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学園編
相談、提案、そして脅迫
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「そこに座ってくれ。茶菓子は……」
「大丈夫です。手順に則ることなくこのように無理に面会を申し入れたこと、お詫び申し上げます。それなのにもかかわらず、ここまで寛大なご配慮をしてくださって誠にありがとう存じます」
ソフィと私は深々と頭を下げておく。無礼なことを王族に対してしているのは重々承知だ。後で家に苦情が行かないよう先に大丈夫だという言質を取っておきたいのだ。
今回のはそれなりに見知った同級生だからできた業である。普通の王族にならできないよね、首が飛んじゃう。物理的に。いくら公爵令嬢とはいえ、相手が王族で暴君ならばいくらでも理由をつけられるような案件なのだ。家に苦情が行く可能性は大いにある。そしてそんなことになったら私とソフィは大目玉を食らって今のようには動けなくなる。そうなっちゃうと戦争未然防止計画もおじゃんだ、おじゃん。それだけは避けたい。
「いや、そなたらがこのような手段を取ったということは相当に緊急なのであろう? 気にするな。ところで、緊急の話とは何だ、この前の誘拐事件絡みだと言っていたが……?」
いくら公式設定でドSとされていて、ストーリー内では貴族にあるまじき行動を時々取っていたとは言っても、まがりなりにも彼は王子様だった。臣下という立場に当たる私達の話を親身に聞いて心配してくれている。
……本当に、少し相談相手がこの人で大丈夫か、マジラブのストーリー基準で考えてソフィと心配していた昨日の自分を蹴り飛ばしてしまいたくなるくらいには申し訳なくなった。土下座して謝らせてもらいたい。
そんなことを思っていたせいか、貴族らしい取り繕った笑みを外してしまっていたんだろう、王子がこっちを不審そうに見ていることにソフィに肘を軽く脇腹に入れられて気づく。
これではだめだ。変なことを口走ってしまわないよう少し残る罪悪感と共にマジラブでの彼についての記憶を振り払い、私はにこりと貴族的な笑みを浮かべて彼に詳細を話すことにした。私達の前世にだけは気づかれないように色々と伏せながら。
「……なるほど。戦争が起こるかもしれない、と」
「はい、可能性は高いかと思われます。今回ミカエルを狙った誘拐も、ミカエルの持つスキルの危険性を危惧して行ったのではと思っています。先日申し上げたように、着ていた衣装がクロリアスのものでしたし。最近頻繁にクロリアスから物資の協力要請が来ていたようですし。拒否し続けているこの国を狙ってくる可能性は大いにあるかと」
ソフィはにこりと笑いながら続けて提案をする。
「なので、第一王子であるエルンスト様には、手伝ってほしいのです」
「戦争を止めるのを、か?」
「ええ」
「……断る。確証がないもののために兵は動かせぬし、何よりそなたらの発案という体では恐らくは王に提言しても通らないであろう。むしろ、迎え撃って領地を広げようと言い出すかもしれぬ」
バツの悪そうな苦い顔で彼はそうため息をついた。……ま、そう言われるのは想定内だ。この国の王が戦争に前向きな方だというのはある程度位の高い貴族なら誰でも知っていること。あの王は二十年前、内戦で荒れていた国を武力によってまとめ上げることで王位を得た。戦争を厭ってはいるようだが、攻められたら攻め返すという思考の持ち主らしいから。
「では、エルンスト様はこの国を見捨てられるのですか。私達を、国民を戦渦に陥れると、そう申されるのですか」
そこまでずっと黙って話を聞いていた私が、攻めるように笑顔でそう圧をかける。一瞬王子の瞳が揺れる。……うん、揺らいでるね。
相談が通らないなら、無理をしてでも通すまで。ソフィと事前に話し合ったことを思い返しながら、私は返事に窮する王子に再びにこりと笑いかけた。
「大丈夫です。手順に則ることなくこのように無理に面会を申し入れたこと、お詫び申し上げます。それなのにもかかわらず、ここまで寛大なご配慮をしてくださって誠にありがとう存じます」
ソフィと私は深々と頭を下げておく。無礼なことを王族に対してしているのは重々承知だ。後で家に苦情が行かないよう先に大丈夫だという言質を取っておきたいのだ。
今回のはそれなりに見知った同級生だからできた業である。普通の王族にならできないよね、首が飛んじゃう。物理的に。いくら公爵令嬢とはいえ、相手が王族で暴君ならばいくらでも理由をつけられるような案件なのだ。家に苦情が行く可能性は大いにある。そしてそんなことになったら私とソフィは大目玉を食らって今のようには動けなくなる。そうなっちゃうと戦争未然防止計画もおじゃんだ、おじゃん。それだけは避けたい。
「いや、そなたらがこのような手段を取ったということは相当に緊急なのであろう? 気にするな。ところで、緊急の話とは何だ、この前の誘拐事件絡みだと言っていたが……?」
いくら公式設定でドSとされていて、ストーリー内では貴族にあるまじき行動を時々取っていたとは言っても、まがりなりにも彼は王子様だった。臣下という立場に当たる私達の話を親身に聞いて心配してくれている。
……本当に、少し相談相手がこの人で大丈夫か、マジラブのストーリー基準で考えてソフィと心配していた昨日の自分を蹴り飛ばしてしまいたくなるくらいには申し訳なくなった。土下座して謝らせてもらいたい。
そんなことを思っていたせいか、貴族らしい取り繕った笑みを外してしまっていたんだろう、王子がこっちを不審そうに見ていることにソフィに肘を軽く脇腹に入れられて気づく。
これではだめだ。変なことを口走ってしまわないよう少し残る罪悪感と共にマジラブでの彼についての記憶を振り払い、私はにこりと貴族的な笑みを浮かべて彼に詳細を話すことにした。私達の前世にだけは気づかれないように色々と伏せながら。
「……なるほど。戦争が起こるかもしれない、と」
「はい、可能性は高いかと思われます。今回ミカエルを狙った誘拐も、ミカエルの持つスキルの危険性を危惧して行ったのではと思っています。先日申し上げたように、着ていた衣装がクロリアスのものでしたし。最近頻繁にクロリアスから物資の協力要請が来ていたようですし。拒否し続けているこの国を狙ってくる可能性は大いにあるかと」
ソフィはにこりと笑いながら続けて提案をする。
「なので、第一王子であるエルンスト様には、手伝ってほしいのです」
「戦争を止めるのを、か?」
「ええ」
「……断る。確証がないもののために兵は動かせぬし、何よりそなたらの発案という体では恐らくは王に提言しても通らないであろう。むしろ、迎え撃って領地を広げようと言い出すかもしれぬ」
バツの悪そうな苦い顔で彼はそうため息をついた。……ま、そう言われるのは想定内だ。この国の王が戦争に前向きな方だというのはある程度位の高い貴族なら誰でも知っていること。あの王は二十年前、内戦で荒れていた国を武力によってまとめ上げることで王位を得た。戦争を厭ってはいるようだが、攻められたら攻め返すという思考の持ち主らしいから。
「では、エルンスト様はこの国を見捨てられるのですか。私達を、国民を戦渦に陥れると、そう申されるのですか」
そこまでずっと黙って話を聞いていた私が、攻めるように笑顔でそう圧をかける。一瞬王子の瞳が揺れる。……うん、揺らいでるね。
相談が通らないなら、無理をしてでも通すまで。ソフィと事前に話し合ったことを思い返しながら、私は返事に窮する王子に再びにこりと笑いかけた。
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