信濃の大空

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新たな作戦計画

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1945年3月12日。
第2航空艦隊は呉で改修を受けていた。
各艦艇に噴進砲が搭載され、電探も新型に換装された。
そして何より大きかったのが高射砲の換装だった。
陸軍からの提供で5式15センチ高射砲を生産し3月にやっと定数が揃った。
駆逐艦の主砲もこれを搭載できるようにし、艦隊の対空能力が飛躍的に上昇した。
また艦隊についても高速戦艦「金剛」「榛名」重巡洋艦「最上」「鈴谷」「摩耶」「利根」軽巡「阿賀野」「矢矧」
駆逐艦20隻を護衛戦力とされ、軽巡以下12隻を水雷戦隊とし南雲忠一中将が任に就いた。
残りの駆逐艦10隻は空母直掩となった。


各艦隊がそれぞれの寄港地で改修作業を行う中、主要な海軍軍人に東京へ召集された。
厳かな会議室。
その中央に鎮座する小沢治三郎連合艦隊司令長官が口を開く。
「これより作戦会議を始める。」
小沢が地図を指す。
「先のビアク攻撃はビアク島攻略が真の目的ではなく、我々の目を南方に向けさせることである。つまり、敵の大攻勢は近い。」
改めて突き付けられた事実に部屋の空気が重くなる。
敵の攻勢はどこで、どのように、どのくらいで行われるのか全く分からないからだ。
小沢はそのような空気を無視して話を続ける。
「このままでは我々はどこを守らなくてはならないかが分からず、右往左往しているうちに帝国は敗北してしまうだろう。」
小沢は皆の反応を窺い、言った。
「それならば、こちらから攻勢を仕掛け艦隊決戦に持ち込もうではないか!」
部屋が静寂に包まれる。
もしその艦隊決戦で敗北でもしたならば日本の敗北は決定的になるからだ。
だれもが決めかねているのだ。
だが、そんな静寂を断ち切るように一人の男が立ち上がる。
「帝国2600年最大の博打ということですか。このままではどうせジリ貧です。私はこの命も掛け金にして勝って見せる所存です!」
第2航空戦隊の阿部中将の後に角田も立ち上がる。
「私も同意見だ。」
この後、賛成の声が部屋を埋め尽くした。
それが鎮まったところで小沢は具体的な作戦立案に入る。
「それではどこを攻めるかだが…誰か意見は?」
そう問われると一番に阿部が手を挙げた。
「ミッドウェーはいかがでしょう?」
部屋は嫌な雰囲気になる。
4年前に当時の第1航空戦隊の空母が全滅した場所だからだ。
だれもが、あのことを悪夢と思っている。
「理由はなんだ?」
「ミッドウェーはハワイの目前であり米海軍はかなりの確率で艦隊を出撃させると考えられます。また仮に米海軍が艦隊決戦を行わずとも、ミッドウェー陥落はハワイへのプレシャーとなりどのみち奪還に動くでしょう。」
小沢は最後まで聞くと頷き、立ち上がった。
「異論があるものはいるか?」
そう問うがだれも手を挙げない。
この時、第2次MI作戦の基礎が出来上がった。
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