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かん子の隣にいる男 その2
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かん子は、朝居正也に腕を掴まれたまま歩いていた。これ以上逃げるわけはないのに、なぜか離してくれない。
「佐和子さんがお母様なんですね。私、あなたのお母様から会社紹介されたんです」
「知ってる。お前がまだ会社決まってないって聞いたから、お袋気をきかせたみたいだから」
正也の返事では、まるで答えがわからなかった。
かん子は、正也の言ったことが半分も理解できなかった。
(気をきかせた~?それにお前って?何さまだよ!違うか、俺様王様だよね)
正也の強引な態度を思い出して、ひとり考えていたら思わず笑いが出てしまった。
「ふっふっふっ」
「何笑ってるんだ?」
正也がじろっと見る。
「だってまるで俺様王様みたいじゃん。なんだかいばってて」
かん子は、つい本音を言ってしまった。言った後こいつからのコネだったことを思い出して、知らぬ間に顔が青くなってしまった。
(やばい、これで会社辞めさせられたら困るよね)
そおっと顔をあげると、ニヤニヤしている正也の顔があった。
「お前って昔からわかりやすいよな、すぐ顔に出るし」
「昔って、いつから私のこと知ってるんです?」
ちょうどこの疑問を口にした時、ふたりはかん子の家の前に着いた。
「どうして家知ってるんですか?」
正也はかん子をじっーと見て、急にせつなそうな顔をした。
かん子は、この顔をどこかで見たことがあった。
このせつなそうな顔・・・・・。
正也の顔を見ているうちに、ある情景が思い浮かんだ。
「あ__!もしかして『ひきがえる』!?」
「おまえな、ひきがえるはないだろう!思いだしたか!?かんづめかんこ!」
正也は、ひきがえるなどと人が聞いたらうれしくない言葉なのに、これ以上ないっていう破顔した顔をかん子にむけた。
端正な顔が笑う様子は、まるで別人のように温かかった。
朝居正也。
彼は、かん子より一つ下の同じ小学校・中学校のご近所さんだった。しかも彼は、当時のかん子にとって一番いやな奴であり、天敵といってもいい奴だったのだ。
それにしても__。なんだ!なんだー!
背たけが違___う!顔が違うじゃん!!
「佐和子さんがお母様なんですね。私、あなたのお母様から会社紹介されたんです」
「知ってる。お前がまだ会社決まってないって聞いたから、お袋気をきかせたみたいだから」
正也の返事では、まるで答えがわからなかった。
かん子は、正也の言ったことが半分も理解できなかった。
(気をきかせた~?それにお前って?何さまだよ!違うか、俺様王様だよね)
正也の強引な態度を思い出して、ひとり考えていたら思わず笑いが出てしまった。
「ふっふっふっ」
「何笑ってるんだ?」
正也がじろっと見る。
「だってまるで俺様王様みたいじゃん。なんだかいばってて」
かん子は、つい本音を言ってしまった。言った後こいつからのコネだったことを思い出して、知らぬ間に顔が青くなってしまった。
(やばい、これで会社辞めさせられたら困るよね)
そおっと顔をあげると、ニヤニヤしている正也の顔があった。
「お前って昔からわかりやすいよな、すぐ顔に出るし」
「昔って、いつから私のこと知ってるんです?」
ちょうどこの疑問を口にした時、ふたりはかん子の家の前に着いた。
「どうして家知ってるんですか?」
正也はかん子をじっーと見て、急にせつなそうな顔をした。
かん子は、この顔をどこかで見たことがあった。
このせつなそうな顔・・・・・。
正也の顔を見ているうちに、ある情景が思い浮かんだ。
「あ__!もしかして『ひきがえる』!?」
「おまえな、ひきがえるはないだろう!思いだしたか!?かんづめかんこ!」
正也は、ひきがえるなどと人が聞いたらうれしくない言葉なのに、これ以上ないっていう破顔した顔をかん子にむけた。
端正な顔が笑う様子は、まるで別人のように温かかった。
朝居正也。
彼は、かん子より一つ下の同じ小学校・中学校のご近所さんだった。しかも彼は、当時のかん子にとって一番いやな奴であり、天敵といってもいい奴だったのだ。
それにしても__。なんだ!なんだー!
背たけが違___う!顔が違うじゃん!!
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