはそれなりに精神を使うのだ。

しかし宰相ベルメッドが送り込んだ艦隊や憲兵隊のメカノイド2000機は、宰相の率いる本隊の一部に過ぎなかった。ケインは先程の軍団よりも多数の動きを感じた。今度は2000機どころではなく10倍だ。

そしてケインは1つの神の剣の存在を感じる。それは宰相の持つ剣だった。
今度は空中戦艦や空中揚陸艇は来ない。陸上を20000機のメカノイドが来る。しばらくすると4~5㌔先の夜空に火柱が起きた。

それは宰相の剣より現れる、アームノイド・プライスターだ。


宰相自らが戦場に立つことにより、ケインは不利な状況になる。
神の剣同士は互角だったとしても、宰相とケインが戦う隙に憲兵隊がマリオン王女へ向かっていくからだ。
ケインの優秀な部下達は王女を守るために戦闘を開始するだろうが、憲兵隊のメカノイドは20000機だ。数が圧倒的に違う上、歩みの遅い民間人もいる。王女マリオンが女王として王の剣の力でアームノイドを起動させることは可能だが、女王の即位を前に血なまぐさい戦場で王の力を使うものではない。弟、騎士見習いの弟アランは最上級騎士の剣を受け継いで入るが、まだ幼いために正式に騎士としての責務を任されているわけではない。今出来ることは…
「もう一度だ ジェネレール…」ケインは剣を抜くと「シクロタプス」と叫ぶ。
再び姿を現したアームノイド、ジェネレールは直ぐにカノーネを具現化させた。宰相のプライスターと戦うために精神力は温存したいが、先ずは大地に対して平行にカノーネを撃ちメカノイドの数を減らす。そしてプライスターとの一騎打ちを行なう。ケインは決断する。

高出力の光線が地面をえぐりメカノイドを爆発させた。しかしプライスターがシールドを展開していたために、撃破数は少ない。ケインはジェネレールの武器をパルス型プラズマライフルに変えると、プライスターに向かって突撃した。

一方、弟アランは兄のジェネレールとは別のアームノイドの起動を知り、マリオン王女に知らせた。彼女はもう既に戦場を把握している。彼女は決断した。正式な戴冠式は行っていないが、王の剣は既に受け継いでいる。今出来ることは、幼いアランを最上級騎士に任命して、彼が持つ剣に封じられた力を使い戦況を変えることだ。
「アラン 女王 として貴方を最上級騎士として任命します 今すぐケイン殿と宰相の戦いに参戦し 戦況を覆して下さい」
女王マリオンは王の剣をアランの両肩に置くと、装飾のなかったアランの軍服に階級章とマントが現れた。
「はい」初陣が尊敬する兄を助けることに名誉を感じたアランは、意気揚々と返事をした。
アランは全速力で戦場へと引き返していく。そして剣を抜き言葉を発した。
「シクロタプス‼」
新たな火柱がアランを包み、火が消えると銀色のボディを持つ巨大な騎士が現れた。アームノイド、ザ・ナイトである。
しかしアランが乗るザ・ナイトが戦場に着くと戦闘は終結しており、無数のメカノイドや艦船の破片が落ちているだけだった。倒れている憲兵も見られたが、ケインも宰相もいなかった。

「マリオン女王様 ドルバンの軍港が 見えました」
先頭を行く近衛騎士の一人が報告をした時、マリオンは避難して来た市民の話に耳を傾け希望を与えていた。
「分かりました 有難う」とマリオンは応えると騎士達の先頭に向かって行った。
その時、ドルバンの軍港から火柱が起きた。アームノイドの火柱が10本あった。

神からこの世に与えられた剣は9本だ。そしてアングランテ王国国内には、自分が持つ王の剣とケインの近衛騎士の剣、アランの持つ最高位騎士の剣、そして宰相の剣の4本だけだ。他の剣は大陸の彼方や海の向こうにある。それぞれの地域を守っている。その他には剣はない。しかし目の前にアームノイドの火柱が10本ある。あり得ないことだが、危険である事態だ。
困惑するマリオン達に向けて、スピーカーによる声が聞こえた。
「マリオン王女 いや女王マリオン様 ドルバンの軍港は 憲兵隊が抑えました そしてあなた様の目の前にある火柱は 我が造りしアームノイドであります 今すぐに我の所へおいでなさい そうすれば民は助けましょう」
その声の主はドクトル・ノヴァク。フランドルにある技術研究都市、メルカゲン・インスデテュートを支配する男だ。彼は古来より禁止されていた神の剣の研究と、生命の産生を行っていたのだ。

最先端の科学技術を欲する市民と異端の行為を続けるドクトルに、王と議員達は常に意志を迷わせていた。その間にドクトルは人工的に生命を産み出し、偽りの剣を創り出したのだった。その異端により現れたアームノイド、擬似アームノイド達であった。エネルギー量は本物のアームノイドと同じ数値だ。


「行くのだ 先手を打たせて頂く」ドクトルが指示をすると、擬似アームノイド達がマリオン達に襲い掛かり、近衛騎士団のメカノイドを次々に破壊し始めた。もうこれ以上、戦いによる犠牲者を増やすわけには行かない。
「ドクトル お待ち下さい 私は貴方の指示に従います」
マリオンは市民や近衛騎士団を守るために、一人でドルバンの軍港まで歩いていった。
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