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第2段階②
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さて、今日も無事仕事が終わった。途中ホールが足りなくなったとかで作った飲み物を自分で運んでついでに空のグラスを片付けて注文聞いて食洗機にセットするまでの一連の作業が課された。ワンオペってこういうことなだろうか。これはいつか皿割ったりしちゃうよ、私が。
着替えや次のシフトの相談をしつつ出てきたので、22時15分ごろになってしまった。
まあお陰で余計なこと考える暇がなくてよかっ……た?ん?
とても、非常に見覚えのある黒い車が路肩に溶け込むようにして停まっていた。
あの車は、まさか。
疲れた肩を軽くくるくる回しながら、店を出て階段を降りる。そして本当なら右方向に向かって帰宅するところを、素知らぬ顔して左のコンビニに一時避難することに決めた……のだけど、肩に何かが触れた。
「おい、逃げる気か?」
「ひょえっ!」
口から頓狂な声が漏れる。
油の切れた機械さながらにギチギチとゆーっくり振り返ると、そこには背後の裏路地が非常によく似合う、迫力あるヤクザさんが立っていた。
人違いですよと逃げ出したいところだけど、肩揉みの強くらいの力で握られ、ついでに私のプロフィール画面を振りかざされているため抵抗ができなかった。
「そういうの恐喝って言うんですよ……」
「そうらしいな」
らしいとわかってるならどうしてするんですか。と声を大にして言えれば心地良かろう。無理だけど。
「乗れ。安心しろ、悪いようにはしねぇから」
その台詞、この人が言うとある意味で説得力が欠片もない。創作だったら読み手としては悪くない展開に繋がり、当事者としては今後色々巻き込まれていく準1級のフラグである。
状況からも台詞からも危険しか感じないのに、人質を握られているせいでこの男に逆らうことができない……なす術なく不条理に巻き込まれていく系の主人公ってこんな気持ちなのかな。
私は男が黒乗り高級車の後部座席のドアを開けてくださったので、大人しく中に収まった。
男は私の横に乗り込むと、運転席に座っていたハ……げふん、スキンヘッドのお兄さん目が合った。出発するよう指示を出す。このお兄さんは、バイトの前に会った人だよね。確か名前はきのこ……
「榎木、出せ」
そうだ、エノキ。バター炒めにするとコリコリで美味しくて歯に引っかかる……じゃなくて、榎木さんだ。
榎木さんは手慣れた様子でエンジンをかけると、私という部外者を乗せて夜のドライブに向かった。
しかし高級車は乗るの初めてだ。革張りの匂いと、ほのかにおそらく誰かの男物の香水の香り。
渾然一体となった上流階級の雰囲気に慄いていると、シートベルトを締めるよう言われた。最近は厳しいから、とのこと。
男は深田慎と名乗った。
「荊棘野組って、昔からこの辺にある組織の組長を任されてる。暇だったら調べてみろ」
どうやら私を招くためにプロフを使っただけで、車の中では問題の作品等について触れる気はないらしい。まあ何もご存知なさそうな榎木さんがいるもんね。
そして、車に揺られる以外することもないので、「荊棘田組」とやらについて調べてみる。
何やら怪しげなサイトにたどり着いた。でもこういうサイトをちゃんとあって……運営されてる。公式っぽい。
どうやら荊棘田組は、薔薇輝組という私でもなんとなく名前を知ってる組織の直接の傘下組織らしい。そして私の生活圏の辺りが、深田さんが管理するシマなのだとか。
「あんたのバイト先の半地下にあるバーとかは馴染みだな」
ああやっぱり、そういうところに根を張っているのか。私のバイト先は、この辺だとわりと大きな居酒屋チェーンだからあんまり関係ないのか。
そんなことを話していたら、あれよあれよという間に私は深田さんのご自宅に連れてこられた。
自宅兼事務所だから榎木さんみたいな人がいっぱいいるとは道中聞かされたけど、まさか玄関からいらっしゃるとは。
そしてこんな絵に描いたようなお出迎えをされるとは。
「お疲れ様です!」
低く太い声の大合唱。心なしか車までビリビリ震えた気がしたよ。
そして何この豪邸。車で大きい木の門みたいなの抜けた時に既にあれ?って思ってたけど、なんて立派な建物。何も知らなかったら旅館と勘違いしそう。
イケメンでヤクザで組長で顔に傷あって豪邸に住んでるって、どこの次元から出てきたんだ。次元が次元なら愛し愛されのスパダリだよ。完璧すぎる理想の攻めだ。
「なにしてんだ。出てこい」
ぼけーっとそれを眺めていたら、窓を叩かれて我に返った。そしてその後すぐに、指の第二関節で窓叩くのっていいよね、なんて考えが浮かんだ辺り、私は末期らしい。
「……別に取って食いはしねぇよ」
それはフラグですが?って、私と深田さんの間にフラグが立ってどうする!!
