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13 やっぱり妖怪は有名でした
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月曜日の朝、会社に行く時、隣の玉山さんの部屋の前を通ったが、ドアが開かなかった。
( 今日は、ドア開かないなあ。もう会社行ったのかなあ。それともまだいるのかなあ。)
玉山さんに会えなくて、残念なようなほっととしたような相容れない気持ちになり、朝からなんだか微妙な感じで、電車に乗った。
いつものように業務をして、やっとのことでお昼になった。月曜日はいつもそうだが、午前中はまだ仕事がはかどらない。
たぶんランチに行こうと誘ってきた二人も、そうだったのだろう。
お昼ご飯は、近くのお店でランチを食べようということになり、敦子を入れて、仲の良い同期三人で、出かけた。
同じフロアーにいる大橋奈美と近藤結衣だ。
三人とも同じ年だ。
三人で、店に入り席に着くと、すぐ大橋奈美が言った。
「 ねえ~、二人とも知ってる? 噂の皿妖怪。 」
「 見た見た。動画で見たよ~。怖いよね~。 」
「 うっぅ、その妖怪の話って、そんなに有名なの? 」
敦子が、たまらず二人に聞いた。
「 だって、ニュースになったぐらいだよ。それにあの動画見た人の中に、事故にあった人もいるんだって。 」
「 知ってる、知ってる。あの動画見たり、アップされた写真を見た人が、不幸な事件に巻き込まれるっていう噂があるんだよねえ。呪いの動画って言われてるよね。 」
「 なにそれ怖~い。 」
2人は、怖がりながら、両手で腕をさするという同じ動作をした。
ずいぶんな噂話が、盛りに盛られているようだ。
「 奈美ちゃんも結衣ちゃんも、信じてるの? 」
「 井上君のお友達が、実際に見たんだって。そのお友達が、会社で残業していたとき、窓の外を見たら、妖怪が、髪の毛を振り乱しながら、空を飛んでたんだって。しかも真っ赤な血だらけの皿に乗って。同じフロアーの人も、何人か見た人たちがいたらしいのよ。 」
「 へえ~、やっぱり妖怪ってホントにいるのね。ねえあっちゃん。 」
井上君とは、近藤結衣の彼氏で、私たちと同期の人だ。
敦子は、思った。
夜景を見に行ったあのビル群のどれかのビルで、働いているのだろう。
頑張って仕事をしていたのに、可哀想なことをしたものだ。
敦子は、心の中で、見たことのない井上君の友人とやらにあやまっておいた。
そうこうしているうちに、ランチセットが来たので、みんないったん話をやめて、ランチを食べた。
ランチについている飲み物を飲んでいるときだった。
またまた奈美が言った。
「 じゃあこれ知ってる? あの銅像事件。 」
「 あれね、あれって不思議よね~? 」
怖い怖いといいながらも、怖い話好きな奈美と結衣は、二人で楽しそうに話している。
「 銅像事件って? 」
敦子が、奈美に聞くと、待ってましたとばかりに、スマホの動画を敦子に見せた。
敦子は、その行動になぜか透視感を覚えたが、動画を見た。
その動画には、空を漂っているなにかが、銅像の上に見事に着地したところが、写っていた。
空を漂っているときには、慌てていたのか、ずいぶんぼけていたのだが、銅像に着地したときには、見事に撮影されていた。おまけに着地したときの、周りのどよめきなんかも、きれいに入っており、その時の周りの驚きが、手に取るようにわかる映像だった。
「 げっほっ、げっほっ、げっほっ。 」
敦子は、飲んでいた紅茶が、むせて鼻にまで入ってしまい、涙目になってしまった。
「 あっちゃん、大丈夫? 」
何も知らない二人は、急にむせだした敦子の心配をしてくれた。
「 だぃ~、じょぅ~ぶぅ~。 」
敦子は、むせたせいで、声がしわがれてしまった。
