10 / 91
魔道具を見せてもらいました
しおりを挟む
キャスリンの部屋にいた者たちであるキャスリン家族とバーバラは、執事のマークが住んでいる公爵家屋敷の横にある離れに皆で行くことにした。
玄関のすぐ横にあるマークが仕事部屋として使っている部屋に入った。そこには机といす、そして壁際に本棚が置いてあるだけのシンプルな部屋だった。マークは皆を壁際に立たせ自分は部屋の真ん中に立った。そして何やら呪文のようなものをつぶやいた。するとアシュイラの花が光った時のような真っ白い光が部屋の真ん中で起こり、光が消えるとそこには一つの小さな箱があった。
マークが箱を開けると、中にはいくつか入っていた。
「みなさんこちらへ」
皆が箱を覗きこむ。よく見るとそこにはまた小さな箱が一つと何やら鏡のようなもの、そして一冊の本が入っている。マークが小さな箱を取り出し蓋を開けると、そこにはきれいな宝石で飾られた指輪とネックレス、それらに対になっているイヤリング、そして一つだけ黄色い石のついたシンプルな腕輪が入っていた。
「お嬢様、この腕輪に触ってみてください」
マークに箱ごと差し出されたキャスリンは、腕輪を手に取ろうと触った。するとあっという間に腕輪がキャスリンの白い腕に巻き付くかのようにはまった。箱の中では大きく感じたのだが、今キャスリンの腕にはまっているものは箱の中にあった時より小さく感じる。
キャスリンは何度も腕を動かして腕輪を見たが、腕輪の金具が見当たらない。どうやって腕にはまったのかもわからない。
「マーク、これどうやってとるの?金具が見当たらないけれど」
「この腕輪は持ち主を選ぶのです。王家の秘宝と言われるもので、その継承者だけが使えるといわれております」
「マーク、私はアシュイラ皇国のものではないわ。なのにどうして?」
「それはわかりません。ただお嬢様がまとっている魔力は王族のものです。だから反応したのだと思うのですが。もしかしたらスティーブ王子がお嬢様のために何か魔法をかけたのかもしれません」
キャスリンはマークの話を聞いて、再び腕輪を眺めた。きれいな細工が施された腕輪は見る限りではただの腕輪に見える。ただキャスリンが心の中で外そうと思ったとき、いつの間にかその腕輪は先ほどまで入っていた箱の中に納まっていた。
「すごいな」
その様子をじっと見ていた兄のクロードが思わずそうつぶやいた。
「その腕輪は何か仕掛けとかあるのかな?」
クロードが好奇心を隠し切れずマークに聞いた。
「この腕輪は持ち主を守るとされています。あと魔力を使いやすくするとも。お嬢様ぜひはめておいてくださいませんか」
そういわれてキャスリンはまた腕輪に触った。腕輪はいつの間にか再びキャスリンの腕にはまっていた。
「ほかの装身具はどんな使い道があるのだろうか」
今度は当主であるスコットが聞いた。
「この装身具は王妃がつけておられました。これもまたつけているものを守るとされております。あとこの鏡具は、魔道具を作るときに用いられるものです。それとこちらにある本は、継承者しか読むことのできないものとなっています」
そういってマークは皆の前に本を見せた。スコットが受け取って中を開いてみたが、中は真っ白で何も書かれていなかった。スコットがキャスリンにその本を手渡した。
キャスリンがその本を持った途端キャスリンが消えた。
「「「キャスリン!」」」
マークとバーバラを除いた三人が叫んだ。
三人はびっくりしてあたりをきょろきょろしている。
ほんの一瞬のあとキャスリンが現れた。本を持ったまま。
「どこにいたんだね」
思わずといった風で父のスコットがキャスリンに聞いた。
「えっどこかしら。真っ白な空間にいたの」
キャスリンはそう言いながらマークを見た。
「お嬢様は時の狭間に行かれていたのです。どうでしたか」
「あっ、頭の中に膨大な情報が詰め込まれたみたい。なんだか眠いわ」
そういったとたんまたキャスリンは大きく体を揺らした。とっさにマークとクロードが支えなかったら床に転がったことだろう。
「大丈夫?」
母親のミシェルとバーバラがキャスリンに駆け寄った。キャスリンはクロードに抱きかかえられていた。
キャスリンが倒れたことでびっくりして気づかなかったが、先ほどまであった装身具やら鏡具など入っていた箱ごと部屋から消えていた。
「マーク、先ほどまであった箱がなくなっている」
キャスリンが穏やかに眠っている様子を確認したスコットがマークに箱のことを聞いた。
「持ち主がお嬢様になったことで箱はまた消えました。お嬢様が必要だと思うときに箱が取り出せるようになっているのです」
皆はキャスリンの腕にしっかりとはまっている腕輪を見て、さっきの出来事が夢でないことを確認したのだった。
「でもどうしてキャスリンは倒れたんだ?」
「王家に伝わるとされる魔法を一度に頭の中に詰め込まれたせいかと」
「一体どんな魔法が使えるのかね」
「それは私にもわかりません。ただ昔王がこういわれておりました。魔法は諸刃の剣となると。使い方を誤るととんでもないことが起きると」
そうマークから聞いたスコットの顔は険しかった。
玄関のすぐ横にあるマークが仕事部屋として使っている部屋に入った。そこには机といす、そして壁際に本棚が置いてあるだけのシンプルな部屋だった。マークは皆を壁際に立たせ自分は部屋の真ん中に立った。そして何やら呪文のようなものをつぶやいた。するとアシュイラの花が光った時のような真っ白い光が部屋の真ん中で起こり、光が消えるとそこには一つの小さな箱があった。
マークが箱を開けると、中にはいくつか入っていた。
「みなさんこちらへ」
皆が箱を覗きこむ。よく見るとそこにはまた小さな箱が一つと何やら鏡のようなもの、そして一冊の本が入っている。マークが小さな箱を取り出し蓋を開けると、そこにはきれいな宝石で飾られた指輪とネックレス、それらに対になっているイヤリング、そして一つだけ黄色い石のついたシンプルな腕輪が入っていた。
