皇国の栄光

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帝国議会議事堂での会議

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5月25日。
犬養の死去に伴い首相代行に就任した石原は議会議事堂にいた。
「そろそろお時間です。閣下。」
安藤がそう声をかける。
「分かった。では行こう。」
石原はどこか弱弱しい声で答えた。


今朝から、帝都東京は異様な警戒態勢が敷かれていた。
万が一の事態に備えた陸軍1個師団が議事堂周辺を警備していて、空では疾風が轟音を轟かせていた。
そして、議事堂の中では日本により欧米の植民地から独立した国々の首長が集まっていた。
「今日はお集り下さりありがとうございます。只今より第一回大亜細亜会議を開催いたします。」
石原がそう言うと各国の首長は拍手でもって応えた。
その後、蒋介石、スカルノやホセユーロ、バアモウ等がアジアの結束の重要性を演説し、最後に石原が壇上に立った。
「大日本帝国を代表させていただいてアジアに住む幾億の人々にこの場を借りて伝えたいことがあります。」
石原は少し間を置いて口を開く。
「我々は犬養首相の元、東亜全局の平和のために戦い続けてまいりました。中頃からは東亜のみならず、全てのアジア民族を解放せんがためにその戦火を広げました。結果として現在、アジア全域は独立を手にしました。ですが、それでもな依然として欧米は征服の野望を無くしておりません。これ以上の流血は無駄なことであります。我々はここに欧米に講和を迫る東京宣言とアジア全域の独立を宣言する大亜細亜宣言を採択致します。」
石原が話し終わると議場は万雷の拍手に包まれた。


「お疲れ様でした、閣下 。」
安藤はそう労いの言葉をかけた。
「あぁ、これでこの戦争が終わればいいのだが。」
石原は思案気味な顔をしながら言った。
「英国は十中八九受諾するでしょう。ですが米国は…。」
「米国は応じないだろうな。彼らには世界最を敵に回しても勝ててしまう工業力がある。既に艦隊の再建に着手しているそうだ。」
「やはり彼の国に受諾させるには世論に打撃を与えなければいけませんね。そうなると、海軍のあれを使うしか…。」
安藤がそういうと石原は怒気を孕んだ声で言った。
「あれは最後の手段だ。通常の砲弾のように使った時、我が国は末代まで虐殺者罵りを受けることになるだろう。」
[…思慮不足で申し訳ございませんでした。」
すると石原は口を開いた。
「だが、このまま戦争が長引けば無駄な血が流れるのは確実だ。2か月後だ。2か月後までに米国が講和に応じなければ使用を許可する。」
安藤は石原の顔を見た。
苦悩と葛藤に満ちた顔だった。

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