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第七章 魔女の呪い
第27話 華の半生
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それから華さんは自分の半生を語った。
華月町で生まれ育った華さんは、華絵という名前だった。
四十年前、華さんは町の農家の息子と知り合い、互いに恋に落ちた。
二人は結婚を誓い合ったが、そこには一つ問題があった。
それぞれの家業だ。
華絵は一人娘で実家は商店を営んでいた。一方、相手の男の家も代々続く家業を持っていた。
どちらの両親も、男に自分の家業を継がせたいと考えていた。
華絵は婿に迎え入れるという父親の意見に反発していたが、頑として受け入れてはくれなかった。
二人は滝の麓で逢瀬を繰り返していた。結果的に、それが華絵を生贄として目をつけられることになった理由であり、助けられた理由でもあった。
その後、男は両親が取り付けた見合い相手と半ば強制的に結婚させられたが、華絵との一件のショックから家業を継ぐことを断って勘当され、逃げるように妻と東京へやってきていた。男は子どもの頃から積み立てていた貯金を家庭には黙っておき、華絵を援助することに回した。しかし次第に貯金は底をついていき、華絵の生活を支えることが困難になっていった。
男からその話を打ち明けられ、華絵は自ら生活費を稼ぐことを決意した。
だが行方不明者となっていた華絵の働き口は、簡単には見つからない。東京まで来たとはいえ、自分の顔と名前を出して働くことが怖かったのだ。そこで思い浮かんだのが、元手のいらない占い師だった。正体がバレないように仮面を着け、路地でひっそりと占いのまねごとを始めた。
占いの知識もろくにないため、最初は客もほとんどいなかったが、徐々に占いに必要なのは知識ではなく、人を見る目と話を訊くことなのだと気が付いた。人は何かに頼るため、何かにすがるために占いへやってくる。悩みの理由は様々でも、根本にあるのはほとんどが人間関係であり、占いはカウンセリングのようなものだと思うようになった。
抱いている悩みを打ち明けた段階で、苦悩は少し軽くなる。その負担を少しずつでも軽くしてやれば、人は皆笑顔で帰っていく。
人と接する機会が増えて経験が増していくと、悩みが似通ったパターンで形成されていることに気付いた。人間関係の悩みはある種、いくつかのパターンとして定型化されていくのだ。話を訊き、そのパターンを見極められるかが大切なことだった。
口コミで華絵の話題が広がり、家賃と生活費を捻出するだけの収入となった。
その頃には失踪扱いから死亡宣告になった華絵は、この世にもう存在しない人間となっていた。それを知ったのは、久しぶりに顔を合わせた男の口からだった。
男は妻と離別して、父親は病で急死、母の介護も兼ねて華月町に戻り家業を継ぐと華絵に告げた。子どもがいるからもう会うことはできないと言い残して、華絵の元を去った。
「彼は自分からやりたがらなかったけど、料理が上手だった。だから、家業の食堂を継ぐことになっても大丈夫だったの」
「食堂? まさかそれって」
「そう、アルダを救ったのは私の父、崎田肇」
静江が顔を上げて言った。
華絵はその後も占い師として働いていたが、客としてきた税理士の九条という男と出会った。華絵は「雄二さん」と呼んでいたという。
雄二は自身の職場の人間関係について占ってもらったのだという。税理士の仕事についての知識は全くないが、人間関係についてはありふれた上司への不満だったという。
大したことは言っていないが、占い後に雄二の心境が変わったようで、お礼にと食事に誘われた。仕事以外で人と接することのなかった華絵は誘いを受け、慣れない酒の勢いで、自身の境遇を雄二に打ち明けたのだった。
最初は驚いていた雄二だったが、占い師として人気を高めていた華絵に着目し、売上の一部を報酬として受け取るという約束を交わしたうえで、身の回りの世話をしてくれるようになった。肇が去ったあと、華絵は他の部屋を借りることもできなかったからだ。
青山に店舗を持つことができたのも雄二のおかげであった。
「彼は結婚していて、息子がいた。将来は自分と同じ税理士にすると言って」
「その息子がイリス、九条誠。彼は父親の望み通り税理士になった」
「九条雄二……どこかで。あっ!」
小野瀬が突然叫ぶような声を上げた。
「話題になっている大臣の贈収賄疑惑、あれの内部告発をしたのが、九条雄二さんじゃありませんか」
小野瀬の問いに静江が答えた。
「そう。彼はずっと上司が献金に関わっていることを知っていながら、手を出せずにいた。告発しても自分が潰されるだけだから。けど、彼は歳を取って引退も近くなり、ようやく過去から続く政治家たちとの癒着を告発する決意をした。楓ちゃんが襲われた時にイリスが不在だったのも、父親の件で色々と追われていたため。隙を見てこちらに来たけど」