「お嬢様、この腕輪に触ってみてください」
マークに箱ごと差し出されたキャスリンは、腕輪を手に取ろうと触った。するとあっという間に腕輪がキャスリンの白い腕に巻き付くかのようにはまった。箱の中では大きく感じたのだが、今キャスリンの腕にはまっているものは箱の中にあった時より小さく感じる。
キャスリンは何度も腕を動かして腕輪を見たが、腕輪の金具が見当たらない。どうやって腕にはまったのかもわからない。
「マーク、これどうやってとるの?金具が見当たらないけれど」
「この腕輪は持ち主を選ぶのです。王家の秘宝と言われるもので、その継承者だけが使えるといわれております」
「マーク、私はアシュイラ皇国のものではないわ。なのにどうして?」
「それはわかりません。ただお嬢様がまとっている魔力は王族のものです。だから反応したのだと思うのですが。もしかしたらスティーブ王子がお嬢様のために何か魔法をかけたのかもしれません」
キャスリンはマークの話を聞いて、再び腕輪を眺めた。きれいな細工が施された腕輪は見る限りではただの腕輪に見える。ただキャスリンが心の中で外そうと思ったとき、いつの間にかその腕輪は先ほどまで入っていた箱の中に納まっていた。
「すごいな」
その様子をじっと見ていた兄のクロードが思わずそうつぶやいた。
「その腕輪は何か仕掛けとかあるのかな?」
クロードが好奇心を隠し切れずマークに聞いた。
「この腕輪は持ち主を守るとされています。あと魔力を使いやすくするとも。お嬢様ぜひはめておいてくださいませんか」
そういわれてキャスリンはまた腕輪に触った。腕輪はいつの間にか再びキャスリンの腕にはまっていた。
「ほかの装身具はどんな使い道があるのだろうか」
今度は当主であるスコットが聞いた。
「この装身具は王妃がつけておられました。これもまたつけているものを守るとされております。あとこの鏡具は、魔道具を作るときに用いられるものです。それとこちらにある本は、継承者しか読むことのできないものとなっています」
そういってマークは皆の前に本を見せた。スコットが受け取って中を開いてみたが、中は真っ白で何も書かれていなかった。スコットがキャスリンにその本を手渡した。
キャスリンがその本を持った途端キャスリンが消えた。
「「「キャスリン!」」」
マークとバーバラを除いた三人が叫んだ。
三人はびっくりしてあたりをきょろきょろしている。
ほんの一瞬のあとキャスリンが現れた。本を持ったまま。
「どこにいたんだね」
思わずといった風で父のスコットがキャスリンに聞いた。
「えっどこかしら。真っ白な空間にいたの」
キャスリンはそう言いながらマークを見た。
「お嬢様は時の狭間に行かれていたのです。どうでしたか」
「あっ、頭の中に膨大な情報が詰め込まれたみたい。なんだか眠いわ」
そういったとたんまたキャスリンは大きく体を揺らした。とっさにマークとクロードが支えなかったら床に転がったことだろう。
「大丈夫?」
母親のミシェルとバーバラがキャスリンに駆け寄った。キャスリンはクロードに抱きかかえられていた。
キャスリンが倒れたことでびっくりして気づかなかったが、先ほどまであった装身具やら鏡具など入っていた箱ごと部屋から消えていた。
「マーク、先ほどまであった箱がなくなっている」
キャスリンが穏やかに眠っている様子を確認したスコットがマークに箱のことを聞いた。
「持ち主がお嬢様になったことで箱はまた消えました。お嬢様が必要だと思うときに箱が取り出せるようになっているのです」
皆はキャスリンの腕にしっかりとはまっている腕輪を見て、さっきの出来事が夢でないことを確認したのだった。
「でもどうしてキャスリンは倒れたんだ?」
「王家に伝わるとされる魔法を一度に頭の中に詰め込まれたせいかと」
「一体どんな魔法が使えるのかね」
「それは私にもわかりません。ただ昔王がこういわれておりました。魔法は諸刃の剣となると。使い方を誤るととんでもないことが起きると」
そうマークから聞いたスコットの顔は険しかった。
13
お気に入りに追加
2,299
あなたにおすすめの小説
3大公の姫君
ちゃこ
恋愛
多くの国が絶対君主制の中、3つの大公家が政治を担う公国が存在した。
ルベイン公国の中枢は、
ティセリウス家。
カーライル家。
エルフェ家。
この3家を筆頭に貴族院が存在し、それぞれの階級、役割に分かれていた。
この話はそんな公国で起きた珍事のお話。
7/24
完結致しました。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
サイドストーリーは一旦休憩させて頂いた後、ひっそりアップします。
ジオラルド達のその後など気になるところも多いかと思いますので…!
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します
シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。
両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。
その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
婚約者から婚約破棄のお話がありました。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「……私との婚約を破棄されたいと? 急なお話ですわね」女主人公視点の語り口で話は進みます。*世界観や設定はふわっとしてます。*何番煎じ、よくあるざまぁ話で、書きたいとこだけ書きました。*カクヨム様にも投稿しています。*前編と後編で完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる