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ワルシャワ上空の旭日
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「クソっ!」
ポーランド空軍のスカルスキは厳しい状況にたっていた。
味方はドイツのBFー109に次々と落とされていった。
スカルスキは何とか生き延びていたが銃弾も尽き、後方には敵機。
生存は絶望的だった。
そこで彼の目にハインケルンが映る。
スカルスキはハインケルンに機体を向かわす。
「最後の抵抗だ!」
スカルスキとハインケルンが接触しようとした瞬間、ハインケルンと後ろの敵機が火を噴いた。
スカルスキは咄嗟にハインケルンを避ける。
「なんだ?」
スカルスキはハインケルンを落とした戦闘機を目で追う。
「なんて…はやいんだ。我々の航空機ではない。」
その時、無線が入った。
『スカルスキ、撤退だ。あとは彼らに任せよう。』
「彼らとは誰だ?」
『昔からの友人たちさ。まあ、帰ってから詳細は話す。』
スカルスキはドイツ軍と戦う戦闘機たちを見ながら思い出した。
「あれは確か日ソ国境紛争時の機体。ということは…。」
かれは涙を流しながら基地に生還した。
『敵機撃墜!』
そんな報告を樫出勇は聞き流していた。
獲物を見定める。
後方から接近して銃弾を叩き込む。
敵機は空中でばらばらになりながら落ちて行った。
『中隊長!本部から撤退命令が出ております!』
「そうか。ちょうど燃料も怪しいとこだ。帰るぞ。」
この日のワルシャワ上空での戦いはポーランド側の勝利に落ち着いた。
これによるドイツ軍の損害はハインケルン50機、スツーカ34機、BFー109、87機という開戦以来の大損害だった。
一方、ポーランド側は30機ほどだった。
隼の被撃墜は16機に抑えられた。
ワルシャワ航空基地に降り立った日本陸軍航空隊は地上でスカルスキと握手をし、互いの愛機にイラストを書きあった。
そしてもう一方でも戦闘が発生していた。
ワルシャワ南部の都市、クラクフではソ連軍との航空戦が発生していた。
サフォーノフは先の国境紛争を無傷で潜り抜けた数少ない人物だった。
『敵機、新たに前方から4機。』
サフォーノフは口角を上げた。
日本機には負けたが、ポーランド機には圧勝できるというのが彼の考えだった。
事実、サフォーノフはポーランド戦線において6機を撃墜していた。
だがその考えは一瞬のうちに崩された。
『上空から敵機!』
無線から悲鳴に近い報告が聞こえる。
サフォーノフは慌てて機をそらす。
もともといた場所に銃弾が通り過ぎる。
周りを見てみると次々と味方が落とされていた。
「一体…どうなっているんだ?」
敵は優雅に空を舞って後ろにつき、落としていた。
その軌道は通常の戦闘機では到底無理だ。
『撤退だ!全機撤退せよ!』
サフォーノフにはそうすることしかできなかった。
『敵機、退いていきます。』
「では俺たちも帰るぞ。」
岩本徹三は物足りなさを感じながら航空基地に帰投した。
「もっと戦いたかったなぁ。」
これが岩本の本音だった。
97式をもっと使いまわして敵機を落としたかったのだ。
ただこの2か所の戦闘は大きな意味があった。
この航空戦の敗北により独ソ両軍は慎重になり、進軍が鈍化したのだ。
10月6日になっても戦いは終わらなかった。
ポーランド空軍のスカルスキは厳しい状況にたっていた。
味方はドイツのBFー109に次々と落とされていった。
スカルスキは何とか生き延びていたが銃弾も尽き、後方には敵機。
生存は絶望的だった。
そこで彼の目にハインケルンが映る。
スカルスキはハインケルンに機体を向かわす。
「最後の抵抗だ!」
スカルスキとハインケルンが接触しようとした瞬間、ハインケルンと後ろの敵機が火を噴いた。
スカルスキは咄嗟にハインケルンを避ける。
「なんだ?」
スカルスキはハインケルンを落とした戦闘機を目で追う。
「なんて…はやいんだ。我々の航空機ではない。」
その時、無線が入った。
『スカルスキ、撤退だ。あとは彼らに任せよう。』
「彼らとは誰だ?」
『昔からの友人たちさ。まあ、帰ってから詳細は話す。』
スカルスキはドイツ軍と戦う戦闘機たちを見ながら思い出した。
「あれは確か日ソ国境紛争時の機体。ということは…。」
かれは涙を流しながら基地に生還した。
『敵機撃墜!』
そんな報告を樫出勇は聞き流していた。
獲物を見定める。
後方から接近して銃弾を叩き込む。
敵機は空中でばらばらになりながら落ちて行った。
『中隊長!本部から撤退命令が出ております!』
「そうか。ちょうど燃料も怪しいとこだ。帰るぞ。」
この日のワルシャワ上空での戦いはポーランド側の勝利に落ち着いた。
これによるドイツ軍の損害はハインケルン50機、スツーカ34機、BFー109、87機という開戦以来の大損害だった。
一方、ポーランド側は30機ほどだった。
隼の被撃墜は16機に抑えられた。
ワルシャワ航空基地に降り立った日本陸軍航空隊は地上でスカルスキと握手をし、互いの愛機にイラストを書きあった。
そしてもう一方でも戦闘が発生していた。
ワルシャワ南部の都市、クラクフではソ連軍との航空戦が発生していた。
サフォーノフは先の国境紛争を無傷で潜り抜けた数少ない人物だった。
『敵機、新たに前方から4機。』
サフォーノフは口角を上げた。
日本機には負けたが、ポーランド機には圧勝できるというのが彼の考えだった。
事実、サフォーノフはポーランド戦線において6機を撃墜していた。
だがその考えは一瞬のうちに崩された。
『上空から敵機!』
無線から悲鳴に近い報告が聞こえる。
サフォーノフは慌てて機をそらす。
もともといた場所に銃弾が通り過ぎる。
周りを見てみると次々と味方が落とされていた。
「一体…どうなっているんだ?」
敵は優雅に空を舞って後ろにつき、落としていた。
その軌道は通常の戦闘機では到底無理だ。
『撤退だ!全機撤退せよ!』
サフォーノフにはそうすることしかできなかった。
『敵機、退いていきます。』
「では俺たちも帰るぞ。」
岩本徹三は物足りなさを感じながら航空基地に帰投した。
「もっと戦いたかったなぁ。」
これが岩本の本音だった。
97式をもっと使いまわして敵機を落としたかったのだ。
ただこの2か所の戦闘は大きな意味があった。
この航空戦の敗北により独ソ両軍は慎重になり、進軍が鈍化したのだ。
10月6日になっても戦いは終わらなかった。
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