バラバラだったはずの欠片が、一つずつ繋がっていく。
「九条の親子が宗教法人を立ち上げてはどうかと提案したの。サバトの立ち上げのために色々とアドバイスをくれた。宗教法人は立ち上げが大変だからね。サバトの資金は、占いの売上を寄付として計上することで運用してた。公的には存在しない人間の収入を、そうやって現金にしていた」
「橋本達也さん──ノックスはどのような経緯で?」
「彼が私たちの姿を見てしまったから。けれども彼は医者になって町から出ていた。だから儀式に関わっていたとは思えなかったから、イリスが接触して確認したの。彼は私たちの目的を知ると、協力してくれると言ってくれた」
「成る程。ここまでである程度の経緯はわかりました。けど、まだわからないこともあります。僕の憶測になりますが、話してもいいですか」
「どんな事?」
「静江さん、あなたがサバトに関わることになった理由です。もしかして、静江さんの本当の母親は、華絵さんではないですか。違っていれば、失礼な話ですが」
静江も華絵も黙ったままだ。
「華絵さんがアルダでありながら、静江さんもアルダと名乗ったことが疑問でした。けれど、それが継承されたものであるというのなら、納得がいきます」
「崇彦、あんた本当に探偵にでもなれそうね」
「仰る通り。静江は、私と肇さんの間にできた娘」
「そう。けど私はずっと知らずに生きてきた。母親だと言われていた人が離婚していなくなったのは知っていたけど、まさか実の母親ですらなかったなんてね」
「妊娠が判った時、私は下ろすつもりでいた」
華さんがぽつりとつぶやき、そのまま話し続けた。
「肇さんが闇医者を見つけてお金を掴ませた。しかし、その医者には中絶ではなくて、子どもを取り上げてもらうようにお願いしていたの。私は反対したけれど、肇さんは『授かった命は宝物だ。君が戸籍上は死んだ人間だからって関係ない。俺が責任もって育てる』と」
「私がそれを知ったのは、父が死ぬ間際だった。父が全てを語ってくれた。それが経緯。さあ、終わったのなら私たちも帰りましょう」
そこに華絵が口を開いた。
「ところで、そっちの男前の刑事さん。話は聞いてたんでしょう。どうするの?」
華絵の言葉に倉橋が気まずそうな顔をしてこちらを見た。
「大量殺人が起きて、報告書と始末書の山が待ってます。無戸籍者への対応は、かなり先になってしまいます。その頃には、忘れてしまってるかもしれないですね。そもそも僕がクビになってなければですが」
倉橋は小さく笑った。
華月町で生まれ育った華さんは、華絵という名前だった。
四十年前、華さんは町の農家の息子と知り合い、互いに恋に落ちた。
二人は結婚を誓い合ったが、そこには一つ問題があった。
それぞれの家業だ。
華絵は一人娘で実家は商店を営んでいた。一方、相手の男の家も代々続く家業を持っていた。
どちらの両親も、男に自分の家業を継がせたいと考えていた。
華絵は婿に迎え入れるという父親の意見に反発していたが、頑として受け入れてはくれなかった。
二人は滝の麓で逢瀬を繰り返していた。結果的に、それが華絵を生贄として目をつけられることになった理由であり、助けられた理由でもあった。
その後、男は両親が取り付けた見合い相手と半ば強制的に結婚させられたが、華絵との一件のショックから家業を継ぐことを断って勘当され、逃げるように妻と東京へやってきていた。男は子どもの頃から積み立てていた貯金を家庭には黙っておき、華絵を援助することに回した。しかし次第に貯金は底をついていき、華絵の生活を支えることが困難になっていった。
男からその話を打ち明けられ、華絵は自ら生活費を稼ぐことを決意した。
だが行方不明者となっていた華絵の働き口は、簡単には見つからない。東京まで来たとはいえ、自分の顔と名前を出して働くことが怖かったのだ。そこで思い浮かんだのが、元手のいらない占い師だった。正体がバレないように仮面を着け、路地でひっそりと占いのまねごとを始めた。
占いの知識もろくにないため、最初は客もほとんどいなかったが、徐々に占いに必要なのは知識ではなく、人を見る目と話を訊くことなのだと気が付いた。人は何かに頼るため、何かにすがるために占いへやってくる。悩みの理由は様々でも、根本にあるのはほとんどが人間関係であり、占いはカウンセリングのようなものだと思うようになった。
抱いている悩みを打ち明けた段階で、苦悩は少し軽くなる。その負担を少しずつでも軽くしてやれば、人は皆笑顔で帰っていく。
人と接する機会が増えて経験が増していくと、悩みが似通ったパターンで形成されていることに気付いた。人間関係の悩みはある種、いくつかのパターンとして定型化されていくのだ。話を訊き、そのパターンを見極められるかが大切なことだった。
口コミで華絵の話題が広がり、家賃と生活費を捻出するだけの収入となった。
