皇国の栄光

ypaaaaaaa

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受諾

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5月30日。
チャーチルは日本占領下のイラク王国の首都であるバグダッドに側近を伴って赴いていた。
先日に発表された東京宣言の受諾文書に調印するためだった。
「チャーチル首相、ご足労いただきありがとうございます。」
中東方面を安藤から任されていた武藤章がそう言った。
「では確認させていただきます。1、貴国のアジア利権を全て手放し、アジア全域の独立を承認する。2、我が国とその同盟国と白紙講和。3、産業に関しては1936年時点の状況に戻す。4、アフリカにおいても段階的な独立を承認する。以上になります。」
「間違いありません。」
チャーチルは暗い顔で言った。
そこに武藤が通訳を介して話す。
「チャーチル首相、貴国の英断に感謝いたします。そして少しお話がありまして。」
「なんでしょう。」
「米国との仲介をお頼みしたいのです。これ以上の流血は無駄なことです。もちろん、成果の有無にかかわらず小銃や戦車をそれぞれ1個大隊ほど提供いたします。」
チャーチルは少し悩んで答えた。
「分かりました。努力いたしましょう」
そして武藤とチャーチルは強く握手した。


『お伝えいたします。昨日、チャーチル首相がバグダッドにて大日本帝国陸軍の武藤章中将と会談いたしました。そして東京宣言を受け入れる旨を伝え、我々と大日本帝国の戦争状態は解除されました。なお、ドイツ第3帝国とは戦争状態が続いておりチャーチル首相はドイツとの戦争が終結するまでその職にとどまることになりました。』
「ねぇ。お母さん。どうなったの?私たちは負けたの?」
不思議そうにメリー・ロバートが母に尋ねた。
「…いいえ。引き分けよ。」
母は言葉を少し濁らせた。
「じゃあ、お父さんは帰ってくるの?」
母は少し間をおいて答えた。
「お父さんはね。飛行機の乗り方をみんなに教えてるからまだ帰ってこれないの。」
「残念ー。」
「ほら、もう寝る時間よ。」
「はぁーい。」
そう言ってメリーはベッドに入った。
メリーが寝たのを確認した母は泣き崩れた。
「あなたぁ…すぐに帰ってくるって言ったじゃないのぉー!メリーと一緒に飛行機に乗るって言ってたじゃないのぉー!」
彼女は空母の甲板上で中隊長マークの飛行機を背景に腕を組んで笑っている夫の写真を見ながら叫んだ。
だが誰にも届かない。
彼女は少し落ち着くとそのまま廊下に寝てしまった。
そして2時間後、彼女は毛布にくるまりながら起きた。
「あれ、なんで…。」
そう不思議に思っていると不意に聞こえた。
「メリーを、飛行機に乗せてやってくれ。あとは頼む。あと、俺のために泣いてくれてありがとう。」
その声はもう聴くことはできないはずの優しく、落ち着く声だった。
「…うん。まかせて。」
彼女は涙をこらえなが笑顔でうなずいた。
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