神速艦隊

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海軍のデッドレース

決定版空母鳳翔

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1929年6月14日。
この日、呉海軍工廠において1927年度計画艦もとい鳳翔型空母1番艦の鳳翔が竣工した。
工期は当初は2年半だったが工業製品の規格化やそれに伴う工業製品の大量生産が功を奏し2年に縮まった。
また建造費用も当初の8割に抑えることに成功していた。


「今までの空母とはまるで違うな」
伏見宮は竣工式を観覧席で見ながら言った。
「はい。これまでの帝国が培った空母運用の経験や工業技術を詰め込んだ、まさに世界最強の空母です」
堀も感慨深げに言う。
「あぁ、確かに空母という船自体は最強かもしれん。だが空母の攻撃力は航空機だ。これが弱いと話にならん」
「それについてはご心配なく。中島をはじめとする航空機会社が競い合って新型航空機を開発しています」
「それなら良い。あとは…」
「あとは?」
「これはあくまで願望なのだが、目視に頼らず敵機や敵艦の接近に気づける装置があれば良いと思ったのだ」
このことを聞くと堀はすかさず言った。
「あります」
「あるとは?」
「ですから、閣下がおっしゃった目視に頼らず敵の存在に気づける装置です」
「本当か!?」
伏見宮は思わず前のめりになる
「電波探信儀という装置をイギリスの協力の元、我が国の東北帝国大学が開発しています。この装置を簡単に説明いたしますと電波を出してそれが跳ね返ってきたらそこに何かがいることが分かるというものです」
「そんなものがあったのか」
「英国ではすでに艦艇に配備されていると聞きます」
ここで伏見宮の腹は決まった。
「すぐに将校会議に掛けて予算を出させる」


伏見宮たっての希望と言うこともあり将校会議はすぐに電波探信儀への予算を承認した。
これをどの艦に搭載するかは未定だが大きな一歩であることには違いなかった。


空母鳳翔は竣工後、1か月の習熟訓練を行った。
やはり敷島型空母等と比べると至る所が広々としておりそれは甲板にも言えた。
それと排煙も乗組員の居住性を失わないようにされており乗組員はかなり快適に艦隊勤務に勤しむことができた。
また速度も32ノット出ており発艦も着艦も従来の空母より断然容易かった。
艦長である大西瀧治郎大佐はこれを見て”これこそ我が国が量産するべき空母だ!”と確信し以後各方面に働きかけていくことになる。
そして習熟訓練が完了した鳳翔は迅鷲や魁鷲が所属する第四航空戦隊に配属された。
これは一時的なもので鳳翔の姉妹艦が完成しだいそれと航空戦隊を組むことになっていた。
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