空母鳳炎奮戦記

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南洋艦隊

南洋艦隊出撃

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1式陸攻32機と零戦13機、風翔5機がガダルカナル飛行場から発進した。
目標はガダルカナル島から500㎞程離れた海域で発見した重巡2隻をはじめとする艦隊。
1時間半ほどで到達できる距離だった。
「機長、そろそろ敵艦隊が見える頃です。」
「そうだな。こんな晴天では見逃すことはあり得ないだろうな。」
そして案の上敵艦隊が見えた。
「攻撃命令が来ました!」
「わかった、行くぞ。」


最初に攻撃を行ったのは雷撃隊だった。
雷撃隊は2隊に分離し、重巡2隻を挟み込んだ。
対空砲火は低調で容易に雷撃ができた。
重巡は回避運動を行ったが、左右から迫る魚雷を避けきることはできなかった。
4本と3本が命中し速度が急激に低下する。
そこに水平爆撃が行われる。
すでに瀕死の重巡に6発と3発が命中した。
これが決定打となり2隻の重巡は轟沈した。
被撃墜は2機に留まった。


陸攻隊がガダルカナル島に帰還した頃、トラックに停泊していた南洋艦隊に本土から少数の護衛艦を伴って空母扶桑、山城が到着した。
本来なら船団護衛をしながらの到着のはずだったが、量産化された駆潜艇により潜水艦の脅威が取り除かれたことでその必要も無くなった。


「やはり、南洋に3隻も空母はいらないな。」
井上の口から自然とこぼれた。
事実、船団襲撃や艦隊攻撃まですべて陸攻隊や潜水艦隊がやってくれる。
鳳炎はこの2か月、1度も実戦に参加していなかった。
「だからこそ、練兵場代わりになるのでしょう。」
樋端がそういうと井上もうなずいた。
その時だった。
「失礼します!」
いきなり執務室の扉を開けて伝令兵が入ってくる。
「潜水艦からの報告で、マンジェロ沖に敵艦隊が出現!空母1、戦艦2隻を含む模様!」
「マンジェロ沖か…さすがに基地航空隊では無理だな。」
「では、我々が行くしかないようですね。」


ブラウン中将はレキシントンを旗艦に据えていた。
そのほうが航空戦の指揮が取りやすいからだ。
「さて、どうするか…。」
ブラウンが迷っているのは何を攻撃するかだった。
太平洋艦隊の方針としては、敵空母を撃破しその隙にガダルカナルを占領するというものだった。
だが、これにはガダルカナルの飛行場が完成していないという前提条件があった。
その前提条件が崩れてしまったのだ。
どうやら、司令部が予測していた時期よりもかなり早く飛行場が完成してしまった。
すでにオーストラリア海軍の主力が日本の陸上攻撃機に撃破されたという。
「司令、ここはガダルカナル飛行場を攻撃しましょう!」
参謀にさらなる発言をうながす。
「日本海軍の空母は永続的にガダルカナルに置いておくことはないでしょう。飛行場が完成したのならなおさらです。つまり、ガダルカナルを守る戦力は現地の航空戦力しか存在しない。そしてその戦力は多くても100機は越えません。このレキシントンの艦載機は100を越えます。今なら飛行場を破壊できます!」
その参謀の意見は理にかなっていた。
「よし、ならばそれで行こう。」
ブラウンはガダルカナルへ針路を取らせた。
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