空母鳳炎奮戦記

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第1航空艦隊

砲撃戦

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すでにスプールアンスは第2波空襲で死亡しており第58任務部隊の指揮官は戦艦隊指揮官のウィリス・リーが引き継いだ。
「日本艦隊はなおも突進を続けているだろう。現在、我々にはまともな航空戦力が存在しない。逃げていただけではいつか全滅してしまう。日本艦隊になんら損害を与えずに。」
リーは重い口調で言った。
「だから、こうして戦艦隊を分離させたわけですか。」
参謀はやっと合点がいった。
「そうだ。戦艦隊が夜襲を仕掛け日本艦隊の突進を頓挫させる。そして残りの艦隊はサンディエゴまで撤退させる。我々ができるのはこれくらいだ。」
リーの持ちうる戦力はノースカロライナ級のワシントン、サウスダコタ級のアラバマ。
そしてアイオワ級のミズーリとアイオワの合計4隻の戦艦隊と重巡5隻、軽巡2隻、駆逐12隻だった。
この部隊は東方に全力で引き返し日本艦隊との会敵を試みていた。
そして12時34分。
アイオワのレーダーが大艦隊の接近を知らせた。
「全艦、単縦陣に移行!」
これまで輪形陣だった艦隊が瞬く間に変わっていった。


「敵艦隊接近!」
連合艦隊も電探でアメリカ艦隊をしっかり捉えていた。
「樋端、どうすればいいだろうか?」
樋端は即答する。
「武蔵以下全戦艦と大型巡洋艦を前に出すべきです!航空隊による夜襲も考えましたがマドラス沖とは違って敵艦隊は炎上していません。彩雲のように機上電探を装備している流星はありませんので。」
山本は少し思案して決断を下す。
「砲撃戦用意!」


1時32分。
武蔵以下10隻の戦艦、そして古鷹型、青葉型重巡の主砲を撤去し前後に空母改装時に残された扶桑型の45口径38㎝砲を搭載した大型重巡4隻がアメリカ艦隊まであと50㎞に迫っていた。
「大和型、試射始め!」
砲撃戦の指揮は伊藤誠一中将が執った。
号令をもとに大和型2隻が1発ずつ砲弾を放つ。
電探による統制射撃はかなり正確だったものの初弾は外れた。
だが次は斉射だった。
合計18発の46㎝砲弾が吸い込まれるように先頭艦付近に集約されていく。
そして光が見えた。
命中したのだ。


リーは先頭を航行していたワシントンの近くに砲弾が命中したことに驚愕していた。
「日本艦隊との距離はまだ40㎞ほど離れているはずだ!なぜ砲撃できている!」
その場に居た誰も答えられなかった。
直後にワシントンが大爆発を起こし戦闘不能になった。


大和型はその長大な射程を活かしたアウトレンジ戦法を展開。
アイオワなどが日本艦隊を射程に収めたころにはワシントン、アラバマが大破していた。
すぐに反撃を開始しようとしたアイオワとミズーリだが長門型2隻と筑前型2隻の洗礼を受けた。
アイオワ級やサウスダコタ級の主砲であるMark7は長門型や筑前型の主砲と同程度だったからだった。
それでもアメリカ艦隊は金剛に3発、筑前に2発、武蔵に5発の命中弾を与えたものの全艦が中破どまりだった。
逆にアメリカ艦隊はワシントンとアラバマ、そしてミズーリが完全に沈没しアイオワは中破以上の損害を被っていた。
リーは最期あで戦うことを決意していたがそれをあざ笑うかのようにアイオワが大爆発を起こした。
ここで残りの艦艇の乗員も戦意を失った。
リーは日本側に降伏の旨を伝えると自分は拳銃で胸を撃ち抜いた。
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