その頃には失踪扱いから死亡宣告になった華絵は、この世にもう存在しない人間となっていた。それを知ったのは、久しぶりに顔を合わせた男の口からだった。
男は妻と離別して、父親は病で急死、母の介護も兼ねて華月町に戻り家業を継ぐと華絵に告げた。子どもがいるからもう会うことはできないと言い残して、華絵の元を去った。
「彼は自分からやりたがらなかったけど、料理が上手だった。だから、家業の食堂を継ぐことになっても大丈夫だったの」
「食堂? まさかそれって」
「そう、アルダを救ったのは私の父、崎田肇」
静江が顔を上げて言った。
華絵はその後も占い師として働いていたが、客としてきた税理士の九条という男と出会った。華絵は「雄二さん」と呼んでいたという。
雄二は自身の職場の人間関係について占ってもらったのだという。税理士の仕事についての知識は全くないが、人間関係についてはありふれた上司への不満だったという。
大したことは言っていないが、占い後に雄二の心境が変わったようで、お礼にと食事に誘われた。仕事以外で人と接することのなかった華絵は誘いを受け、慣れない酒の勢いで、自身の境遇を雄二に打ち明けたのだった。
最初は驚いていた雄二だったが、占い師として人気を高めていた華絵に着目し、売上の一部を報酬として受け取るという約束を交わしたうえで、身の回りの世話をしてくれるようになった。肇が去ったあと、華絵は他の部屋を借りることもできなかったからだ。
青山に店舗を持つことができたのも雄二のおかげであった。
「彼は結婚していて、息子がいた。将来は自分と同じ税理士にすると言って」
「その息子がイリス、九条誠。彼は父親の望み通り税理士になった」
「九条雄二……どこかで。あっ!」
小野瀬が突然叫ぶような声を上げた。
「話題になっている大臣の贈収賄疑惑、あれの内部告発をしたのが、九条雄二さんじゃありませんか」
小野瀬の問いに静江が答えた。
「そう。彼はずっと上司が献金に関わっていることを知っていながら、手を出せずにいた。告発しても自分が潰されるだけだから。けど、彼は歳を取って引退も近くなり、ようやく過去から続く政治家たちとの癒着を告発する決意をした。楓ちゃんが襲われた時にイリスが不在だったのも、父親の件で色々と追われていたため。隙を見てこちらに来たけど」
バラバラだったはずの欠片が、一つずつ繋がっていく。
「九条の親子が宗教法人を立ち上げてはどうかと提案したの。サバトの立ち上げのために色々とアドバイスをくれた。宗教法人は立ち上げが大変だからね。サバトの資金は、占いの売上を寄付として計上することで運用してた。公的には存在しない人間の収入を、そうやって現金にしていた」
「橋本達也さん──ノックスはどのような経緯で?」
「彼が私たちの姿を見てしまったから。けれども彼は医者になって町から出ていた。だから儀式に関わっていたとは思えなかったから、イリスが接触して確認したの。彼は私たちの目的を知ると、協力してくれると言ってくれた」
「成る程。ここまでである程度の経緯はわかりました。けど、まだわからないこともあります。僕の憶測になりますが、話してもいいですか」
「どんな事?」
「静江さん、あなたがサバトに関わることになった理由です。もしかして、静江さんの本当の母親は、華絵さんではないですか。違っていれば、失礼な話ですが」
静江も華絵も黙ったままだ。
「華絵さんがアルダでありながら、静江さんもアルダと名乗ったことが疑問でした。けれど、それが継承されたものであるというのなら、納得がいきます」
「崇彦、あんた本当に探偵にでもなれそうね」
「仰る通り。静江は、私と肇さんの間にできた娘」
「そう。けど私はずっと知らずに生きてきた。母親だと言われていた人が離婚していなくなったのは知っていたけど、まさか実の母親ですらなかったなんてね」
「妊娠が判った時、私は下ろすつもりでいた」
華さんがぽつりとつぶやき、そのまま話し続けた。
「肇さんが闇医者を見つけてお金を掴ませた。しかし、その医者には中絶ではなくて、子どもを取り上げてもらうようにお願いしていたの。私は反対したけれど、肇さんは『授かった命は宝物だ。君が戸籍上は死んだ人間だからって関係ない。俺が責任もって育てる』と」
「私がそれを知ったのは、父が死ぬ間際だった。父が全てを語ってくれた。それが経緯。さあ、終わったのなら私たちも帰りましょう」
そこに華絵が口を開いた。
「ところで、そっちの男前の刑事さん。話は聞いてたんでしょう。どうするの?」
華絵の言葉に倉橋が気まずそうな顔をしてこちらを見た。
「大量殺人が起きて、報告書と始末書の山が待ってます。無戸籍者への対応は、かなり先になってしまいます。その頃には、忘れてしまってるかもしれないですね。そもそも僕がクビになってなければですが」
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