空母鳳炎奮戦記

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第3航空艦隊

砲撃戦

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パッカーは2月15日付けで中将に昇進していた。
異例の人事ではあったが残存していた東洋艦隊を指揮できるのは彼しかいなかった。
他の幹部はすでに西インド洋海戦で戦死していた。
「我々の目標はマドラスの港湾拠点を撃破するのだ!」
パッカーの言葉に他の士官も決意を新たにする。
残存していた東洋艦隊は戦艦リベンジ、レゾリューションと駆逐艦13隻だった。
護衛艦艇は十分とは言えなかったが、日本海軍は艦載機を陸揚げしているとの情報があった。
そのためパッカーは攻撃機会は今しかないと出撃したのだ。


「敵艦隊は戦艦2隻を含む模様!」
鳳炎艦橋には続々と情報が入ってくる。
「ここは榛名と霧島を出すしかないか…。」
東洋艦隊の情報通り第3航空艦隊は母艦航空隊を最低限しか搭載していなかった。
「そのようです。空母艦隊は臨時的に阿部艦長に率いさせマドラスから退避させます。」
そして小沢と草鹿は榛名に移乗し出撃した。


すでに辺りは暗闇に閉ざされていた。
敵艦隊を捕捉できるのは電探だけ。
艦隊内では独特の緊張感が支配していた。
そしてついに電探が20隻ほどの艦隊を認める。
「全艦、単縦陣に移行!」
草鹿は航空屋ながらもさすがに基本的な砲撃戦は知っていた。
どうやら敵艦隊も我々を捕捉したようで同じように陣形を変化させた。
そして1時間半後、砲戦距離になった。


「砲術長、敵の先頭艦を狙え。」
「分かっています。」
照準は電探だけが頼りだった。
まずは第1砲塔が砲撃する。
砲弾の光は暗闇にくっきりと浮かび上がった。
「弾着、今!」
それと同時に光が消える。
外れた。
「敵艦からの砲撃が来ます!」
たしかに光がこちらに向かってきていた。
だがかなり手前で消えた。
「照準修正完了!」
「撃て!」
斉射だった。
霧島も後に続く。
16の砲弾は先頭艦の報告に集約されていく。
今度は大きな光が見えた。
「命中!」
艦橋では歓声が上がった。


「敵弾命中!」
リベンジに座上していたパッカーは驚いた。
この距離では砲撃を命中させるのはかなりの技量が必要となる。
まして夜間だ。
不可能に近いだろう。
それを日本海軍はやってのけたのだ。
「被害はどうだ?」
「カタパルトが破壊され、装甲がかなりのダメージを負っていますが貫通されていません。」
「ならば反撃可能だ!こちらも斉射する!」
先ほどの砲撃である程度の偏差がつかめていた。
「放て!」
こちらも16発の砲弾が榛名に向けて飛んでいく。
そして爆発が起こり火災が発生した。
「敵戦艦に命中!」
パッカーは思わずガッツポーズをした。
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