信濃の大空

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横須賀での休養

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1944年12月24日。
湖北まで派遣していた攻撃隊を収容し、第2航空戦隊は横須賀に寄港していた。
艦の対空装備の充実や艦載機の補修や補充などを行うためだった。
そんな時に阿部は角田に誘われ横須賀の空技廠を訪れていた。


「少しは休ませろ。」
阿部は空技廠の前で合流してから開口一番にそう言った。
「悪いな。だが、ぞうとも言ってられん。歩きながら話そう。」
扉を開けて中に入る。
「どうやら、米海軍の動きが活発になってきたようだ。」
「それは潜水艦からの情報か。なるほど。米軍は再び攻勢に出るということか。」
「今すぐにではないだろうが、1個機動部隊で急襲を仕掛けてくることも考えられる。」
「だから我々に働けと言っているのか?」
語気が強くなった。
「そうかっかするな。志那事変がやっと終結して陸軍航空隊も各諸島に増強される。だが、敵艦隊に対してはやはり艦隊でもって攻撃する他ない。」
「なるほどな。で、今はどこに向かっているんだ?」
「もうすぐだ。」
色々な航空機が立ち並ぶ区域に着いた。
「こいつだ。」
そこには、逆ガル翼の複座機があった。
「これが、流星か。」
阿部自身、名前は聞いたことがあった。
だが、生産数があまりに少なく見たことはなかった。
「艦爆と艦攻の機能を集約した高性能機だ。」
角田が翼を触りながら言った。
「生産され次第、空母航空隊に充足されていく。2航戦にも来週の頭には20機が行くことになる。」
20機か。
流石に一気に更新とはいかないか。
「それともう一つ、戦闘機も更新する。こっちは一気にだ。」
「17試艦上戦闘機が制式かしたのか?」
「いや。あれは大きすぎる。だから零戦と同じ程の大きさの戦闘機の、紫電改に決めた。」
紫電改か。
確かに大きさとしては零戦と同じだ。
後継機としてはこちらの方が適しているな。
阿部がそう考えていると角田が思いもよらぬことを言った。
「紫電改を使えば一撃離脱ができるようになる。配備が完了したら一撃離脱の訓練を行う。」
「なぜだ?格闘戦でいい気がするが。」
「この頃は一撃離脱が各国の主流だ。それに陸軍はこの戦術でかなりの戦果を得ている。」
一撃離脱…。
考えたこともなかった。
「あと、お前をここに呼んだのはもう一つ理由がある。上に行くぞ。」
階段をコツコツと音を立てながら屋上に来た。
「あれを見ろ。ここからの方が見やすい。」
あれは…空母か?
「信濃を早期に完成させるために遅らせた空母達だ。だが結果的に甲板に装甲を付けることができた。」
「ということは、あれは大鳳と同じような空母ということか。」
ここから見て2隻居る。
「練成も済むのは来年の2月だが、これらを第4航空戦隊として編成し第2航空戦隊とまとめて装甲機動部隊を編成する。ある程度の攻撃に耐えられるのは大きな利点だ。」
装甲機動部隊か。
面白いことを考えたものだ。
「私は第4航空戦隊の司令官と装甲機動部隊の司令長官を兼任する。」
「それがいいだろうな。」
こいつは南太平洋の時のような戦い方が似合う。
阿部はただただそう思った。
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