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100 まさかのモテ期です
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私の手招きにのこのこやってきたのは、清徳さんと青木さんでした。ふたりは、きっと久美ちゃんに止められたはずですが勝手にやってきてしまったのでしょうね。
私は、ジェーちゃん改めジェフさんに二人を紹介しました。清徳さんを紹介した時には、ジェフさんは懐かしがるどころか彼を見る目が少し鋭くなった気がします。清徳さんはやっぱりというべきか、あの時のジェーちゃんだとは気が付いていないようです。清徳さんの顔も少しこわばっています。
青木さんを紹介した時には、お互いものすごい笑顔で挨拶していました。でもよく見るとお互いに目が笑っていなくて、私は少し後ずさってしまいました。
「ねえ清徳さん、昔ジェーちゃんっていう子と一緒に遊んだのを覚えている?」
急に私が昔話を始めたからでしょう。清徳さんが怪訝な顔を浮かべながらもうなずきます。
「ああ」
「実はですねえ、目の前のジェフさんがジェーちゃんだったのです!」
私がどうだ! とばかりに秘密をばらすと、清徳さんの目がこれ以上ないぐらいに見開かれました。それはそうですよね。たぶんあなたの初恋の人ですもんね。
私は、清徳さんのびっくりした顔に大満足です。隣のジェフさんは、なんだかよけい目つきがきつくなった気がします。清徳さんの唖然とした表情に彼も驚いているんでしょうか?
「そんなことより今回日本に来た大きな理由は説明したけれど、まだあきらめていないんだよ。君は、今はいいなずけも恋人もいないみたいだからね。一度帰るけど、また日本に来るつもりだよ。君を口説きにね!」
ジェフさんは、清徳さんとの思い出をそんなことといって一刀両断にしてしまいました。ジェフさんは、清徳さん達の方をわざと無視して、わたしにウインクしてきました。さすが外国の方がすると決まりますね。せっかく落ち着いてきた心が、さざ波の様に揺れています。
ジェフさんは、まるで牽制でもするかのように清徳さんや青木さんを鋭いまなざしで見つめています。
「私もこの前千代子さんに告白したんだ。恋人に立候補するよ」
青木さんが一歩前に出ます。ジェフさんに負けじとばかりに、私の方をひたりと見つめてきました。そういえば青木さんにはまだ返事もしていませんでしたね。
「私もいいなずけ解消されてしまったけれど、過去の自分の行いを反省している。ここにいるふたりより、ずいぶん不利なのはわかってはいるけれど、負けるつもりはない」
清徳さんも二歩ほど進み、青木さんの前に出てきて私をじっと見つめてきました。
いったいどうしたことでしょう。急に私は、モテ期に突入してしまったようです。こんなこと人生で一度もなかったので、どうしたらいいのかわからずにうろたえてしまいました。顔がこれ以上ないほど熱を持っています。もしかしたら顔が、ゆでだこのようになっているかもしれません。
「ちょっと皆さん、いい加減にしてくださいませんか。お嬢様が困っているではありませんか!」
大きな声がして、三人の男性たちの前にずんと立ちはだかったのは、久美ちゃんです。
私は、久美ちゃんの後ろに縮こまるようにしてさっと隠れました。やっぱり久美ちゃんは、困った時に颯爽と現れてくれる王子様のような存在ですね。
「私は帰国の挨拶をしていただけです。そこにこの二人が、勝手にやってきたんです」
「いや。あれは挨拶じゃあなかったよ。ジェフさんが、先に...」
「そうだよ」
久美ちゃんの登場に三人が慌てています。ただいち早く我に返ったジェフさんが、久美ちゃんに説明を始めました。ただ清徳さんも負けじとばかりに久美ちゃんに言い募っていますが、久美ちゃんのにらみで言葉が途中で途切れてしまいました。青木さんも久美ちゃんが怖いのか清徳さんに同意はしますが、言葉が出てこないようです。
「では、ジェフさんの挨拶もお済みなったことですし、会場に戻りましょうね」
久美ちゃんは、私の手を引いてさっさとこの場を後にしようとしています。私も一瞬ついていこうと思いましたが、やはりいうべきことを言うことにしました。
私は、久美ちゃんの手をそっと放して三人の男性の前に向きなおります。
「ありがとうございます。私、今回時間がたっぷりとあったので、いろいろ将来の事を考えてみました」
私はそういってまず清徳さんに向きなおります。
「私、少し前まで恋に恋してまるでストーカーのようなことをしていました。本当に申し訳ない行動をしていたと思います。すみませんでした」
そして今度は青木さんの方を見ます。
「私、名前を偽って会社で働いていました。でもそこで出会った方々にとってもよくしていただいて、働くことの楽しさを教えていただきました。ありがとうございました」
そして最後にジェフさんを見つめました。
「今回いろいろあって、私にはかけがえのない仲間がいることに気が付きました。大勢の方々が尽力してくださいました」
それから改めて三人に向きなおります。
「私は、今は恋よりやりたいことが出来ました」
「やりたいこと?」
ジェフさんが、まるで三人を代表するかのように私に尋ねてきます。
「ええ。私もっと働いてみたいんです。だからごめんなさい」
私は、三人に頭を下げます。
「別に働いてもいいんじゃあないかなあ。僕は応援するよ」
青木さんがいち早く私に賛成してくれます。
「そうだよ。もしよければ今までの会社でもいいし。なんなら清徳グループの本社でもどうだ?」
「それならもっとグローバルにアメリカなんてどうですか?」
清徳さんもジェフさんも、青木さんに負けじとばかりに声を上げます。
「私、実はお店を出したいんです」
私は自分の中で温めてきた思いを打ち明けることにしました。
「ブティックか何か? それとも食品関係の店? 経営の指導とか何か手伝えると思うよ」
「いや。どんな店でも清徳グループがバックアップさせてもらおう」
「それならアメリカでやればどうかな?」
三人が思い思いに私に提案してくれます。いや、そんな大がかりなことではないんですけれどね。
「実は、駄菓子屋さんを始めたいんです」
「「「えっ___!!!」」」
三人が見事にハモリました。そんなに驚くようなことですかね?
