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次のターゲットはストラ男爵で
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キャスリンは魔法部屋に戻った。
コルトだけでなくマケイラも巻き込まれた形になったが、マーク亡き後ダイモック公爵家では、コルトが執事の時にマケイラも侍女長をしていた。男爵邸では、コルトとマケイラはずいぶん仲が良かった。たぶんマケイラも男爵家から何か任務があって公爵邸にきたはずだ。男爵邸ではただの下働きだったはずが、公爵邸では侍女長にまでなっている。キャスリンは、前の人生でも死んだマケイラにいい印象がなかったので少しも悪いとは思わなかった。
キャスリンは父の執務室に行き、父のスコットとマークにコルトの最後を語った。
「よくやったな」
「お嬢様、ありがとうございました」
スコットはキャスリンの話を聞いた後、深くうなづいた。マークはキャスリンに深く感謝した。目には涙が浮かんでいた。マークは仲間の死がすごくつらかったはずだ。少しでもその思いが浄化されたらいいなと思った。
「ありがとうマーク。お父様、今度はストラ男爵に密着して何か探ってきますね」
「そうか、気を付けてな」
「お嬢様、お気を付けください」
キャスリンは執務室を後にした。キャスリンは急いで魔法部屋に戻り今度はストラ男爵を探ることにした。まず王都にあるストラ男爵邸に転移する。
いつものようにトウメイニンゲンになって屋敷の中を歩いた。魔法を使って調べるとどうやらストラ男爵は、自分の執務室にいるようだった。急いで執務室に向かって歩き出した。その途中の廊下では使用人たちのささやき声が聞こえてきた。
「ねえ知ってる?コルトの事?」
「聞いたわよ~。びっくりしたわ。コルト本当にマケイラを殺したの?」
「そうみたいね。私コルトの事ちょっとあこがれていたのよね~」
「そう。よかったじゃない。付き合っていたら今頃あなたがマケイラだったかもよ」
「それはそうね、よかったわ」
キャスリンはふたりの他愛ない話を聞きながら足をはやめた。趣味の悪いけばけばしいドアを通り抜ける。
ストラ男爵は、机の前で書類を読んでいた。キャスリンが近づいて書類を覗き込むと、なんとその書類はダイモック公爵家に関するものだった。キャスリンも一緒になって読んでいくと、どうやら使用人たちを調査した報告書だった。
キャスリンでさえ知らないことがこと細かく書かれている。3人の名前のところに印が打ってあった。
キャスリンが知っている名前もあった。確か彼は、馬の世話をする仕事をしていたはずだ。キャスリンの頭に?マークが浮かんだ時、それまで報告書を読んでいたストラ男爵がつぶやいた。
「まあこいつは使えそうだな。」
ストラ男爵がこいつと呼んだのは、キャスリンも知っていた名前であり馬の世話をしている男のことだった。ストラ男爵は報告書をしばらく読んでいたが、報告書を閉じた。
「ハビセル侯爵様はすごいな。あういう方を敵には回したくないものだ。ハッハッハッ」
ストラ男爵は椅子にもたれかかり笑った。キャスリンはぎゅっと握りこぶしを作った。そうでもしないとまた魔力があふれ出て地震を起こしてしまう。
何がおかしいのかひとしきり大笑いをしたストラ男爵は、腹が空いたと大きなお腹を揺らしながら、部屋を出ていった。廊下に出ると執事を大きな声で呼んでいた。どうやらダイニングで食事をとる予定の様だった。
キャスリンはストラ男爵が部屋を出たのを確認して、急いで報告書が置いてあるデスクへと向かった。
「この報告書を詳しく調べなくっちゃ。どうしよう。すべて暗記するのは大変だし。そうだ、もう一つ作ればいいんだわ」
キャスリンは、以前女性がコピーといって同じものを作っていたのを頭の中で見ていた。報告書にイメージして魔法をかける。すると報告書の横にもう一つ同じものができた。魔法で、ページをめくると全く同じことが書いてある。
「いい仕事したわ」
キャスリンは自分の魔法の出来に満足して、魔法で出したもう一方の報告書をもって自分の魔法部屋に戻っていった。
魔法部屋に戻ると、キャスリンは急いで報告書を読み始めた。
報告書には、ダイモック公爵家にいる使用人のほとんどが記載されている。嗜好品や趣味などよくもまあこれだけ調べたものだと感心するぐらいに詳しい。
キャスリンは、ストラ男爵が印をつけている人たち三人の欄をよく読みこんだ。するとキャスリンも知っている日ごろ馬の世話をしている男の欄で、気になる記載を見つけた。この男の妻はどうやら病気らしい。
印をつけてあるもう一人をよく見ると、趣味のところに賭け事と記載されていた。あとその賭け事のせいで借金もあるらしい。最後の一人は、好きな女性がいるが、相手の女性の家が男性の家よりずいぶん裕福なため、その女性との結婚を相手の家族に反対されているらしい。男性の家が貧乏なことが理由の様だった。
ストラ男爵はこの報告書を読んで、将来やはりお金にものを言わせて、自分の都合のいいように動かしたに違いない。キャスリンは、また部屋を出て父親であるスコットの意見を聞こうと思った。
急いでマークを探す。残念ながら父のスコットは王宮に行っていていなかったが、マークがいたのでふたりで執務室に行って、ストラ男爵のもとから手に入れた報告書をさっそくマークに見せたのだった。
