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ミッドウェー攻略
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1942年3月25日。
山本は第1航空艦隊に第5航空戦隊の翔鶴と瑞鶴を加え、空母8隻、戦艦4隻、重巡5隻、その他40隻ほどの艦隊をミッドウェーに進めた。
ミッドウェー島は伊200型20隻の海上封鎖により干からびており、現地守備隊は第1航空艦隊を発見するや否や降伏を申し出てきた。
「ミッドウェーがここまで簡単に陥落するとは思わなかったな。」
山本は再建されていくミッドウェー島を見ながら言う。
「すでに彼らには戦う力すら残っていなかったようです。体はやせ細り、病院には亡骸の山。もし自分が彼らの立場なら同じように降伏を選択したでしょう。」
航空参謀である源田の言葉に山本も納得する。
考えてみればミッドウェー島というのはかなり小さく、食料は自給できない。
なので輸送船で送られてくる食料は文字通り命綱なのだ。
それを3カ月も絶たれた島の状況は察するに難くない。
「…それはそうと、ハワイ攻略の目途は立ちそうか?」
「現在、ハワイ方面でも伊200型10隻ほどで輸送船を撃破し続けていますが、やはり完全な海上封鎖には程遠いと。」
「ミッドウェー攻略が済んだんだ。この海域にいた20隻の伊200型を増援として送り込もう。」
「敵機捕捉!」
電探に張り付いていた副艦長が叫ぶと板倉はすぐに潜航を命じた。
「敵さん、この頃やけに神経質だな。」
これで航空哨戒を捉えたのは今日で5度目だ。
「なにかあるのでしょうな。例えば、大艦隊が真珠湾に入港するとか。」
十中八九そうだろう。
板倉はそう思いつつ2時間後に艦を浮上させようとした。
「…!待ってください!スクリュー音が微かですが聞こえます!」
ソナー観測員の言葉に板倉はすぐに反応した。
「浮上やめ!」
徐々に大きくなっていくスクリュー音。
それも1つや2つではない。
板倉は満を持して潜望鏡を覗く。
「通信兵、すぐに打電だ!空母5、戦艦10の大艦隊を捕捉!位置はオワフ島から600海里!」
レーダーに発見されたのか駆逐艦の数隻がこちらに向かってくる。
「潜航しつつ敵艦隊の中に入り込むぞ!」
数分後にはかなり離れたところではあるが爆雷の爆発音が聞こえ始めた。
だがそれがアメリカ軍のソナーを無効化してしまう。
そのため伊219は発見されずに艦隊の中に紛れ込んだ。
「ともかく空母を狙うぞ!」
板倉はちょうど伊219の真正面に居た空母に狙いを定める。
「全発射管、準備完了!」
副艦長からの報告を聞いて板倉は叫んだ。
「前門、発射!」
その号令の後8本の酸素魚雷が空母に突き進んでいく。
内2本は惜しくも外れたが残る6本の魚雷は1隻の駆逐艦に1本、空母に5本命中した。
「急速潜航!」
板倉は戦果を確認するまでもなくそう命じた。
直後に爆雷が降ってきたが伊200型は水中高速潜水艦であり、爆雷は伊219が居た深度よりも浅いところで爆発した。
10分後にかなり大きな音が聞こえた。
「敵空母はおそらく沈んだな。」
板倉はそう確信した。
山本は第1航空艦隊に第5航空戦隊の翔鶴と瑞鶴を加え、空母8隻、戦艦4隻、重巡5隻、その他40隻ほどの艦隊をミッドウェーに進めた。
ミッドウェー島は伊200型20隻の海上封鎖により干からびており、現地守備隊は第1航空艦隊を発見するや否や降伏を申し出てきた。
「ミッドウェーがここまで簡単に陥落するとは思わなかったな。」
山本は再建されていくミッドウェー島を見ながら言う。
「すでに彼らには戦う力すら残っていなかったようです。体はやせ細り、病院には亡骸の山。もし自分が彼らの立場なら同じように降伏を選択したでしょう。」
航空参謀である源田の言葉に山本も納得する。
考えてみればミッドウェー島というのはかなり小さく、食料は自給できない。
なので輸送船で送られてくる食料は文字通り命綱なのだ。
それを3カ月も絶たれた島の状況は察するに難くない。
「…それはそうと、ハワイ攻略の目途は立ちそうか?」
「現在、ハワイ方面でも伊200型10隻ほどで輸送船を撃破し続けていますが、やはり完全な海上封鎖には程遠いと。」
「ミッドウェー攻略が済んだんだ。この海域にいた20隻の伊200型を増援として送り込もう。」
「敵機捕捉!」
電探に張り付いていた副艦長が叫ぶと板倉はすぐに潜航を命じた。
「敵さん、この頃やけに神経質だな。」
これで航空哨戒を捉えたのは今日で5度目だ。
「なにかあるのでしょうな。例えば、大艦隊が真珠湾に入港するとか。」
十中八九そうだろう。
板倉はそう思いつつ2時間後に艦を浮上させようとした。
「…!待ってください!スクリュー音が微かですが聞こえます!」
ソナー観測員の言葉に板倉はすぐに反応した。
「浮上やめ!」
徐々に大きくなっていくスクリュー音。
それも1つや2つではない。
板倉は満を持して潜望鏡を覗く。
「通信兵、すぐに打電だ!空母5、戦艦10の大艦隊を捕捉!位置はオワフ島から600海里!」
レーダーに発見されたのか駆逐艦の数隻がこちらに向かってくる。
「潜航しつつ敵艦隊の中に入り込むぞ!」
数分後にはかなり離れたところではあるが爆雷の爆発音が聞こえ始めた。
だがそれがアメリカ軍のソナーを無効化してしまう。
そのため伊219は発見されずに艦隊の中に紛れ込んだ。
「ともかく空母を狙うぞ!」
板倉はちょうど伊219の真正面に居た空母に狙いを定める。
「全発射管、準備完了!」
副艦長からの報告を聞いて板倉は叫んだ。
「前門、発射!」
その号令の後8本の酸素魚雷が空母に突き進んでいく。
内2本は惜しくも外れたが残る6本の魚雷は1隻の駆逐艦に1本、空母に5本命中した。
「急速潜航!」
板倉は戦果を確認するまでもなくそう命じた。
直後に爆雷が降ってきたが伊200型は水中高速潜水艦であり、爆雷は伊219が居た深度よりも浅いところで爆発した。
10分後にかなり大きな音が聞こえた。
「敵空母はおそらく沈んだな。」
板倉はそう確信した。
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