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かん子の天敵朝居正也 その2
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「缶づめかん子~~!缶づめかん子~~!みつ豆黒豆缶づめかん子~~!!」
「うるさい!!だまれ!!ひきがえる~車にひかれてぺったんこ!ぺったんぺったんひきがえる~!!」
学校帰りのかん子と正也のくだらない日常である。かん子が無視したりたたいたりあだ名で応戦しても、あいかわらず正也はかん子にちょっかいを出していた。
不思議なのは他の男子が真似しないことである。普通なら真似するはずなのに、かん子のあだ名は正也だけしか言わなかった。
そんな5年生になったある日、学校でマラソン大会があった。かん子は小さい頃、いつも兄俊史にくっついていたので、持久力だけは人並にあった。ほかの運動神経は全くだったが。
だからいつもならまん中にはいるはずのかん子だったが、この日は朝から風邪気味で調子が悪かった。後ろから数えた方がはやいという順位で走っていた。
やっと学校に戻ってグラウンドを一周して、ゴールというときだ。
正也の声が聞こえた。
「缶づめかん子~がんばれ~~!!缶づめかん子がんばれ~~!!」
息が上がる中ふと声のほうを見れば、正也がグラウンドの横で自分になにか叫んでいる。
自分の聞き間違えでなければ、がんばれ!!!と応援してくれているではないか。
かん子は、その声を聞いて足が少しだけ軽くなった気がした。いつも言われている嫌いなあだ名も、その時ばかりは温かく感じた。やっとゴールして落ち着いてきたとき、さきほど声のしたほうを見た。
正也がこちらを見ていた。じっとこちらを見ている視線とぶつかった時、不思議とかん子はふわっとした気持ちになったのだった。
その日の学校の帰り、またいつものように正也がかん子に近づいてきた。かん子は正也になぜかお礼が言いたかった。
それくらいうれしかったのだ。しかし言わなくて良かったと後で思った。
なぜなら・・・・。
「おまえ~遅かったな!おれは一番だったぜ!」
にやっと笑ったかと思えば、どや顔でいったからだ。
すこし正也を見直していたかん子だったが、やっぱり嫌な奴だと思った。
しかしかん子が6年になってのマラソン大会でも、なぜかグラウンドでかん子を応援する正也の姿があった。
かん子達6年生の女子のマラソンが終わった後、今正也達5年生の男子がグラウンドを走っている。正也の同級生であろう女の子たちが、黄色い声で正也を応援しているのが見えた。
「かん子の正也君ってもてるらしいよ!確かに顔可愛いしね。そんな子に応援されて幸せじゃん!」
かん子のまわりで友達たちが冷やかした。
「いやだよあんな奴、あんな性格ゆがんでちゃあ駄目だね」
「でもさ~かん子にだけみたいだよ!あんなこと言うの!噂では、あの子運動神経いいし、やさしいし頭もいいんだって」
みんなが口々に正也をほめそやしていた。みんなが正也をほめているのが、やけにかん子は気に食わなかった。みんながほめるたび、胸の中がもやもやするのだった。
正也は今年も一位だった。
どうしてわかったのだろう、正也はゴールした時不意にかん子のほうを見てにやっとわらった。よけいもやもやがひどくなった気がした。
「あいつ性格悪いよ~!みんな知ってるじゃん!」
かん子は、なぜかわからないが無性に正也をけなしたくなった。みんなが、正也のことをよくいうのが許せなかった。
もやもやしたわけのわからない感情をみんなに知られるのも嫌だった。
(ほんといやな奴~~~!)
かん子は心の中で叫ぶのだった。
「うるさい!!だまれ!!ひきがえる~車にひかれてぺったんこ!ぺったんぺったんひきがえる~!!」
学校帰りのかん子と正也のくだらない日常である。かん子が無視したりたたいたりあだ名で応戦しても、あいかわらず正也はかん子にちょっかいを出していた。
不思議なのは他の男子が真似しないことである。普通なら真似するはずなのに、かん子のあだ名は正也だけしか言わなかった。
そんな5年生になったある日、学校でマラソン大会があった。かん子は小さい頃、いつも兄俊史にくっついていたので、持久力だけは人並にあった。ほかの運動神経は全くだったが。
だからいつもならまん中にはいるはずのかん子だったが、この日は朝から風邪気味で調子が悪かった。後ろから数えた方がはやいという順位で走っていた。
やっと学校に戻ってグラウンドを一周して、ゴールというときだ。
正也の声が聞こえた。
「缶づめかん子~がんばれ~~!!缶づめかん子がんばれ~~!!」
息が上がる中ふと声のほうを見れば、正也がグラウンドの横で自分になにか叫んでいる。
自分の聞き間違えでなければ、がんばれ!!!と応援してくれているではないか。
かん子は、その声を聞いて足が少しだけ軽くなった気がした。いつも言われている嫌いなあだ名も、その時ばかりは温かく感じた。やっとゴールして落ち着いてきたとき、さきほど声のしたほうを見た。
正也がこちらを見ていた。じっとこちらを見ている視線とぶつかった時、不思議とかん子はふわっとした気持ちになったのだった。
その日の学校の帰り、またいつものように正也がかん子に近づいてきた。かん子は正也になぜかお礼が言いたかった。
それくらいうれしかったのだ。しかし言わなくて良かったと後で思った。
なぜなら・・・・。
「おまえ~遅かったな!おれは一番だったぜ!」
にやっと笑ったかと思えば、どや顔でいったからだ。
すこし正也を見直していたかん子だったが、やっぱり嫌な奴だと思った。
しかしかん子が6年になってのマラソン大会でも、なぜかグラウンドでかん子を応援する正也の姿があった。
かん子達6年生の女子のマラソンが終わった後、今正也達5年生の男子がグラウンドを走っている。正也の同級生であろう女の子たちが、黄色い声で正也を応援しているのが見えた。
「かん子の正也君ってもてるらしいよ!確かに顔可愛いしね。そんな子に応援されて幸せじゃん!」
かん子のまわりで友達たちが冷やかした。
「いやだよあんな奴、あんな性格ゆがんでちゃあ駄目だね」
「でもさ~かん子にだけみたいだよ!あんなこと言うの!噂では、あの子運動神経いいし、やさしいし頭もいいんだって」
みんなが口々に正也をほめそやしていた。みんなが正也をほめているのが、やけにかん子は気に食わなかった。みんながほめるたび、胸の中がもやもやするのだった。
正也は今年も一位だった。
どうしてわかったのだろう、正也はゴールした時不意にかん子のほうを見てにやっとわらった。よけいもやもやがひどくなった気がした。
「あいつ性格悪いよ~!みんな知ってるじゃん!」
かん子は、なぜかわからないが無性に正也をけなしたくなった。みんなが、正也のことをよくいうのが許せなかった。
もやもやしたわけのわからない感情をみんなに知られるのも嫌だった。
(ほんといやな奴~~~!)
かん子は心の中で叫ぶのだった。
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