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01.はじまりはじまり

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 昔々、まだ人間と動物が今ほどはっきり区別されていなかったころ。狼の一族にランという少女がいました。
 彼女の見た目は殆ど人間ですが、本来耳があるべきところにはなく、代わりに頭の頭頂部に立派な大きな耳と腰のところに立派なオオカミの尻尾を持っていました。
 ある日のことです。ランは自分がもう十六歳にもなるのにまだ大人として認められていないことに不満を持っていました。そこで、こんなことを考えたのです。
「皆に内緒で町に行って、そこで父上と母上へのプレゼントを買ってくるのだ!」
 町には村にはない物がたくさんあります。綺麗なお菓子、綺麗な服、綺麗な宝石……あんまり高いものだとランの少ないお小遣いでは買えませんが、ちょっとした花束やお菓子ならランにも手の届く値段のはずです。それに一人で町に行って帰ってくれば、きっと家族も皆もランを一人前だと認めてくれるに違いないと考えたのです。
 こうしてランは皆がまだ寝ている朝早くに村を出て人間の町へと向かいました。持ち物はプレゼントを買うお金とお腹が空いた時のためのおやつ、それから何か会った時のための小さなナイフです。
 鼻歌を歌いながら朝焼けの道をランは進みます。そんな彼女の様子を小さな小鳥たちだけが見守っているのでした。
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