神速艦隊

戦間期

新型戦艦阿蘇（書類上）

アメリカを騙すと決まってから堀は部長の仕事をこなしながら方策を熟考していた。
そして4日後についに思いついたのだ。
そして堀はすぐに伏見宮の元へ向かった。


「それで、アメリカを騙す方策とは？」
伏見宮の問いに堀は嬉々として答える。
「既存の戦艦を新型戦艦にすればよいのです！」
「ん？既存の戦艦はどうやっても新型戦艦にはならんぞ」
「はい、ですがなってもらいます」
伏見宮はますます堀の言っていることが分からなくなった。
「アメリカを騙すためには書類上のみならず、実際に写真を撮るなどして新型戦艦の存在を確固たるものとする必要があります。ですので”既存の戦艦の改良型”という体で”改装を行った既存の戦艦”を大々的好評するのです」
伏見宮はこの頃は老体なのに度肝を抜かれてばかりであり堀を少し恨んだ。
「なるほど、それなら確かに新たな戦艦を建造せずに済むな」
「はい、それに我が国の戦艦が一同に会する機会は観艦式位なものですからばれる心配はほとんどないと言ってもいいでしょう」
伏見宮はこれに大きくうなずいた。


方針が決まったからには軍令部はすぐに動き始めた。
まずは言わば隠れ蓑である新型戦艦の設計を始めるところだった。
と言っても金剛型、天城型の細かな兵装を少し改装するだけであり設計自体はなんと３日で完了した。
この戦艦は”戦艦阿蘇”とされ4隻建造されることになっていた。
あくまで書類上だが。
次は隠れ蓑の主である新型空母の設計だった。
こちらは鳳翔型を参考にしつつも４隻建造するうちの3番艦と4番艦には飛行甲板に58㎜の鋼板を張ることになっていた。
また1番艦、2番艦も鳳翔型を拡大改良したものとなった。


改鳳翔型
基準排水量：22000トン
全長：232m
全幅：30m
兵装：12cm連装高角砲6基、25㎜3連装機銃12基
艦載機数：80機程度（3、4番艦は60機程度）
装甲（3、4番艦のみ）：飛行甲板の150m×25mの範囲に58㎜CNC鋼
電探：2号
最高速力：32ノット
航続距離：18ノットで8000海里


改鳳翔型も30ノット以上の高速を発揮できた。
この空母達が完成すると日本海軍の空母数は16隻となる。
だがアメリカも負けていなかった。
鳳翔型に関しては全て情報を公開していたためアメリカもこれに当然のように対抗。
レンジャー級の運用から得た知見を活かしヨークタウン級空母を6隻計画していた。
6隻の内、既に3番艦まで就役しておりすでに日本海軍はアメリカ海軍に数で負けていた。
つまり改鳳翔型を建造してアメリカ海軍の16隻にやっととんとんになるのだ。
「さらに空母を増産しなければならない」
堀はそう決意を固めた。