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35 お料理しました
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玉山の爆弾発言のお陰で、敦子は玉山と一緒に料理を作ることになってしまった。
2人で敦子の部屋に向かう。
部屋に入り、まず敦子から手を洗いうがいをした。
玉山が手を洗っている中、敦子はすぐに買ってきたものを冷蔵庫に入れていく。
頭の中で買ったものと今日調理する料理、そしてどれを玉山に手伝ってもらうか急いで考えた。
玉山が、キッチンに来た。
「 何でも言って。 」
なんだか手伝う気満々である。
「 じゃあまず海藻サラダを作るので、このワカメをサラダに入れる分ぐらい、水に戻してもらっていいですか。 」
「 了解! このボウルに入れておけばいいんだよね。 」
「 はい。それが終わったら、このレタスを適当に洗ってもらって、このざるの中に入れておいていただいていいですか。 あときんぴらごぼうを作るので、ニンジンを洗っておいてくださいね。」
「 任せて! 洗うぐらいならできるよ。 」
玉山が、意気込んでいったので、敦子はその間に洗濯物を急いで寄せて、寝室に置いた。
それからテーブルで、きんぴらごぼうの中に入れるこんにゃくと油揚げを刻んだ。
敦子が、食材を切り終わるころ、玉山が呼んだ。
「 できたよ。 」
敦子がいくと、玉山はレタスを1玉分すべて洗って、ちゃんとちぎってあったが、大きなざるいっぱいにあふれそうなほどはいっていた。
ニンジンは、買った三本すべて洗ってあった。
「 あっ、ごめんなさい。レタスは食べる分だけといっておけばよかったですね。あと人参も。 」
「 ごめん、そうだよね。僕も多いなとは思ったんだよ。 」
玉山を見れば苦笑いしていた。
ふとコンロのそばのボウルを見れば、ボウル全体が真っ黒になっている。
真っ黒なものはワカメで、水を吸って今にもあふれそうになっていた。
「 もしかして1袋全部入れちゃいました? 」
「 うん、なんか少ない気がしてね。全部入れたんだけど。あれっ、すごいことになっている。 」
玉山は、ワカメであふれているボウルを見て、目をまん丸くしている。
「 まあこのワカメは、もう少し置いておきましょう。 」
敦子は、中途半端に水を吸ったワカメを、ボウルから大きな鍋に移した。
玉山は、失敗したと気づいたのか、ちょっとしゅんとなった。
「 じゃあ卵をゆでてもらっていいですか。 」
「 分かった。今度は任せて。この鍋でゆでればいいんだよね。 」
「 卵は、三つでお願いします。 」
敦子は、1パックゆでられたらまずいと思い、卵を三つシンクの台に置いた。
敦子は、洗ってしまったニンジンをキッチンペーパーで水をふき取りまた冷蔵庫に戻した。
ざるいっぱいのレタスは、もう一度水を切っておいた。
ふと鍋の前に立っている玉山が目に入った。
「 どうですか? 」
「 いや、なかなか水が沸騰しないんだよね。 」
玉山は、真剣に鍋を見ている。
敦子も見たが、鍋が熱くなっていなかった。
ふとコンロの火を見ると、火が付いていなかった。
「 玉山さん、火を付けました? 」
「 あっ、忘れてた。 」
玉山は、慌てて火をつけた。
敦子は、ついいけないと思いながらも笑ってしまった。
なんでもできるように見える玉山が、いろいろやらかしている。
ずいぶん人間らしいんだなあと思ってしまった。
「 ごめんなさい、笑ってしまって。 」
勢いよく笑ってしまってから、まずいと思って慌てて玉山の顔を見た。
とうの玉山は、眉毛が下がって情けない顔をしている。
「 ごめん。 」
「 いいえ、じゃあゴボウを洗ってもらっていいですか。 」
「 うん。 」
今度は、玉山がゴボウを洗うのを見ていることにした。
「 これでいい? 」
きれいに洗ったゴボウを得意げに敦子に見せたので、敦子はまた吹いてしまった。
「 ぷぅ~。ごっ、ごめんなさい。あまりに誇らしげだったので。 」
今度は、少しすねた玉山がいた。
