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インパールに至るまで
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ビルマでは陸軍の快進撃が続いていた。
開戦劈頭、陸軍中央から出向していた安藤中将が指揮する日中両軍合わせて30万の大軍が越境。
空では旧式となった隼と疾風が共同でスピットファイアを打ち負かしていた。
快進撃の裏には、ビルマ独立義勇軍と南機関の活躍があった。
彼らはビルマ独立のために前々より支援を受けており、開戦と同時に決起、もしくは日本軍の指揮下に入った。
その効果はすさまじく、現地住民も情報、資材提供や独立義勇軍に参加していった。
鈴木敬司機関長はビルマ方面司令官の安藤中将と面会していた。
「鈴木機関長、独立義勇軍の方はどうですか?何か困ったことは。」
「特に。彼らは独立に向けて獅子奮迅のごとく戦っています。ですがもし、独立が認められなかった場合は不満が爆発するかもしれません。」
鈴木はそう事実を言った。
「分かっています。占領地の独立はその地域が自力で防衛できると判断されればすぐに承認されると内閣で決定しています。なのでもうすでに一国の軍隊規模を誇る独立義勇軍がいるビルマは比較的早くに独立できるでしょう。」
それを聞くと鈴木は安堵して少し姿勢を崩した。
「分かりました。ではバングラディシュにもいる独立派はいつ頃蜂起させればよいでしょう?」
「一応、ビルマは3月には制圧を終えることを目標に動いています。ですので早くても5月くらいになるかと。」
「分かりました。ではそのように。」
そういうと鈴木はビルマ人のオンサンを連れて自らの部隊に戻っていった。
「突撃!」
部隊長からの怒号に似た命令を聞き塚本幸一は走る。
銃弾が横を掠めながらも建物の陰に隠れる。
上空は完全に日本側が占有していた。
銃声がやみ、また走る。
これを繰り返しているうちにラングーンに入った。
「ぐはっ!」
隣にいた戦友が倒れる。
すぐに体を伏せる。
そして弾を撃った。
どうやら当たったらしく、倒れる音がする。
「おい!大丈夫か!」
塚本は駆け寄る。
「俺は…大丈夫だ。救護班が来てくれる。それまでは…耐えれるさ。」
彼は力なく笑いながら言った。
「…そうか。じゃあ先に行く。またな。」
そういうと塚本は走り出した。
そしてラングーンは陥落。
これによりビルマは完全に制圧され、その1週間後にビルマ国の建国が宣言された。
戦友は何とか助かった。
だが塚本は勝利以上にあることが気になっていた。
「日本ではさらしを使うがここの人たちは何も使わないんだな。」
彼はそう思いながら次の戦地に赴くことになる。
開戦劈頭、陸軍中央から出向していた安藤中将が指揮する日中両軍合わせて30万の大軍が越境。
空では旧式となった隼と疾風が共同でスピットファイアを打ち負かしていた。
快進撃の裏には、ビルマ独立義勇軍と南機関の活躍があった。
彼らはビルマ独立のために前々より支援を受けており、開戦と同時に決起、もしくは日本軍の指揮下に入った。
その効果はすさまじく、現地住民も情報、資材提供や独立義勇軍に参加していった。
鈴木敬司機関長はビルマ方面司令官の安藤中将と面会していた。
「鈴木機関長、独立義勇軍の方はどうですか?何か困ったことは。」
「特に。彼らは独立に向けて獅子奮迅のごとく戦っています。ですがもし、独立が認められなかった場合は不満が爆発するかもしれません。」
鈴木はそう事実を言った。
「分かっています。占領地の独立はその地域が自力で防衛できると判断されればすぐに承認されると内閣で決定しています。なのでもうすでに一国の軍隊規模を誇る独立義勇軍がいるビルマは比較的早くに独立できるでしょう。」
それを聞くと鈴木は安堵して少し姿勢を崩した。
「分かりました。ではバングラディシュにもいる独立派はいつ頃蜂起させればよいでしょう?」
「一応、ビルマは3月には制圧を終えることを目標に動いています。ですので早くても5月くらいになるかと。」
「分かりました。ではそのように。」
そういうと鈴木はビルマ人のオンサンを連れて自らの部隊に戻っていった。
「突撃!」
部隊長からの怒号に似た命令を聞き塚本幸一は走る。
銃弾が横を掠めながらも建物の陰に隠れる。
上空は完全に日本側が占有していた。
銃声がやみ、また走る。
これを繰り返しているうちにラングーンに入った。
「ぐはっ!」
隣にいた戦友が倒れる。
すぐに体を伏せる。
そして弾を撃った。
どうやら当たったらしく、倒れる音がする。
「おい!大丈夫か!」
塚本は駆け寄る。
「俺は…大丈夫だ。救護班が来てくれる。それまでは…耐えれるさ。」
彼は力なく笑いながら言った。
「…そうか。じゃあ先に行く。またな。」
そういうと塚本は走り出した。
そしてラングーンは陥落。
これによりビルマは完全に制圧され、その1週間後にビルマ国の建国が宣言された。
戦友は何とか助かった。
だが塚本は勝利以上にあることが気になっていた。
「日本ではさらしを使うがここの人たちは何も使わないんだな。」
彼はそう思いながら次の戦地に赴くことになる。
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