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5月15日
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『帝国海軍は、昨日から今朝にかけてハワイ方面にて米主力艦隊と猛烈な艦隊決戦を行い、損害を負いながらもこれを撃滅せり。…」
ラジオから聞こえてくる戦勝報告をききながら、犬養は石原を総理官邸に召集していた。
「君たち、よくぞ帝国に勝利をもたらしてくれた。だが、大臣自ら前線に出るのは私でも予想がつかなかったが。」
そう言われた石原は少し気まずそうに口を開いた。
「そういわれましても、やはり軍人の性といいますか…。」
犬養は眉を潜めて恨めしそうに言った。
「私がどれだけ心配したと思ってるんだ…。山本君も大和にのってハワイに行ってしまったし。」
「まあまあ、こうして生きて帰ってきたのですから。」
そう石原がなだめると犬養は不満そうな顔をしながらも恨み節をやめた。
すると不意に犬養は話し始めた。
「そういえば、君は私の恩人だったな。」
「なんのことです?」
石原は不思議そうに尋ねた。
「7年前の2月のことだ。」
「…気づいておられたんですね。」
「君が官邸に来る前から軍靴の音が聞こえていたんだ。これが私の定めと思い静かに過ごしていたのだがいきなり怒鳴り声が聞こえてその直後に君が来たんだ。」
「そうだったんですか。」
「そうだ。」
犬養がはそういうと咳き込みはじめた。
「大丈夫ですか?」
「ふっ、私も年だな。できればこの戦争が終わるまでは生きていたいが…。」
そうすると犬養は石原の方に向き直り頼んだ。
「もし、私が死んだら君が後を継いでくれ。」
犬養の目は本気だった。
「…承知しました。」
「そうか。ありがとう。」
犬養は安堵した顔で言った。
5月15日。
『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。本日未明、犬養首相が首相官邸におかれまして急性心不全により亡くなられました。まことに哀痛の極みであります。また石原莞爾陸軍大臣が遺言に従い、首相代行に就任しました。選挙については後日、期日を発表するとのことです。またアジア各国から弔問が届いております。次のニュースです。先日、東京にアジア各国が…。』
ラジオから聞こえてくる戦勝報告をききながら、犬養は石原を総理官邸に召集していた。
「君たち、よくぞ帝国に勝利をもたらしてくれた。だが、大臣自ら前線に出るのは私でも予想がつかなかったが。」
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犬養は眉を潜めて恨めしそうに言った。
「私がどれだけ心配したと思ってるんだ…。山本君も大和にのってハワイに行ってしまったし。」
「まあまあ、こうして生きて帰ってきたのですから。」
そう石原がなだめると犬養は不満そうな顔をしながらも恨み節をやめた。
すると不意に犬養は話し始めた。
「そういえば、君は私の恩人だったな。」
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「…気づいておられたんですね。」
「君が官邸に来る前から軍靴の音が聞こえていたんだ。これが私の定めと思い静かに過ごしていたのだがいきなり怒鳴り声が聞こえてその直後に君が来たんだ。」
「そうだったんですか。」
「そうだ。」
犬養がはそういうと咳き込みはじめた。
「大丈夫ですか?」
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そうすると犬養は石原の方に向き直り頼んだ。
「もし、私が死んだら君が後を継いでくれ。」
犬養の目は本気だった。
「…承知しました。」
「そうか。ありがとう。」
犬養は安堵した顔で言った。
5月15日。
『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。本日未明、犬養首相が首相官邸におかれまして急性心不全により亡くなられました。まことに哀痛の極みであります。また石原莞爾陸軍大臣が遺言に従い、首相代行に就任しました。選挙については後日、期日を発表するとのことです。またアジア各国から弔問が届いております。次のニュースです。先日、東京にアジア各国が…。』
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