「 じゃあ、私がゴボウの皮むきますね。 」
包丁で、ゴボウの皮をコリコリこすっていると、隣で見ていた玉山が、いかにも自分がやりたいというようにうずうずしている。
「 じゃあ、やってみます? 」
今度は、笑わないように玉山にいった。
「 いいの? 」
そういいながらの得意げにゴボウの皮をこすって皮をむいていった。
「 どう? 」
綺麗に皮のむけたゴボウを敦子のほうに差し出す顔は、得意満面だった。
敦子は、今度こそ吹かないようにするのが大変だった。
玉山は、気を良くしたのか半分鼻歌交じりにごぼうの皮をむいていく。
「 痛っつ。 」
急に玉山が声を出した。
見ると指の先が切れていた。少し血も出ている。
玉山は、自分の指から出る血を見て、戦意を喪失したのか、なんだかぐったりとした。
「 あっちで、血を止めましょう。 」
敦子は、急いでティッシュを持ってきて、指を包み止血した。
先ほどのノリノリの玉山はどこへやら、テーブルの前におとなしく座った。
なんだか大きな背中が、少し丸くなっているような気がした。
指を見ると、ティッシュには血が少ししかついていなくて、切り傷は小さかったようだ。
持ってきたばんそうこうを貼るために、傷の血が止まったのかを確かめるために指を見た。
その時敦子は、以前八頭身美人の佐代子の言った言葉を思い出した。
「 どうしたの? 」
あまりに傷口をじっと見ている敦子に、何かあるのかと気になったのだろう。
玉山がいぶかしげに聞いてきた。
敦子は、まさかあなたが宇宙人じゃないか、傷を確認していたんですとは言えなかった。
「 ちゃんと血が止まっているのか確認したんです。よかったですね、もう止まってますよ。 」
そういって玉山さんの顔をよ~く見てから、ばんそうこうを貼った。
玉山は、あからさまに大きなため息をついて体の力を抜いた。
玉山さんの血は、ちゃんと赤かった。それに、傷口から金属は出ていなかったし、ちゃんと人間だった。
目も金色になってなかった。
敦子は、別の意味でほっとした。
ただキッチンを見れば、大きな鍋に入れたはずのワカメが、鍋のふちからでろ~んと垂れ下がっていて、今にも鍋からあふれそうになっていた。
2人で敦子の部屋に向かう。
部屋に入り、まず敦子から手を洗いうがいをした。
玉山が手を洗っている中、敦子はすぐに買ってきたものを冷蔵庫に入れていく。
頭の中で買ったものと今日調理する料理、そしてどれを玉山に手伝ってもらうか急いで考えた。
玉山が、キッチンに来た。
「 何でも言って。 」
なんだか手伝う気満々である。
「 じゃあまず海藻サラダを作るので、このワカメをサラダに入れる分ぐらい、水に戻してもらっていいですか。 」
「 了解! このボウルに入れておけばいいんだよね。 」
「 はい。それが終わったら、このレタスを適当に洗ってもらって、このざるの中に入れておいていただいていいですか。 あときんぴらごぼうを作るので、ニンジンを洗っておいてくださいね。」
「 任せて! 洗うぐらいならできるよ。 」
玉山が、意気込んでいったので、敦子はその間に洗濯物を急いで寄せて、寝室に置いた。
それからテーブルで、きんぴらごぼうの中に入れるこんにゃくと油揚げを刻んだ。
敦子が、食材を切り終わるころ、玉山が呼んだ。
「 できたよ。 」
敦子がいくと、玉山はレタスを1玉分すべて洗って、ちゃんとちぎってあったが、大きなざるいっぱいにあふれそうなほどはいっていた。
ニンジンは、買った三本すべて洗ってあった。
「 あっ、ごめんなさい。レタスは食べる分だけといっておけばよかったですね。あと人参も。 」
「 ごめん、そうだよね。僕も多いなとは思ったんだよ。 」
玉山を見れば苦笑いしていた。
ふとコンロのそばのボウルを見れば、ボウル全体が真っ黒になっている。
真っ黒なものはワカメで、水を吸って今にもあふれそうになっていた。
「 もしかして1袋全部入れちゃいました? 」
「 うん、なんか少ない気がしてね。全部入れたんだけど。あれっ、すごいことになっている。 」
玉山は、ワカメであふれているボウルを見て、目をまん丸くしている。
