大切なあのひとを失ったこと絶対許しません

にいるず

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コルトの過去4 ※ご注意ください。少し残酷な表現が出てきます。

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 コルトが村に入ると、村の人たちが次々にやってきた。みな嬉しそうに迎えてくれている。

 「よく帰ってきたな。今サラを呼んでくるよ」

 「ありがとう」

 コルトは持ち前の人の好さそうな顔をしてみんなにお礼を言った。一緒に来た三人も思い切り外面の良さを前面に出して村の人たちと話している。三人の整った顔立ちに思わず顔を赤らめて見ている女性たちも多かった。

 「サイモクさんはいますか?家族を紹介したいんですが」

 「ああ、サイモクは今ちょっと出ているんだ。帰ってきたら連絡するよ。今日はゆっくり休んでくれ。この前までいたところでいいかい?」

 村の人たちにマークと呼ばれていた男がそういい、数人の人に案内させた。コルトが助けられてから生活していた場所は、公民館のような簡易宿泊所のようなところだった。コルトとほかの三人も案内人の後をついていった。まず疲れただろうからとお茶の用意をしてくれた。またお風呂も入れるように準備してくれたようだった。あとで食事を持ってくると言い残してみな出ていった。

 「おい、みんな親切だな。いいのか、コルト。こんなに親切にしてもらったのにさ~」

 「そうだぜ。ひどい奴だぜ。それにしてもコルトの言った通り女たち身ぎれいにしてるよな。かわいい子がいっぱいいたぜ」

 ダンやほかの男たちは、先ほど村の住人に見せたのとは全然違う醜悪な笑いを浮かべながらしゃべっていた。

 「それよりサイモクがいないのは朗報だ。今夜決行しよう」

 コルトが言った。

 「でもさ~、生活も豊かそうだし男たちもいるし武器とか結構あるんじゃないか」

 「いや、前来た時村を見て回ったが、そんなものなかった気がする。そもそもここは魔法だか知らないが守られているから、皆がずいぶん油断している気がする。だからこちらが先手を打って戦えば大丈夫だと思う」

 「確かにここは平和そのものに見える。住人たちに警戒感がまるでない。村の周りに柵もないしな」

 戦いになれているダンがそういった。

 「確かにな」

 「じゃあ、女たちはどうする?」

 「奴隷として売っちまおうぜ。子どもたちも一緒にな」

 「その前にかわいがってやるのもいいな」

 「そうだな。楽しみ~」

 男たちがいやらしい笑いをしていた時だった。突然コルトが立ち上がり部屋のドアを開けた。
 ドアの前にはサラが真っ青な顔をして立っていた。

 「こいつ聞いていたぜ」

 「どうする」

 コルトがサラを部屋に押し込もうとした時だった。

 「おねえちゃん、ここに持ってくればいい?」

 サラの後ろから2、3人の子供たちの声がした。サラを手伝うためかパジャマのようなものを持っている。

 「みんな、逃げてー!」

 子供たちの声に一瞬動きを止めたコルトを見て、サラがはっと我に返り後ろの子供たちに叫んだ。サラのあせった声に子ども達もびっくりしてコルトたちを見た。先ほどとは違い殺気だった男たちを見てあまりの違いに子供たちは何事が起ったのかと呆然としていたようだった。

 「きゃあぁぁぁ____!」
 
 サラがコルトに乱暴に引っ張られたのを見て、子どもたちは持っていたものを放り投げて、叫び声をあげながら外に飛び出していった。男たちが子ども達を逃がすまいと後を追おうとした。
 その時サラがコルトの腕を振り切り、男の一人に体当たりした。子どもたちを少しでも遠くに逃がそうとしたのだろう。

 「こいつぅ___!」

 突き飛ばされそうになった男が、ポケットからナイフを取り出しサラののどをかき切った。サラは叫び声をあげる暇もなく倒れていった。

 「何やってるんだよ」

 「仕方ない。子どもたちが逃げたぞ。今から決行だ!」

 そういうが早いが、コルトたち男4人は外に飛び出していった。外では子供たちの尋常じゃない叫び声に大人たちがわらわらと出てきた。
 
 見ると後ろからものすごい形相をした男たちが子供たちを追いかけてきた。子どもの足は遅い。直ぐに追いつかれ子供たちは、次々にコルトたちに無残にも殺されていった。
 それをみんな呆然と見ていたが、女たちはおびえて足がすくんでしまい、男たちは素手でコルトたちに向かっていったが戦い慣れているコルトたちには、ハエと一緒であっけなくばたばたと殺されていった。
 その様子を見ていた女たちは助けを呼びに走るもの、そこら辺にあった棒でコルトたちに立ち向かい、殺されてしまうもの。あたり一帯は阿鼻叫喚の地獄のようだった。
 
 コルトたちは、自分に向かってくる住人たちをまるで虫でも殺すかのように簡単に始末していったが、急に目の前が何か膜で覆われたように動けなくなった。

 見ると少し離れたところにサイモクが立っていた。あせって走ってきたのだろう。肩で息を切らしながら立ってる。
 
 「マークお前たちは先にいけ。あとで皆も転移させる」

 「駄目だ。お前はどうする。俺も残る」

 「駄目だ。お前には守るべきものがある。いけ!」 
 
 そういうとコルトたちの目の前でマークと子どもそして女性が忽然とかき消えた。
 それからサイモクが後ろにいる住人に言った。

 「生き残っているものをすべて上の丘に連れていけ。早く!」

 その声で大人も子供もはじかれたように上の丘に向かって駆け出していった。その様子をサイモクはコルトたちを気にしながら見ていた。
 生き残った者たちが皆丘に登ったのを確認すると、サイモクは胸の前に持っている何かに向けて術をつぶやき始めた。すると魔道具がまばゆい光を放ち、丘全体が白く靄がかかったようになった。そして靄が消えると住人たち全員も消えていた。サイモクが持っている魔道具の光もたちまち消えた。
 
 サイモクは術をつかったせいで、口から血を吐いて倒れた。サイモクが胸に抱えていたものがバリンっと音を立てて粉々になった。それと同時にコルトたちの前にあった膜もかき消えた。
 コルトはサイモクの元へ走った。サイモクにナイフを突きつけながらサイモクに言った。

 「おい、ほかの魔道具はどこにある?住人たちをどこへやった」

 サイモクは倒れたまま首を振った。それを見ていたダンがバンっとサイモクを蹴った。サイモクが転がった。サイモクの口から再び血が流れた。それでもサイモクは言葉を発しなかった。

 「おい、いえよ。痛い目に合わせるぞ」

 そういって男の一人がサイモクの腕に刃をたてた。他の男が再びサイモクを蹴った。

 「いえよ。早く!」
 
 サイモクが何も言わないので、男たちはいらいらしてサイモクの体に刃を次々にたてたり蹴ったりした。
 そうしているうちにサイモクの動きが止まった。

 「あ~あ、死んじゃったじゃないか」

 男の一人がもうすでに息をしていないサイモクを蹴った。男たちは仕方なく村を歩き回ったが、魔道具は一つも見つからず、サイモクが持っていた魔道具の破片しか残っていなかった。
 
 
 
 
 
 
 

 



 


 
 


 
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