神速艦隊

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第2次欧州大戦

フランス降伏の衝撃

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マルタ島に寄港した第3艦隊はそこから半年は平和な時を過ごした。
だがドイツが黄作戦を開始しベネルクス3国をまるで道路のようにしてフランス北部に進撃した。
これは連合軍にとって意表を突くものであり対応は後手後手に回った。
一部では突出したドイツ戦車師団を包囲せんと果敢に反撃する戦車部隊があったが、この時期の連合軍戦車には通信機器のようなものが無く連携が取れなかった。
それに対してドイツ軍は通信機器を通じて同じ部隊の戦車や航空機、歩兵と連携が取れた。
あえなく反撃は失敗し連合軍は敗退を続けていった。
そしてパリにドイツ軍が迫りパリは無防備都市宣言を出した。
ドイツ軍はパリを堂々と行進しすでにフランスは降伏に傾いていた。
6月22日。
コンピエーニュの森で第1次欧州大戦時の停戦協定が行われた同じ列車で停戦協定が結ばれた。


「フランスが…降伏しただと?」
塩沢は驚きを隠せない。
世界有数の陸軍大国であったフランスが開戦から数えてもおよそ9カ月、ドイツの攻勢作戦からに至っては僅か1か月で降伏してしまったのだ。
「やはりマルセイユに居なくて正解でしたな。下手をすると我が艦隊は丸ごと接収されていたかもしれません」
大西の言葉ももっともでありその点では塩沢は安堵していた。
だが問題はフランス艦隊だった。
フランス海軍も日英米の建艦競争に負けじと艦隊を増強していた。
その戦力はノルマンディー級戦艦4隻、ダンケルク級戦艦4隻、アルザス級戦艦4隻(38㎝4連装砲を3基搭載)でありまた空母も3隻のジョッフル級空母(排水量20000トン、艦載機55機前後)であった。
これらが一気に敵に周られてしまうと不利になるのは火を見るより明らかだ。
またイタリアも参戦しており地中海の日英艦隊は圧倒的に不利な状況となってしまった。


その約2週間後、イギリス地中海艦隊司令部から要請が第3艦隊に届いた。
「…なるほど。フランス艦隊が完全に敵の手に渡る前にそれを粉砕してしまおうというのか」
確かに合理的であるが味方であったものに砲弾を叩き込むというのはやはり気が引けた。
「流石に事前に交戦確認はするようですが、もし相手がそれを蹴っ来た場合、我々は戦わざるを得なくなります」
大西の言葉に塩沢は頷いた。


この作戦は首相となっていたチャーチルによって発案されたものでありカタパルト作戦と命名された。
そして1940年6月30日に日英艦隊は合流し一路フランス領アルジェリアのメルセルケビークを目指した。
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