神速艦隊

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新八八艦隊計画

あらたな改装

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敷島型空母(改装されたのは三笠が最初だが混乱を避けるため戦艦時代と同様の級名)の成功を受け日本海軍内では前弩級戦艦を順次空母に改装しようという計画が持ち上がった。
具体的には薩摩型、香取型、筑波型、鞍馬型そしてドイツからの賠償艦であるナッサウとオルデンブルクであった。
ナッサウとオルデンブルクはどちらも弩級戦艦であったがこれらは同型艦でなく、高速艦隊を目指す日本艦隊と統一行動をとれるかはかねてより海軍内で議論になっていた。


1920年4月12日。
「香取型、筑波型、鞍馬型はおとなしく海防艦にした方が良いのではないでしょうか」
伏見宮は海軍軍令部の一室で東郷に言った。
「何故だ?三笠も空母に改装できたのだからそれよりも新しいそれらの艦艇は空母に改装できるだろう」
すると伏見宮はある意見書を東郷に差し出した。
「これは?」
「山梨勝之進第一課長が私に持ってきたものです」
そこには山梨とは違う名前があった。
「堀悌吉?どこかで聞いたことがあるな」
「はい。奴は一時危険思想の持主と噂されていましたがそんなのではありません。私が保証します」
「なるほど、それでこの意見書に君が3艦種の空母改装を反対するほどの事が掛かれているのか」
そうして東郷はページをめくる。
読み進めるにつれ東郷はしきりに頷くようになっていく。
そして読み終えるやいなや言った。
「君が考えを変えるのがよく分かった。私も同感だ」
堀がしたためた意見書には3艦種の改装には莫大な費用がかかりそれなら新造空母を建造した方がかえって安上がりなこと。
これからの航空機の進化は加速度的に早まると考えられ10年後には敷島型が通用するか怪しいことが記載されていた。
「では、そのように」
伏見宮が部屋を出ていくと入れ替わるように山本権兵衛が入ってきた。
「宮様はすっかり立派になられたな」
「はい。あの様子なら我らが居なくなってもこの海軍を支えて行かれるでしょう」
2人は頷き合った。


1920年6月4日。
議会に提出されたこれら4隻の改装計画は承認された。
世の中は大戦景気の反動で不景気であったが積極的な財政出動も確かに必要であり、また国防も考えるとこれを突っぱねることは出来なかった。
4隻の艦艇の改装工事が順次開始された。
薩摩型は敷島型の発展型として、そしてナッサウとオルデンブルクは空母フューリアスを参考に3段式空母として改装されることが決定された。
新造空母はこれらの改装が終了され次第建造されることとなった。
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