2人は、敦子の無事を確認して、また話し始めた。
「 銅像事件は、あの妖怪となんか関係あるんじゃないかとか、いろいろ言われているのよね。 」
「 でもよく見ると、あの銅像の頭にのったのは、かつらじゃない? 」
「 かつらだったとしてもよ。あんなに高い空から降ってくるもの? 」
「 そうねえ~、不思議よね。 」
2人は、真剣に議論を戦わせていた。
( まさかウイッグが、あんなところにあったなんてびっくり。ウイッグを売ったお店の人、まさか動画見てないよね。 )
真剣に自分の保身を考えた敦子だった。
敦子が、考えている間に、時間が来たので、三人は会社に戻った。
会社に戻ると、営業の笹川さんが、敦子の席にやってきた。
「 遅くなって悪いんだけど、出張旅費精算してもらえる? 」
「 いいですよ。これからは、もう少し早く持ってきてくださいね。 」
「 ありがとう。たのむよ。今度何かおごるからさ。 」
そういって、笹川は、書類を敦子に渡して去っていった。
その時ちょうど通りかかった、奈美が、笹川と敦子の話を聞いたのだろう。
「 今度おごってもらったら。いつもあっちゃんに迷惑かけてるんだから。」
「 いいよ。怖いもん。 」
そう営業の笹川さんは、モテるのだ。
顔も整っているし、仕事もできるので、結構社内の女の子たちが狙っている。
しかも今フリーだということも大きい。
笹川さんと人気を二分していた、井上君は、さっき一緒にランチに行った近藤結衣と、付き合い始めてしまった。
もう少し前で言うと、絶大な人気を誇っていた、坂口さんは、今目の前にいる大橋奈美と付き合っている。
どんどんできる男たちに彼女ができて、焦っている女の子が多いのも事実なのだ。
かくいう敦子も以前なら笹川さんに、仕事上とはいえ、声をかけてもらえるだけで、その日一日うれしかったものだ。
しかし、人外ともいえる玉山さんに会った後は、なんだか笹川さんがずいぶん普通の人に見える。
不思議なものだ。
そう考えていたら、なんだか急に玉山さんに会いたくなった敦子だった。
( 今日は、ドア開かないなあ。もう会社行ったのかなあ。それともまだいるのかなあ。)
玉山さんに会えなくて、残念なようなほっととしたような相容れない気持ちになり、朝からなんだか微妙な感じで、電車に乗った。
いつものように業務をして、やっとのことでお昼になった。月曜日はいつもそうだが、午前中はまだ仕事がはかどらない。
たぶんランチに行こうと誘ってきた二人も、そうだったのだろう。
お昼ご飯は、近くのお店でランチを食べようということになり、敦子を入れて、仲の良い同期三人で、出かけた。
同じフロアーにいる大橋奈美と近藤結衣だ。
三人とも同じ年だ。
三人で、店に入り席に着くと、すぐ大橋奈美が言った。
「 ねえ~、二人とも知ってる? 噂の皿妖怪。 」
「 見た見た。動画で見たよ~。怖いよね~。 」
「 うっぅ、その妖怪の話って、そんなに有名なの? 」
敦子が、たまらず二人に聞いた。
「 だって、ニュースになったぐらいだよ。それにあの動画見た人の中に、事故にあった人もいるんだって。 」
「 知ってる、知ってる。あの動画見たり、アップされた写真を見た人が、不幸な事件に巻き込まれるっていう噂があるんだよねえ。呪いの動画って言われてるよね。 」
「 なにそれ怖~い。 」
2人は、怖がりながら、両手で腕をさするという同じ動作をした。
ずいぶんな噂話が、盛りに盛られているようだ。
「 奈美ちゃんも結衣ちゃんも、信じてるの? 」
「 井上君のお友達が、実際に見たんだって。そのお友達が、会社で残業していたとき、窓の外を見たら、妖怪が、髪の毛を振り乱しながら、空を飛んでたんだって。しかも真っ赤な血だらけの皿に乗って。同じフロアーの人も、何人か見た人たちがいたらしいのよ。 」
「 へえ~、やっぱり妖怪ってホントにいるのね。ねえあっちゃん。 」
