空母鳳炎奮戦記

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南洋艦隊

初の実戦

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2月7日。
井上は空母鳳炎と数隻の護衛艦を伴ってガダルカナルに錨を下ろしていた。
「まだ無理か。」
建設を開始したのが1月の後半だった。
滑走路はやっと1本目ができるかくらいである。
その代わり、空母鳳炎に新型艦戦を配備した。
「あの新型、どうだ?」
井上は端的に尋ねる
「かなりの重武装で、なおかつ防弾板もしっかりしていて完全に零戦の上位互換です。ですが、やはりその大きさが問題です。それに数が出るのかが心配です。」
「なるほど、戦闘に関しては申し分ないというわけか。生産に関してはそのうち中央でも決められるだろう。」



スプールアンス率いる第5巡洋戦隊はガダルカナルまであと300㎞に迫っていた。
「ちょうど夜に到達できそうだな。」
現在の時刻は午後3時。
5時間後に到着する計算だった。
日本の航空隊の脅威はスプールアンスも分かっていた。
だから夜にしたのだ。
航空機での夜間活動は危険極まりないからだ。
レーダーの有無について考えたが、輸送船が増え始めた時期から考えてまだ設営されてない可能性が高い。
「さっさと終わらしてしまおう。」
スプールアンスはそうとだけ言った。


鳳炎の電探が迫りくる艦隊を捉えたのは午後3時半だった。
「どうやら、アメリカは我々の目的に気づいたらしい。」
ではどうするか。
流石に長門達をここに呼び寄せる時間はない。
「攻撃隊を出撃させる。」
「すぐに伝えてきます。」
樋端は部屋を出ていった。


攻撃隊の編成は99式艦爆が33機、97式艦攻が23機、そして一式艦戦こと風翔が12機の総勢68機だった。
それが電探に導かれて敵艦隊に向かっていった。


「やっと来たか。」
スプールアンスはレーダーに機影が現れたことに胸をなでおろした。
陸軍の護衛戦闘機がなかなか来なかったからだ。
だが、その機影が30機を超えたころからスプールアンスは悪寒を覚えた。
そして違う方向から20機程度の編隊が見えた時、彼は奇襲の失敗を確信した。


攻撃隊は一路敵艦隊に向けて飛んでいたが、敵戦闘機の襲撃を受けた。
3機の艦攻が被弾する。
だが、防弾板が致命傷を防いだ。
風翔隊は攻撃が不発に終わった敵戦闘機に30ミリの洗礼を浴びせる。
まさに鎧袖一触だった。
瞬く間に21機のP‐39は粉砕された。


攻撃隊が敵艦隊を発見したのは午後4時46分だった。
「攻撃開始!」
号令と共に艦攻が低空で侵入する。
アメリカ海軍も応戦するが当たらない。
当たっても致命傷にならない。
そうしている間に重巡へ次々と魚雷が投下される。
それとほぼ同時に99式艦爆による急行爆撃が行われた。
500㎏の徹甲弾が甲板を貫通し、魚雷の被害で浸水していた4隻の重巡にとどめを刺す。
スプールアンスは駆逐艦に移乗した。
「この借りは…かならず!」
彼は飛び去る日本軍の攻撃隊を見ながら固く誓った。
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