「 まあこのワカメは、もう少し置いておきましょう。 」
敦子は、中途半端に水を吸ったワカメを、ボウルから大きな鍋に移した。
玉山は、失敗したと気づいたのか、ちょっとしゅんとなった。
「 じゃあ卵をゆでてもらっていいですか。 」
「 分かった。今度は任せて。この鍋でゆでればいいんだよね。 」
「 卵は、三つでお願いします。 」
敦子は、1パックゆでられたらまずいと思い、卵を三つシンクの台に置いた。
敦子は、洗ってしまったニンジンをキッチンペーパーで水をふき取りまた冷蔵庫に戻した。
ざるいっぱいのレタスは、もう一度水を切っておいた。
ふと鍋の前に立っている玉山が目に入った。
「 どうですか? 」
「 いや、なかなか水が沸騰しないんだよね。 」
玉山は、真剣に鍋を見ている。
敦子も見たが、鍋が熱くなっていなかった。
ふとコンロの火を見ると、火が付いていなかった。
「 玉山さん、火を付けました? 」
「 あっ、忘れてた。 」
玉山は、慌てて火をつけた。
敦子は、ついいけないと思いながらも笑ってしまった。
なんでもできるように見える玉山が、いろいろやらかしている。
ずいぶん人間らしいんだなあと思ってしまった。
「 ごめんなさい、笑ってしまって。 」
勢いよく笑ってしまってから、まずいと思って慌てて玉山の顔を見た。
とうの玉山は、眉毛が下がって情けない顔をしている。
「 ごめん。 」
「 いいえ、じゃあゴボウを洗ってもらっていいですか。 」
「 うん。 」
今度は、玉山がゴボウを洗うのを見ていることにした。
「 これでいい? 」
きれいに洗ったゴボウを得意げに敦子に見せたので、敦子はまた吹いてしまった。
「 ぷぅ~。ごっ、ごめんなさい。あまりに誇らしげだったので。 」
今度は、少しすねた玉山がいた。
「 じゃあ、私がゴボウの皮むきますね。 」
包丁で、ゴボウの皮をコリコリこすっていると、隣で見ていた玉山が、いかにも自分がやりたいというようにうずうずしている。
「 じゃあ、やってみます? 」
今度は、笑わないように玉山にいった。
「 いいの? 」
そういいながらの得意げにゴボウの皮をこすって皮をむいていった。
「 どう? 」
綺麗に皮のむけたゴボウを敦子のほうに差し出す顔は、得意満面だった。
敦子は、今度こそ吹かないようにするのが大変だった。
玉山は、気を良くしたのか半分鼻歌交じりにごぼうの皮をむいていく。
「 痛っつ。 」
急に玉山が声を出した。
見ると指の先が切れていた。少し血も出ている。
玉山は、自分の指から出る血を見て、戦意を喪失したのか、なんだかぐったりとした。
「 あっちで、血を止めましょう。 」
敦子は、急いでティッシュを持ってきて、指を包み止血した。
先ほどのノリノリの玉山はどこへやら、テーブルの前におとなしく座った。
なんだか大きな背中が、少し丸くなっているような気がした。
指を見ると、ティッシュには血が少ししかついていなくて、切り傷は小さかったようだ。
持ってきたばんそうこうを貼るために、傷の血が止まったのかを確かめるために指を見た。
その時敦子は、以前八頭身美人の佐代子の言った言葉を思い出した。
「 どうしたの? 」
あまりに傷口をじっと見ている敦子に、何かあるのかと気になったのだろう。
玉山がいぶかしげに聞いてきた。
敦子は、まさかあなたが宇宙人じゃないか、傷を確認していたんですとは言えなかった。
「 ちゃんと血が止まっているのか確認したんです。よかったですね、もう止まってますよ。 」
そういって玉山さんの顔をよ~く見てから、ばんそうこうを貼った。
玉山は、あからさまに大きなため息をついて体の力を抜いた。
玉山さんの血は、ちゃんと赤かった。それに、傷口から金属は出ていなかったし、ちゃんと人間だった。
目も金色になってなかった。
敦子は、別の意味でほっとした。
ただキッチンを見れば、大きな鍋に入れたはずのワカメが、鍋のふちからでろ~んと垂れ下がっていて、今にも鍋からあふれそうになっていた。
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