井上君とは、近藤結衣の彼氏で、私たちと同期の人だ。
敦子は、思った。
夜景を見に行ったあのビル群のどれかのビルで、働いているのだろう。
頑張って仕事をしていたのに、可哀想なことをしたものだ。
敦子は、心の中で、見たことのない井上君の友人とやらにあやまっておいた。
そうこうしているうちに、ランチセットが来たので、みんないったん話をやめて、ランチを食べた。
ランチについている飲み物を飲んでいるときだった。
またまた奈美が言った。
「 じゃあこれ知ってる? あの銅像事件。 」
「 あれね、あれって不思議よね~? 」
怖い怖いといいながらも、怖い話好きな奈美と結衣は、二人で楽しそうに話している。
「 銅像事件って? 」
敦子が、奈美に聞くと、待ってましたとばかりに、スマホの動画を敦子に見せた。
敦子は、その行動になぜか透視感を覚えたが、動画を見た。
その動画には、空を漂っているなにかが、銅像の上に見事に着地したところが、写っていた。
空を漂っているときには、慌てていたのか、ずいぶんぼけていたのだが、銅像に着地したときには、見事に撮影されていた。おまけに着地したときの、周りのどよめきなんかも、きれいに入っており、その時の周りの驚きが、手に取るようにわかる映像だった。
「 げっほっ、げっほっ、げっほっ。 」
敦子は、飲んでいた紅茶が、むせて鼻にまで入ってしまい、涙目になってしまった。
「 あっちゃん、大丈夫? 」
何も知らない二人は、急にむせだした敦子の心配をしてくれた。
「 だぃ~、じょぅ~ぶぅ~。 」
敦子は、むせたせいで、声がしわがれてしまった。
2人は、敦子の無事を確認して、また話し始めた。
「 銅像事件は、あの妖怪となんか関係あるんじゃないかとか、いろいろ言われているのよね。 」
「 でもよく見ると、あの銅像の頭にのったのは、かつらじゃない? 」
「 かつらだったとしてもよ。あんなに高い空から降ってくるもの? 」
「 そうねえ~、不思議よね。 」
2人は、真剣に議論を戦わせていた。
( まさかウイッグが、あんなところにあったなんてびっくり。ウイッグを売ったお店の人、まさか動画見てないよね。 )
真剣に自分の保身を考えた敦子だった。
敦子が、考えている間に、時間が来たので、三人は会社に戻った。
会社に戻ると、営業の笹川さんが、敦子の席にやってきた。
「 遅くなって悪いんだけど、出張旅費精算してもらえる? 」
「 いいですよ。これからは、もう少し早く持ってきてくださいね。 」
「 ありがとう。たのむよ。今度何かおごるからさ。 」
そういって、笹川は、書類を敦子に渡して去っていった。
その時ちょうど通りかかった、奈美が、笹川と敦子の話を聞いたのだろう。
「 今度おごってもらったら。いつもあっちゃんに迷惑かけてるんだから。」
「 いいよ。怖いもん。 」
そう営業の笹川さんは、モテるのだ。
顔も整っているし、仕事もできるので、結構社内の女の子たちが狙っている。
しかも今フリーだということも大きい。
笹川さんと人気を二分していた、井上君は、さっき一緒にランチに行った近藤結衣と、付き合い始めてしまった。
もう少し前で言うと、絶大な人気を誇っていた、坂口さんは、今目の前にいる大橋奈美と付き合っている。
どんどんできる男たちに彼女ができて、焦っている女の子が多いのも事実なのだ。
かくいう敦子も以前なら笹川さんに、仕事上とはいえ、声をかけてもらえるだけで、その日一日うれしかったものだ。
しかし、人外ともいえる玉山さんに会った後は、なんだか笹川さんがずいぶん普通の人に見える。
不思議なものだ。
そう考えていたら、なんだか急に玉山さんに会いたくなった敦子だった。
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