皇国の栄光

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天気晴朗ナレド波高シ

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「敵艦隊、発見しました!」
スプールアンスはその報告を聞き、命令を下した。
「戦艦隊、前へ!」
その号令に沿うように、米戦艦のペンシルべニア、ニューメキシコ、ミシシッピ、アイダホ、コロラド、メリーランド、ノースカロライナ、ワシントン、サウスダコタ、インディアナ、マサチューセッツ、アラバマ、アイオワ、ミズーリ以下重巡10隻と英戦艦ロイヤル・オーク、ネルソン、ロドニー、キングジョージ5世、デューク・オブ・ヨーク以下重巡5隻が突進していった。


「敵、接近してきます!」
山口はセイロンよりも深刻な顔をしていた。
「敵戦艦は少なく見積もっても20隻。対して我々は8隻、どうしたものか。」
すると黒島が意を決した声で言った。
「せめて空母艦隊が退避できるまで時間を稼がねばなりません。その時間は2時間。」
「…そうか。やるか。」
山口も意を決した。
「井上、角田に通達、空母部隊は早々に撤退せよ。そして南雲さんに連絡、夜戦の準備を。」
「分かりました。」
山口はその後艦隊に向けて檄を飛ばした。
「我々はできるだけ長く抗う。我々が負ければ皇国の栄光、アジアの栄光は消え失せてしまう。各員一層奮励努力せよ。」


「司令官、長官から水雷戦用意の伝達が来ています。」
「そうか。これぞ水雷屋の花だな。」
南雲は嬉しそうに言った。
それは艦隊内の下士官に至るまで同じだった。
「では、行こうか。」
そう言って南雲は艦隊に前進を命令する。
それに従って戦艦隊も前進を開始。
そして南雲は全艦隊にある電文を送った。
『天気晴朗ナレド波高シ』
それは日露戦争時の連合艦隊参謀秋山真之が発した電文だった。


「山本大臣。ハワイ沖で砲撃戦が発生するようです。」
有賀幸作が山本に言った。
「そうか…。間に合わなかったか。」
「ですが、山口長官はやり手です。それに配下にはあの黒島参謀がいます。なんとか持ちこたえられるのではないでしょうか。」
「それもそうだな。この海戦が皇国の運命を左右する日本海海戦より大規模な海戦となるだろう。現場の将兵には大きな負担がのしかかるだろうな。」
「それを乗り越えるのが大和魂を持つ日本海軍です。彼らを信じましょう。」
「あぁ。」
彼の見る空には星々が輝いていた。
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