皇国の栄光

ypaaaaaaa

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艦隊旗艦、大和と猛牛の元へ

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「何があった!?」
山口は黒島に問いただす。
「分かりません!ですが何か…。」
黒島が言い終える前にミズーリが大爆発を起こして一瞬で海の藻屑となった。
「電探に感あり!距離50000に艦影多数!」
電探兵がそう報告した。
「50000だと!?電探性能は波の影響だとしても、いくらなんでも離れすぎている…なんなんだ?」
そう疑問を口にした直後、サウスダコタの周りに水柱が立つ。
「長官!電文です!」
通信兵がそう言って電文を手渡す。
『我、これより砲撃戦の指揮を執る。大日本帝国海軍海軍大臣、山本五十六。』
それを読んだ山口は脱力し、長官席に腰かけた。
「伊藤、あとは彼らに任せよう。」
「はっ。」
そう言った伊藤は撤退準備に取り掛かった。


「一体どうなっている!?」
スプーアンスは燃え上がるサウスダコタを見ながら叫ぶ。
「どうやら50000以上の距離から砲撃されているようです!」
「くそっ!ジャップの奴はそんな化け物を隠し持っていたのか!」
そう言っていると今度はワシントンに砲弾が命中した。
「ワシントン!一瞬にして中破!」
続々と入ってくる損害報告にスプールアンスは冷静さを失っていった。


「敵艦、炎上。」
大和艦長の有賀は双眼鏡を見ながら淡々と報告する。
「流石、選抜されたものだけで構成されただけのことはあるな。航空屋の私でも分かるほど精度がいい。」
山本も炎上する米戦艦隊を見ながら言った。
「それもありますが、何といっても世界最大の主砲である51㎝砲が18門もそろえば米海軍の非力な戦艦に対して、凄まじい効果があるのは自明かと。」
「そうだな。超大型空母2隻を諦め、その船体を流用し大和と武蔵を造った甲斐があってよかった。」
そう話しているとまたも砲撃の強烈な衝撃に襲われる。
「…毎回、敵弾が被弾したと身構えてしまうことはどうにかならんだろうか。」
山本がそう愚痴をこぼす。
「大和に乗ったんならそれぐらいは我慢してください。」
有賀は冷静に言った。
「そういえば、そろそろ夜明けか。」
「はい。航空隊の方もすでに紅龍と石槌の攻撃準備が完了していると報告を受けています。」
「旧ホーネットは初陣か。だが今回に限っては対空砲火もそれほどだろうから大丈夫か。」
山本は燃え盛る敵艦隊の方を眺めながらそう言った。


「司令官!すでに我が艦隊は半数近い艦を喪失しています!」
スプールアンスは呆然と燃える戦艦達を見ながら聞いていた。
そして目を瞑り考える。
ハルゼーならどうするか。
現状、自分たちの勝機は無くなったに等しい。
これ以上戦ってもいたずらに命を消費し続けるだけだ。
そして彼は決意し、艦隊放送を流した。
「全艦に告ぐ!我々はこれより撤退戦に入る!まだ動ける艦は早急に撤退せよ!そして戦闘不能や著しく損害を受けた艦は降伏を許可する!」
そして今度は艦内放送を流す。
「我が艦は、他艦の撤退を援護するため最期の突撃を敢行する。強制ではない。生きたいものは20分後に駆逐艦が来る。それまで海上にて待機せよ。」
そう言い終わると彼は指令室の側近たちにも言う。
「ここまで付いてきてくれたことを感謝する。先ほども言ったように我が艦は最期の突撃を敢行する。生きたいものは生きていい。」
そう言われた側近たちは何食わぬ顔で言う。
「今更ですよ。当の昔に死ぬ準備はできています!」
「…そうか。」
スプールアンスの頬には水が伝っていた。


「敵戦艦!接近してきます!」
「何!?」
山本と有賀は双眼鏡で確かめる。
「全砲門、あの戦艦に標準を合わせろ!」
有賀は声を荒げて命令する。
砲撃が開始される。
だが、当たらない。
「なんて操艦技術だ…!」
双方の距離はどんどん縮まっていく。


「面舵!」
スプールアンスは巧みな操艦で砲撃の損害を最小限に抑えていた。
「司令官!あと少しで射程に入ります!」
「砲撃用意!」
スプールアンスは命令を下す。
すると誰かが歌いだした。
「愚かなヤンキーがポニーで町に行った。帽子に羽根を刺して。「マカロニ」を気取ってる。」
するとその輪はすぐに広がり艦橋中で歌われた。
「ヤンキー野郎、頑張れ。ヤンキー野郎、男前だぞ。音楽に合わせてステップ踏めば、女の子もお手の物さ。」
そうしていると日本艦隊の砲撃が命中する。
それでも歌声は止まない。
そればかりか大きくなっていく。


「矢矧達を退かせろ。」
山本は冷静に言った。
「分かりました。」
有賀も冷静さを取り戻し同意する。
「武蔵に我が艦の援護を要請しろ。」
そうして山本は改めて敵艦を見据えた。


「撃て!」
その号令と共にアイオワの砲弾が大和に向けて放たれる。
「命中!」
「よし!」
だが反撃の砲弾がすぐに飛んでくる。
スプールアンスは衝撃に襲われた。
「損害報告!」
「第3砲塔使用不可!」
「まだいける、まだいけるぞ!」
そうしてまた砲撃を行う。
だが、2対1では限界があった。


「司令官…残念ながら我が艦の戦闘能力は喪失しました。」
「そうか。」
そう言ったスプールアンスの顔は晴れ晴れしていた。
「みんなありがとうな。では、総員退艦!」
「「「はっ!」」」
そうして役目を終えたスプールアンスは指令室で静かに座って待った。
「結局、あなたの仇は取れませんでした。申し訳ございません。」
彼はそう言った。
「ですが、最期は楽しかったです。久しぶりに砲撃戦ができて。」
屈託のない笑顔で言った。
そうすると傾斜がきつくなって行く。
そして彼を海水が冷たく包み始めた。
彼の意識はゆっくりと薄れていく。
「提督…今…逝きます。」
そして彼は確かに聞いた。
「あぁ。お前はよくやった。ゆっくり休め。」
あの懐かしい上司の声を。


「敵艦、転覆しました。」
報告を受けた山本と有賀は命令を下した。
「国家と国民と家族と信念のために散った勇士達に敬礼!」
その後、海に投げ出されていた米海軍兵を救助しホテルの名にふさわしい扱いを行い、敬意を表した。
そして日が昇った時には海域には旭日が翻っていた。
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