神速艦隊

西太平洋戦争

ハワイ陥落

「！？なんだこの音は！」
キンメルはスミスを見る。
スミスにも分からないようで首を傾げていた。
その時、伝令兵が駆け込んできた。
「しっ真珠湾が砲撃されております！」
この報告により太平洋艦隊司令部は騒然となる。
「艦種は何だ！」
スミスの問いに伝令兵は苦虫を噛み潰したような顔をして答える。
「重巡よりは大きいということです！」
重巡より大きな艦艇など戦艦しか存在しない。
つまり真珠湾は日本の戦艦に砲撃されている。
ここまで思い至ってからスミスはいよいよ顔を青く染めた。
「全員、避難壕に急げ！こんな所に居たら砲撃で木っ端みじんだ！」
その言葉を聞くと司令部に居る者たちは弾けるように動き出した。


「撃ち方止め！」
30分の砲撃の後、塩沢は砲撃を停止させた。
36㎝砲は毎分4発、30㎝砲は毎分5発の速射性能を誇っており、そろそろ残弾が心もとなくなってきていた。
これは山本（権兵衛）が出した指針の成果でもあった。
「どうやら石油タンクか何かに命中したようですな」
大西は黒煙が覆う真珠湾を見ていた。
「そのようだな。これではろくな抵抗もできまい」
すると天城の電探に反応があった。
「長官、上陸部隊が到着しました」
ハワイは昼下がりと言った時刻だった。
「予定通りだな」
塩沢はほくそ笑んだ。


第2・3師団を乗せた上陸船団の中には機動艇と呼ばれるものが混じっていた。
機動艇は戦車6両と兵士30人を一挙に輸送できるもので陸軍船舶部隊の技術の結晶だった。
これが6艇と大発動艇が40隻で一気にエワ・ビーチに上陸を開始した。
今だ空襲や艦砲射撃の混乱が収まっておらず、先遣隊な何ら抵抗を受けず上陸に成功した。
エワ・ビーチは真珠湾にかなり近く、部隊は早々に湾内に侵入した。
湾内に侵入した部隊の中にはチャーチル歩兵戦車が16両含まれており残骸を砲撃しながら進んだ。
アメリカ兵からしてみればまさに寝耳に水でありなすすべなく降伏、もしくは粉砕されていった。
そして上陸からおよそ1時間後に真珠湾は陥落した。
また別動隊がホノルルを攻撃しており、そちらでもチャーチル歩兵戦車が活躍した。
ホノルルに集中していた民家を砲撃で吹き飛ばして道を切り開き、その分厚い装甲で緊急配備されたアメリカ陸軍の対戦車火器を無効化した。
ホノルルは真珠湾が陥落してからおよそ1時間後に陥落した。
この惨状を聞いて、残存していたオワフ島守備隊は戦わずして降伏。
これにはキンメル以下太平洋艦隊司令部の面々とショート以下ハワイ方面陸軍の面々も含まれていた。
総司令部の降伏を聞いて他のハワイ諸島の防衛兵も戦意を喪失。
翌日の12月9日中に各諸島の防衛軍は降伏した。
ただ一部の部隊は抵抗を続けていたが太平洋上で最も要塞化された島は僅か1日で陥落したのは確かだった。