21 / 67
西安攻防戦
しおりを挟む
かつて長安と呼ばれ、都がおかれた西安は雪に覆われていた。
「やってられねえぜ!」
酒の瓶を傾けながら国民党軍の髭面の兵士は叫んだ。
「こんな安い給料で、こんな寒いところに何年もいるのはさすがに骨が折れるな。」
背の高い兵士は降る雪を見ながら愚痴を言った。
「どうだ?今日もいかないか?いい女を見つけたぜ?どうせ日帝の奴らはこの冬の間は攻めてこないだろうし。」
「…まぁ、それぐらいなら罰は当たらないだろうな。」
「そうと決まれば、行くか。」
酔いも覚めないうちに髭面の兵士は店を出る。
「あいつ…!今度奢ってもらうからな!」
背の高い兵士は会計を済ませて外に出ようとした時、入口が爆発した。
「は?なんなんだ、これ。」
立ち上がり、今度こそ外に出る。
砲撃音が聞こえ、やっと攻撃だと理解した。
「あいつは?!」
探しても髭面の兵士はいない。
とにかく隠れよう!
あいつなら生きていてもおかしくない!
彼は心の中でそう決めて、もう住民が逃げて静まり返った家に隠れた。
「撃てっ!」
号令と共に九六式十五糎榴弾砲と九二式十糎加農砲、総計56門が順に火を噴く。
「そろそろ頃合いか。騎兵隊、歩兵隊、突撃せよ!」
命令を受けて、混乱が渦巻く西安の市外に部隊が流れ込んだ。
また、砲撃音が聞こえる。
どんどん近くなっている。
彼は銃を構えながら、内心怯えていた。
すると、いまだ迎撃態勢が気づけていない国民党軍部隊を騎兵が蹴散らしているのが見えた。
続々と雪崩れ込んできて、歩兵は家屋を一つ一つ制圧している。
発見されるのも時間の問題だ。
今自分が生き残るには戦ってここから逃げなければならない。
だが、発砲すると位置が割れてしまって反撃を受けるかもしれない。
考え込んでいると、故郷に残してきた妹のことが脳裏に浮かんだ。
「俺は、妹が安心して結婚して幸せに暮らせるように、志願した。なぜ、今まで忘れていたのだろう。なら、やるべきことは1つしかない。」
彼は銃口を日本軍の兵士に向ける。
「くたばれ!日帝共!」
彼の銃が火を噴いた直後、無数の弾丸が彼を貫いた。
「なんとか、逃げれたぜえ…。」
髭面の男は、もぬけの殻になった家から盗んだ金目の物を持ちながら軍の兵舎があるところまで向かっていた。
「流石に、これを持っていったままだとまずいから林の奥に埋めるか。」
男は林の奥に入っていく。
「そういえば、あいつは大丈夫なのか。ま、関係ないか。」
男は目星をつけて財産を埋める。
不意に、足音がした。
「ん?誰だ?」
顔を上げた男は、目の前にいる日本軍の兵士を見て呆然とした。
「こいつを研究所を連れていけ。」
部隊長らしい人物がそう命令して、2人の兵士が男を拘束しようとする。
「何をする!」
男はまた逃れようと暴れたが、首に一撃を喰らい気絶した。
「本当に、我々だけで動いて大丈夫なのですか?」
1人の兵士が部隊長に聞く。
「大丈夫も何も、我々は満州国第731部隊だからな。指揮系統は別さ。」
「やってられねえぜ!」
酒の瓶を傾けながら国民党軍の髭面の兵士は叫んだ。
「こんな安い給料で、こんな寒いところに何年もいるのはさすがに骨が折れるな。」
背の高い兵士は降る雪を見ながら愚痴を言った。
「どうだ?今日もいかないか?いい女を見つけたぜ?どうせ日帝の奴らはこの冬の間は攻めてこないだろうし。」
「…まぁ、それぐらいなら罰は当たらないだろうな。」
「そうと決まれば、行くか。」
酔いも覚めないうちに髭面の兵士は店を出る。
「あいつ…!今度奢ってもらうからな!」
背の高い兵士は会計を済ませて外に出ようとした時、入口が爆発した。
「は?なんなんだ、これ。」
立ち上がり、今度こそ外に出る。
砲撃音が聞こえ、やっと攻撃だと理解した。
「あいつは?!」
探しても髭面の兵士はいない。
とにかく隠れよう!
あいつなら生きていてもおかしくない!
彼は心の中でそう決めて、もう住民が逃げて静まり返った家に隠れた。
「撃てっ!」
号令と共に九六式十五糎榴弾砲と九二式十糎加農砲、総計56門が順に火を噴く。
「そろそろ頃合いか。騎兵隊、歩兵隊、突撃せよ!」
命令を受けて、混乱が渦巻く西安の市外に部隊が流れ込んだ。
また、砲撃音が聞こえる。
どんどん近くなっている。
彼は銃を構えながら、内心怯えていた。
すると、いまだ迎撃態勢が気づけていない国民党軍部隊を騎兵が蹴散らしているのが見えた。
続々と雪崩れ込んできて、歩兵は家屋を一つ一つ制圧している。
発見されるのも時間の問題だ。
今自分が生き残るには戦ってここから逃げなければならない。
だが、発砲すると位置が割れてしまって反撃を受けるかもしれない。
考え込んでいると、故郷に残してきた妹のことが脳裏に浮かんだ。
「俺は、妹が安心して結婚して幸せに暮らせるように、志願した。なぜ、今まで忘れていたのだろう。なら、やるべきことは1つしかない。」
彼は銃口を日本軍の兵士に向ける。
「くたばれ!日帝共!」
彼の銃が火を噴いた直後、無数の弾丸が彼を貫いた。
「なんとか、逃げれたぜえ…。」
髭面の男は、もぬけの殻になった家から盗んだ金目の物を持ちながら軍の兵舎があるところまで向かっていた。
「流石に、これを持っていったままだとまずいから林の奥に埋めるか。」
男は林の奥に入っていく。
「そういえば、あいつは大丈夫なのか。ま、関係ないか。」
男は目星をつけて財産を埋める。
不意に、足音がした。
「ん?誰だ?」
顔を上げた男は、目の前にいる日本軍の兵士を見て呆然とした。
「こいつを研究所を連れていけ。」
部隊長らしい人物がそう命令して、2人の兵士が男を拘束しようとする。
「何をする!」
男はまた逃れようと暴れたが、首に一撃を喰らい気絶した。
「本当に、我々だけで動いて大丈夫なのですか?」
1人の兵士が部隊長に聞く。
「大丈夫も何も、我々は満州国第731部隊だからな。指揮系統は別さ。」
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
空母鳳炎奮戦記
ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。
というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!
日は沈まず
ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。
また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
渡世人飛脚旅(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)
牛馬走
歴史・時代
(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)水呑百姓の平太は、体の不自由な祖母を養いながら、未来に希望を持てずに生きていた。平太は、賭場で無宿(浪人)を鮮やかに斃す。その折、親分に渡世人飛脚に誘われる。渡世人飛脚とは、あちこちを歩き回る渡世人を利用した闇の運送業のことを云う――
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる