神速艦隊

戦間期

扶桑型空母

扶桑と山城の空母改装案はおよそ3カ月でまとめられた。


扶桑型空母
基準排水量：30000トン
全長：215m
全幅：30m
兵装：12cm連装高角砲6基、25㎜3連装機銃12基
艦載機数：70機程度
装甲：飛行甲板の150m×25mの範囲に58㎜CNC鋼
電探：2号
最高速力：30ノット
航続距離：18ノットで8000海里


扶桑型空母はその排水量に物を言わせ装甲空母でありながら格納庫が2段あり艦橋は右舷、煙突は艦橋一体型となっていた。
また速度も30ノットを発揮可能であり扶桑型は鈍足戦艦から高速空母へ生まれ変わったのだ


順次改装・建造が行われている日本海軍に対し、アメリカ海軍も同様に建造と改装を行っていた。
具体的にはヨークタウン級空母6隻の建造を完了し、さらに阿蘇型戦艦に対抗するため40.6㎝三連装砲3基を搭載したアイオワ級戦艦を6隻と退役する空母ラングレイが水上機母艦になることやイギリスも空母を新造することから改ヨークタウン級空母であるエセックス級空母をなんと8隻をはじめとする40隻の建造を始めていた。
また改装も着々と進めておりアメリカ海軍はその数を700隻までに増加させていた。
これは大統領に就任したルーズベルトによるものが大きかった。
彼はニューディール政策の一環として軍需産業への積極的な投資も行った。
これによりアメリカ経済は回復を始めた。


「アメリカ海軍はどこまで増え続けるのだ…」
伏見宮は堀を前に弱音を吐く。
無理もない。
日本海軍の総戦力は300隻に届くかどうかでありイギリス海軍も合わせてやっとアメリカ海軍を少し上回れる程度だった。
それにトン数では日本とイギリスはアメリカにかなり負けていた。
「確かに見かけ上は圧倒されるかもしれません。ですが彼の国はそろそろ限界を迎えるでしょう」
「なぜだね？」
「この大軍拡は赤字国債によって成り立っています。こんなことを続けていられる国はこの世界中に存在しません。今にも不況が訪れることになるでしょう」
「そうだと良いが…」
この堀の予言は恐ろしいことに2年後の1934年に的中することになる。


1934年には赤字国債が多大に増加していた。
これを見たルーズベルトは急遽緊縮財政に政策を転換。
景気は急降下していき”大恐慌中の恐慌”という最悪な事態となった。
これにより軍事予算は削減を迫られエセックス級空母は2隻にまで減じられた。
また今後3年間は大型艦の建造が禁止されてしまった。
ルーズベルトは地団駄を踏んで悔しがった。