コルトだけでなくマケイラも巻き込まれた形になったが、マーク亡き後ダイモック公爵家では、コルトが執事の時にマケイラも侍女長をしていた。男爵邸では、コルトとマケイラはずいぶん仲が良かった。たぶんマケイラも男爵家から何か任務があって公爵邸にきたはずだ。男爵邸ではただの下働きだったはずが、公爵邸では侍女長にまでなっている。キャスリンは、前の人生でも死んだマケイラにいい印象がなかったので少しも悪いとは思わなかった。
キャスリンは父の執務室に行き、父のスコットとマークにコルトの最後を語った。
「よくやったな」
「お嬢様、ありがとうございました」
スコットはキャスリンの話を聞いた後、深くうなづいた。マークはキャスリンに深く感謝した。目には涙が浮かんでいた。マークは仲間の死がすごくつらかったはずだ。少しでもその思いが浄化されたらいいなと思った。
「ありがとうマーク。お父様、今度はストラ男爵に密着して何か探ってきますね」
「そうか、気を付けてな」
「お嬢様、お気を付けください」
キャスリンは執務室を後にした。キャスリンは急いで魔法部屋に戻り今度はストラ男爵を探ることにした。まず王都にあるストラ男爵邸に転移する。
いつものようにトウメイニンゲンになって屋敷の中を歩いた。魔法を使って調べるとどうやらストラ男爵は、自分の執務室にいるようだった。急いで執務室に向かって歩き出した。その途中の廊下では使用人たちのささやき声が聞こえてきた。
「ねえ知ってる?コルトの事?」
「聞いたわよ~。びっくりしたわ。コルト本当にマケイラを殺したの?」
「そうみたいね。私コルトの事ちょっとあこがれていたのよね~」
「そう。よかったじゃない。付き合っていたら今頃あなたがマケイラだったかもよ」
「それはそうね、よかったわ」
キャスリンはふたりの他愛ない話を聞きながら足をはやめた。趣味の悪いけばけばしいドアを通り抜ける。
ストラ男爵は、机の前で書類を読んでいた。キャスリンが近づいて書類を覗き込むと、なんとその書類はダイモック公爵家に関するものだった。キャスリンも一緒になって読んでいくと、どうやら使用人たちを調査した報告書だった。
キャスリンでさえ知らないことがこと細かく書かれている。3人の名前のところに印が打ってあった。
キャスリンが知っている名前もあった。確か彼は、馬の世話をする仕事をしていたはずだ。キャスリンの頭に?マークが浮かんだ時、それまで報告書を読んでいたストラ男爵がつぶやいた。
「まあこいつは使えそうだな。」
ストラ男爵がこいつと呼んだのは、キャスリンも知っていた名前であり馬の世話をしている男のことだった。ストラ男爵は報告書をしばらく読んでいたが、報告書を閉じた。
「ハビセル侯爵様はすごいな。あういう方を敵には回したくないものだ。ハッハッハッ」
ストラ男爵は椅子にもたれかかり笑った。キャスリンはぎゅっと握りこぶしを作った。そうでもしないとまた魔力があふれ出て地震を起こしてしまう。
何がおかしいのかひとしきり大笑いをしたストラ男爵は、腹が空いたと大きなお腹を揺らしながら、部屋を出ていった。廊下に出ると執事を大きな声で呼んでいた。どうやらダイニングで食事をとる予定の様だった。
キャスリンはストラ男爵が部屋を出たのを確認して、急いで報告書が置いてあるデスクへと向かった。
「この報告書を詳しく調べなくっちゃ。どうしよう。すべて暗記するのは大変だし。そうだ、もう一つ作ればいいんだわ」
キャスリンは、以前女性がコピーといって同じものを作っていたのを頭の中で見ていた。報告書にイメージして魔法をかける。すると報告書の横にもう一つ同じものができた。魔法で、ページをめくると全く同じことが書いてある。
「いい仕事したわ」
キャスリンは自分の魔法の出来に満足して、魔法で出したもう一方の報告書をもって自分の魔法部屋に戻っていった。
魔法部屋に戻ると、キャスリンは急いで報告書を読み始めた。
報告書には、ダイモック公爵家にいる使用人のほとんどが記載されている。嗜好品や趣味などよくもまあこれだけ調べたものだと感心するぐらいに詳しい。
キャスリンは、ストラ男爵が印をつけている人たち三人の欄をよく読みこんだ。するとキャスリンも知っている日ごろ馬の世話をしている男の欄で、気になる記載を見つけた。この男の妻はどうやら病気らしい。
印をつけてあるもう一人をよく見ると、趣味のところに賭け事と記載されていた。あとその賭け事のせいで借金もあるらしい。最後の一人は、好きな女性がいるが、相手の女性の家が男性の家よりずいぶん裕福なため、その女性との結婚を相手の家族に反対されているらしい。男性の家が貧乏なことが理由の様だった。
ストラ男爵はこの報告書を読んで、将来やはりお金にものを言わせて、自分の都合のいいように動かしたに違いない。キャスリンは、また部屋を出て父親であるスコットの意見を聞こうと思った。
急いでマークを探す。残念ながら父のスコットは王宮に行っていていなかったが、マークがいたのでふたりで執務室に行って、ストラ男爵のもとから手に入れた報告書をさっそくマークに見せたのだった。
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