信濃の大空

ypaaaaaaa

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南下開始

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西安を陥落させた石原遊撃隊は突出している部隊を包囲するため、南下を開始した。
「想定以上の進撃速度です。このままいけば年内には包囲が完了するかと。」
辻が誇らしげに報告する。
「どうやら、志那軍はかなり士気が低かったようだ。装備も劣悪で300万の大軍勢もほぼ張子の虎だろうな。」
「虎ではなく、猫かもしれませんな。」
石原は少し頬を釣り上げたがすぐに戻った。
「油断は禁物だ。なぜ、今まで志那戦線が突破できなかったのか?それは精鋭部隊がいたからだ。」
辻は少し考えた後、結論を出した。
「何応欽将軍率いる、第4戦区ですか…。」
第4戦区は、南京での攻防戦で唯一激しく抵抗した部隊だった。
その後、第4戦区は戦線の縮小に伴い解体されたがその兵力はそのまま何応欽の指揮下に入り、連合軍中華総司令官を兼任しながらもその身を前線に置き続けていた。
「おそらく、すでにこちらに向かっているのだろう。」
ここからが正念場だ!
石原は心の底から思った。


深く降り積もった雪の上に歩兵が足跡をつけていく。
戦車、騎兵も同様だ。
兵士たちは白い息を吐きながらも一歩一歩進んでいた。
天候はいくらか回復し、航空機による支援が可能になっていた。
そのため、進撃速度は上がったものの部隊内には疲れが見え始めていた。
「敵部隊発見!野営しています!」
斥候兵がそう叫ぶと部隊は機械的に戦闘態勢に入る。
砲撃を加えたのち、戦車と騎兵が雪崩れ込みその後歩兵が制圧する。
この頃はすっかり慣れて損害をほとんど出さずに攻略する。
国民党軍が逃げた後の野営地は、その日の日本軍の野営地となった。


「どこまで進み続ければいいのだろうな。」
見張り番となった兵士たちは眠気覚ましに駄弁る。
「分からん。ただ、そろそろだろうな。」
「そうであってほしいな。流石に疲れる。」
肩をほぐしながら星空を眺めている。
「内地じゃ、こんなきれいな星空は見たことがない。」
もう一人の兵士も空を見つめる。
「今度、ここに来るときは家族を連れてきたいもんだ。」
「そうなるように、今頑張ろう。」
そして、肩を抱き合って『雪の進軍』を歌った。


「将軍、日本軍には疲弊の色が見え始めています。時期はそろそろかと。」
「…では、第32歩兵連隊と第4砲兵小隊、第9騎兵大隊は反撃を開始せよ。」
何応欽は各地から飛び込んでくる敗北の報告を冷静に処理しながら、作戦図を見つめていた。
全ては祖国の勝利のために。
そして、民族の誇りを守るために。
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