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プロローグ

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 公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、ナクビル国の筆頭公爵家の一人娘である。
 さかのぼれば、王家にもつながる、まさしく由緒正しい血筋のご令嬢である。

 しかしながら、今いるところは牢の中、今まさに毒杯を飲むところだった。
 身分があるので牢といっても貴族が入れられる部屋で、ベッドなど最低限のものはそろっている。


 先ほど近衛兵と死刑を執行する役人が来て、一つのグラスを置いていったところだ。

 グラスを持った役人の手が、かすかにふるえているのが分かった。
 近衛兵は、こちらを見ようともしない。たぶん目を合わせたくないのだろう。
 苦しまずに死ねるらしいというのだけが救いだ。もともと王族用の処刑に使われてきたものだから。

 (わたくし何を間違えたのかしら。今更考えても仕方ないわね)

 公爵令嬢キャスリンは、毒杯をあおった。

 (苦しいぃぃ___、のどが焼けるように痛い_)

 床に倒れたキャスリンは、しばらくのたうち回っていたが、やがて動かなくなった。


 1時間後に部屋に入ってきた近衛兵と役人は、キャスリンのもがき苦しんだであろう姿と苦悶の表情を見て、
びっくりした。

 「えっ_、なぜだ!どうしたらこうなるんだ___」

 慌てて、近衛兵が、部屋を出て行った。

 役人は、最初足ががくがくしていたが、ベッドからシーツを持ってくると、キャスリンの体にそっとかけた。

 「この国ももう終わりだ...」 







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