とはいえこの状況で今さら抵抗しても無意味な気がするので、私は恐る恐る車を降りた。
私という異物の登場に、軍隊の如く美しく整列していた方々がざわついた。
会話は聞こえないけど「誰だあれ」とかそういう話だろう。私も同じ立場だったらそう思うよ……
どうしてこうなった。
知らない間に電柱で頭強打してそういう世界に飛んだんだろうか。
ということは、これから何かが始まるの?今この時点での登場人物は組長と側近だから、主従か。うん、アリ。いや、でもさっき表に並んでた人の中に睨んできた人がいたな。高校生かってくらい若い人だった気がする。新入りもいいなぁ。喧嘩して倒れてたところを介抱されるみたいな……って、妄想で誤魔化そうとするな私!
そういうことが起こったかもしれない園に私という異物が紛れ込んでいる時点で物語は始まらないから!
理解の追いつかない状況に軽く眩暈がして、私は畏れ多くも高級車に寄りかかる。
「大丈夫か?足元気をつけろ。来い」
「え?」
既に私の容量がいっぱいいっぱいになりかかっていたところに、手首を掴まれ引っ張られる事態に。しかも数多の公衆の目の前で。
手首を掴まれお屋敷の方に引っ張られていくものだから、近くを通った時にコソコソ話の声が聞こえてくる。
「頭が女性を……?」
「債権者とか」
「だとしたらあの扱いは謎だろ……前に引っ張ってきた組の金掠め取って整形に使った女、殴られてたよな」
「愛人にしても挙動がおかしくないか」
聞こえていいんですかねその会話!
幸いにも?深田さんにも聞こえていたようで、睨まれたら黙った。さすが頭。怖い。
お屋敷の扉の横に待機して扉を開けてくれた人は、とんでもない珍獣を見るような目で私を見てきた。
物珍しげな視線が針山のごとくプスプス突き刺さって居心地が悪いので、私は逃げるように中にお邪魔することになった。
着替えや次のシフトの相談をしつつ出てきたので、22時15分ごろになってしまった。
まあお陰で余計なこと考える暇がなくてよかっ……た?ん?
とても、非常に見覚えのある黒い車が路肩に溶け込むようにして停まっていた。
あの車は、まさか。
疲れた肩を軽くくるくる回しながら、店を出て階段を降りる。そして本当なら右方向に向かって帰宅するところを、素知らぬ顔して左のコンビニに一時避難することに決めた……のだけど、肩に何かが触れた。
「おい、逃げる気か?」
「ひょえっ!」
口から頓狂な声が漏れる。
油の切れた機械さながらにギチギチとゆーっくり振り返ると、そこには背後の裏路地が非常によく似合う、迫力あるヤクザさんが立っていた。
人違いですよと逃げ出したいところだけど、肩揉みの強くらいの力で握られ、ついでに私のプロフィール画面を振りかざされているため抵抗ができなかった。
「そういうの恐喝って言うんですよ……」
「そうらしいな」
らしいとわかってるならどうしてするんですか。と声を大にして言えれば心地良かろう。無理だけど。
「乗れ。安心しろ、悪いようにはしねぇから」
その台詞、この人が言うとある意味で説得力が欠片もない。創作だったら読み手としては悪くない展開に繋がり、当事者としては今後色々巻き込まれていく準1級のフラグである。
状況からも台詞からも危険しか感じないのに、人質を握られているせいでこの男に逆らうことができない……なす術なく不条理に巻き込まれていく系の主人公ってこんな気持ちなのかな。
私は男が黒乗り高級車の後部座席のドアを開けてくださったので、大人しく中に収まった。
男は私の横に乗り込むと、運転席に座っていたハ……げふん、スキンヘッドのお兄さん目が合った。出発するよう指示を出す。このお兄さんは、バイトの前に会った人だよね。確か名前はきのこ……
「榎木、出せ」
そうだ、エノキ。バター炒めにするとコリコリで美味しくて歯に引っかかる……じゃなくて、榎木さんだ。
榎木さんは手慣れた様子でエンジンをかけると、私という部外者を乗せて夜のドライブに向かった。
しかし高級車は乗るの初めてだ。革張りの匂いと、ほのかにおそらく誰かの男物の香水の香り。
