帝国夜襲艦隊

ypaaaaaaa

文字の大きさ
上 下
2 / 38

軍縮会議

しおりを挟む
1922年1月23日。
伏見宮は海軍大臣である加藤三郎と連れてきた南雲、山本とともに軍縮会議に臨んでいた。
「さて、英米は騙されてくれただろうか。」
伏見宮は若干心配そうに言った。
「必ず騙されています。」
山本が力強く言った。


軍縮会議にはアメリカからヒューズ国務長官、イギリスからはバルフォア外務大臣が参加していた。
「我が国は中国の門戸開放、そして英:米:日の艦隊保有比を5:5:3とすることを要望します。」
ヒューズの言葉にバルフォアも同調する。
「我が国も同じく。」
この時、アメリカは日本の暗号電を解読しており日本が受け入れるだろう最低限の保有比を知っていた。
だからここまで強気に出れた。
これには伏見宮も勘づいていた。
だがそれは別にいいのだ。
「我が国は概ねそれを受け入れます。ですが、1つだけ譲歩していただきたい。」
加藤が堂々と言った。
「扶桑型4隻を空母に改装する代わりに加賀型を2隻、天城型を2隻建造させてもらいたい!」
ヒューズとバルフォアは少し考えた後答えた。
「分かりました。認めましょう。」


会議が終わった後、山本が満面の笑みで言った。
「やりましたね!」
「あぁ。長門型の主砲を38㎝3連装砲に急遽変えただけあったな。」
「全くです。」
南雲も頷いた。


山本があの時提案したのが、主砲の偽装だった。
本来なら41㎝連装砲を搭載する予定だったがそれでは過度に英米を刺激してしまう恐れがあった。
そうなれば新規の戦艦を建造することは絶望的になる。
そこで38㎝3連装砲に”一時的に”変えることで英米に日本の技術力を誤認させたのだ。
それでも戦艦の数が増えれば英米は警戒するだろう。
なので鈍足戦艦だった扶桑型4隻を空母に改装することで戦艦数の増減をなくしたのだった。


3月中旬に扶桑型4隻の改装が始まり、長門型2隻も無事竣工。
すでに大部分の船体が建造されていた加賀型2隻、天城型2隻は22年中の竣工が予定されていた。


1922年8月12日。
山本と南雲は扶桑型の改装図面を睨んで議論を交わしていた。
「航空機の発展は目覚ましいものがある。ならばこの3段式飛行甲板はいつか使えなくなる。」
「俺も同感だ。それとこの20.3㎝砲は使わんだろうな。新たに戦艦4隻が建造されている現状だと砲火力は足りているし、夜襲を前提とするならば空母は後方から航空機を出撃させるだけになるだろう。あの巨体で重巡以下の火力ではただの的だ。」
2人はすぐに設計図の修正を艦政本部に伝え、2層の格納庫に全通甲板を持つ設計図が完成し当初の計画から変更された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蒼雷の艦隊

和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。 よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。 一九四二年、三月二日。 スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。 雷艦長、その名は「工藤俊作」。 身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。 これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。 これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。

空母鳳炎奮戦記

ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。 というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!

信濃の大空

ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。 そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。 この小説はそんな妄想を書き綴ったものです! 前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!

連合艦隊司令長官、井上成美

ypaaaaaaa
歴史・時代
2・26事件に端を発する国内の動乱や、日中両国の緊張状態の最中にある1937年1月16日、内々に海軍大臣就任が決定していた米内光政中将が高血圧で倒れた。命には別状がなかったものの、少しの間の病養が必要となった。これを受け、米内は信頼のおける部下として山本五十六を自分の代替として海軍大臣に推薦。そして空席になった連合艦隊司令長官には…。 毎度毎度こんなことがあったらいいな読んで、楽しんで頂いたら幸いです!

暁のミッドウェー

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。  真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。  一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。  そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。  ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。  日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。  その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。 (※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部

山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。 これからどうかよろしくお願い致します! ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

処理中です...