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1.召喚からの廃棄

魚8:冒険者証をもらおう。

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ほわ ん。

「?」

なにか頭の後ろのほうがあったかい?
さすってみるけど特に何もないし、まあいいか。

最初に入り口で大型の水晶玉?のようなものに触るのは、犯罪歴などの有無を調べるものだそうで、町などに入る際のものよりもより正確に調べることができるもの。そして触らないと入れないのです。
やましいことがあると触るのを躊躇しちゃうだろうから防犯には有効かもね。
ちょっとお上りさんっぽいけど、むしろそのほうがいいと言われたので、遠慮なく冒険者ギルド内を見渡す。

「正面に見えるのが総合受付。クエストのことで何か困ったことがあったらとりあえずあそこへ行けばだいたい何とかなります。衝立から右が素材受付、獲物や薬草、薬品の売買もできます。一番左端の受付が新規登録です。これらはどの町でもだいたい一緒ですね。小さな村のギルドでは一か所にまとまってる場合もあるそうですが。」
「ふんふん。 あれ?でもお兄さんたちは騎士さんですよね?なぜにそんなに詳しいんですか?」
「ああ、私どもは騎士ではありません、兵士団です。 私が第3班の班長で、背の高い彼は私の補佐です。それから、兵士団は全員冒険者ギルドで登録する決まりになっているんです。騎士団のような身分証明がないので。」
「そうだったんですね、いろいろありがとうございます。 じゃあ、受付頑張っていってきます!」
「はい、行ってらっしゃいませ。」

私が頑なに鎧さんたちの名前を聞かないのを不自然に思う人もいるかもしれないので一応言い訳を。
名前を知ったことによる不都合を少しでも減らしたいんです。
誰それに助けてもらった、みたいな記憶をあいまいにしておかないと、何かあって捕まったりしたときに、助けてくれた彼らに迷惑がかかっちゃいますから…

「こんにちは。新規登録をお願いします!」
「ボッツボット帝国城下ギルドへようこそ。登録理由をお伺いしても?」
「はい、身分証明と路銀を稼ぐためです。」
「…(じー)…  はい、嘘偽りなし、ではこちらの用紙に必要事項の記入をお願いしますわ。」
「いまのって、嘘発見魔法みたいなものですか?」
「ええ、魔法石ショップで購入可能なスキルの一つですね。私ども職員は習得が就職必須条件ですので。」
「ふーん…スキルかぁ。ありがとう。」

あ、しまった。文字どうしよう…ってあれ?また頭があったかい…
んお?急に読めるようになった!なんだこれすごーい。聖女特典か?助かった!
名前と性別とーー住所は空欄でいいんだね。
職業は釣り師…いや、釣り人のほうが旅人っぽいかな。
得物?ああ、武器のことか。
戦うつもりはないから空欄で。あ、駄目?じゃあ釣り竿。買いに行かなきゃなぁ。
ん?
  ピッコーン! 《釣り竿は、道具一覧にございます。【古い釣り竿】》
……………わぁーお。どうもありがとう。もしかして、ステータス画面見れちゃうの?

  ピッコーン! 《ステータス画面を表示します》

☆★ステータス★☆
名前 :アユ・カワシモ(女)
種族 :人族(丸耳種)
職業 :釣り人
年齢 :30
レベル:2
魔法 :なし
スキル:魚釣り1 素直10 料理4 裁縫4 洗濯ヨ

ああーーーはい、もういいです。後でゆっくり見ます消して消して。あ、良かった消えた。
受付のお姉さんはニコニコしながらこっち見てるから多分今のは見えてなかったのかな。


「はい、お願いします。」
「確認いたします…あら、釣りを職業として登録とは珍しい、狩猟はなさらない予定ですか?」
「ええ、見ての通り運動なんてこれっぽっちですから。武器も持ち上げられるかどうか。包丁くらいしか持ったことありませんよ。」
「漁師になるわけではなく?」
「はい、旅をしながら釣りをして、魚を売ったり食べたりしながらのんびりどこかへ行きたいので。」
「うーん…一応、冒険者として登録の際に、一体モンスターを狩るか薬草などの採取が試験としてあるんですが、釣り人なので魚を二尾、釣ってきていただきましょう。ギルドの建物を出ましたら左側に橋がありますので、そこでお願いします。ご一緒しますね。」

カウンターからお姉さんが出てきてくれる。
急いでるけど試験じゃ仕方ないね。スキルさん、聖女の称号さん、頼んだよー!

  ピッコーン!《【釣りの聖女】モード、起動します。》
「へ?」 ピカッ!!

しゅるんっ  がし!

「は?」
「まあすごい!その腰袋、アイテムバックなのですか?便利ですよねー」
「あ、あいてむばっく…」
「つつt、釣り師さん!ちょっといいですか!」
「あ、おにいさん…えと、あの…」
(釣り師さん、そういうことにしておきましょう、騒ぎになると厄介です!)
(は、はひ!)

「まあ、兵士団の方ですか。どういったご用件で…」
「い、いえ、我々はその方の付きそいなんです。ちょっと事情がありまして。さあ、試験ですよね、急ぎましょう。どちらまで?」
「あらあら? オホン。では、ギルド横の橋へいきましょう。お二人はここでお待ちください。」
「い、いえ、我々も…」
「試験ですので。」
「あ、ハイ…」

なん、だったんだ今の…
さっきからあのピッコーンって音はどうも私にしか聞こえてないっぽいのはわかったけど、あの光はみんなに見えたのかな。わからん。
そんで手が光ったと思ったら釣り竿が出てきたし。
と、とりあえず、腰袋ってたぶんこのエコバックさんのことだよね。
これを、あいてむばっく?とかいうものだってことにしとけばいいのか。
ひとまず了解。

  ピッコーン!《アイテムバック:巾着袋型エコバックを使用者登録しました。盗難や置忘れが発生しても、5メートル離れた時点で手元に戻ります。》

はいどうもありがとうね。
もう、このピッコーンは聖女の能力の何かだと思えばいいのかな。
最初のうちは頼りっぱなしだなこれ、ありがとうね。

カバンとそりの荷物をノッポの鎧さんに預かってもらって、いってきまーす!
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