渾然一体となった上流階級の雰囲気に慄いていると、シートベルトを締めるよう言われた。最近は厳しいから、とのこと。
男は深田慎と名乗った。
「荊棘野組って、昔からこの辺にある組織の組長を任されてる。暇だったら調べてみろ」
どうやら私を招くためにプロフを使っただけで、車の中では問題の作品等について触れる気はないらしい。まあ何もご存知なさそうな榎木さんがいるもんね。
そして、車に揺られる以外することもないので、「荊棘田組」とやらについて調べてみる。
何やら怪しげなサイトにたどり着いた。でもこういうサイトをちゃんとあって……運営されてる。公式っぽい。
どうやら荊棘田組は、薔薇輝組という私でもなんとなく名前を知ってる組織の直接の傘下組織らしい。そして私の生活圏の辺りが、深田さんが管理するシマなのだとか。
「あんたのバイト先の半地下にあるバーとかは馴染みだな」
ああやっぱり、そういうところに根を張っているのか。私のバイト先は、この辺だとわりと大きな居酒屋チェーンだからあんまり関係ないのか。
そんなことを話していたら、あれよあれよという間に私は深田さんのご自宅に連れてこられた。
自宅兼事務所だから榎木さんみたいな人がいっぱいいるとは道中聞かされたけど、まさか玄関からいらっしゃるとは。
そしてこんな絵に描いたようなお出迎えをされるとは。
「お疲れ様です!」
低く太い声の大合唱。心なしか車までビリビリ震えた気がしたよ。
そして何この豪邸。車で大きい木の門みたいなの抜けた時に既にあれ?って思ってたけど、なんて立派な建物。何も知らなかったら旅館と勘違いしそう。
イケメンでヤクザで組長で顔に傷あって豪邸に住んでるって、どこの次元から出てきたんだ。次元が次元なら愛し愛されのスパダリだよ。完璧すぎる理想の攻めだ。
「なにしてんだ。出てこい」
ぼけーっとそれを眺めていたら、窓を叩かれて我に返った。そしてその後すぐに、指の第二関節で窓叩くのっていいよね、なんて考えが浮かんだ辺り、私は末期らしい。
「……別に取って食いはしねぇよ」
それはフラグですが?って、私と深田さんの間にフラグが立ってどうする!!
とはいえこの状況で今さら抵抗しても無意味な気がするので、私は恐る恐る車を降りた。
私という異物の登場に、軍隊の如く美しく整列していた方々がざわついた。
会話は聞こえないけど「誰だあれ」とかそういう話だろう。私も同じ立場だったらそう思うよ……
どうしてこうなった。
知らない間に電柱で頭強打してそういう世界に飛んだんだろうか。
ということは、これから何かが始まるの?今この時点での登場人物は組長と側近だから、主従か。うん、アリ。いや、でもさっき表に並んでた人の中に睨んできた人がいたな。高校生かってくらい若い人だった気がする。新入りもいいなぁ。喧嘩して倒れてたところを介抱されるみたいな……って、妄想で誤魔化そうとするな私!
そういうことが起こったかもしれない園に私という異物が紛れ込んでいる時点で物語は始まらないから!
理解の追いつかない状況に軽く眩暈がして、私は畏れ多くも高級車に寄りかかる。
「大丈夫か?足元気をつけろ。来い」
「え?」
既に私の容量がいっぱいいっぱいになりかかっていたところに、手首を掴まれ引っ張られる事態に。しかも数多の公衆の目の前で。
手首を掴まれお屋敷の方に引っ張られていくものだから、近くを通った時にコソコソ話の声が聞こえてくる。
「頭が女性を……?」
「債権者とか」
「だとしたらあの扱いは謎だろ……前に引っ張ってきた組の金掠め取って整形に使った女、殴られてたよな」
「愛人にしても挙動がおかしくないか」
聞こえていいんですかねその会話!
幸いにも?深田さんにも聞こえていたようで、睨まれたら黙った。さすが頭。怖い。
お屋敷の扉の横に待機して扉を開けてくれた人は、とんでもない珍獣を見るような目で私を見てきた。
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