私は、ジェーちゃん改めジェフさんに二人を紹介しました。清徳さんを紹介した時には、ジェフさんは懐かしがるどころか彼を見る目が少し鋭くなった気がします。清徳さんはやっぱりというべきか、あの時のジェーちゃんだとは気が付いていないようです。清徳さんの顔も少しこわばっています。
青木さんを紹介した時には、お互いものすごい笑顔で挨拶していました。でもよく見るとお互いに目が笑っていなくて、私は少し後ずさってしまいました。
「ねえ清徳さん、昔ジェーちゃんっていう子と一緒に遊んだのを覚えている?」
急に私が昔話を始めたからでしょう。清徳さんが怪訝な顔を浮かべながらもうなずきます。
「ああ」
「実はですねえ、目の前のジェフさんがジェーちゃんだったのです!」
私がどうだ! とばかりに秘密をばらすと、清徳さんの目がこれ以上ないぐらいに見開かれました。それはそうですよね。たぶんあなたの初恋の人ですもんね。
私は、清徳さんのびっくりした顔に大満足です。隣のジェフさんは、なんだかよけい目つきがきつくなった気がします。清徳さんの唖然とした表情に彼も驚いているんでしょうか?
「そんなことより今回日本に来た大きな理由は説明したけれど、まだあきらめていないんだよ。君は、今はいいなずけも恋人もいないみたいだからね。一度帰るけど、また日本に来るつもりだよ。君を口説きにね!」
ジェフさんは、清徳さんとの思い出をそんなことといって一刀両断にしてしまいました。ジェフさんは、清徳さん達の方をわざと無視して、わたしにウインクしてきました。さすが外国の方がすると決まりますね。せっかく落ち着いてきた心が、さざ波の様に揺れています。
ジェフさんは、まるで牽制でもするかのように清徳さんや青木さんを鋭いまなざしで見つめています。
「私もこの前千代子さんに告白したんだ。恋人に立候補するよ」
青木さんが一歩前に出ます。ジェフさんに負けじとばかりに、私の方をひたりと見つめてきました。そういえば青木さんにはまだ返事もしていませんでしたね。
「私もいいなずけ解消されてしまったけれど、過去の自分の行いを反省している。ここにいるふたりより、ずいぶん不利なのはわかってはいるけれど、負けるつもりはない」
清徳さんも二歩ほど進み、青木さんの前に出てきて私をじっと見つめてきました。
いったいどうしたことでしょう。急に私は、モテ期に突入してしまったようです。こんなこと人生で一度もなかったので、どうしたらいいのかわからずにうろたえてしまいました。顔がこれ以上ないほど熱を持っています。もしかしたら顔が、ゆでだこのようになっているかもしれません。
「ちょっと皆さん、いい加減にしてくださいませんか。お嬢様が困っているではありませんか!」
大きな声がして、三人の男性たちの前にずんと立ちはだかったのは、久美ちゃんです。
私は、久美ちゃんの後ろに縮こまるようにしてさっと隠れました。やっぱり久美ちゃんは、困った時に颯爽と現れてくれる王子様のような存在ですね。
「私は帰国の挨拶をしていただけです。そこにこの二人が、勝手にやってきたんです」
「いや。あれは挨拶じゃあなかったよ。ジェフさんが、先に...」
「そうだよ」
久美ちゃんの登場に三人が慌てています。ただいち早く我に返ったジェフさんが、久美ちゃんに説明を始めました。ただ清徳さんも負けじとばかりに久美ちゃんに言い募っていますが、久美ちゃんのにらみで言葉が途中で途切れてしまいました。青木さんも久美ちゃんが怖いのか清徳さんに同意はしますが、言葉が出てこないようです。
「では、ジェフさんの挨拶もお済みなったことですし、会場に戻りましょうね」
久美ちゃんは、私の手を引いてさっさとこの場を後にしようとしています。私も一瞬ついていこうと思いましたが、やはりいうべきことを言うことにしました。
私は、久美ちゃんの手をそっと放して三人の男性の前に向きなおります。
「ありがとうございます。私、今回時間がたっぷりとあったので、いろいろ将来の事を考えてみました」
私はそういってまず清徳さんに向きなおります。
「私、少し前まで恋に恋してまるでストーカーのようなことをしていました。本当に申し訳ない行動をしていたと思います。すみませんでした」
そして今度は青木さんの方を見ます。
「私、名前を偽って会社で働いていました。でもそこで出会った方々にとってもよくしていただいて、働くことの楽しさを教えていただきました。ありがとうございました」
そして最後にジェフさんを見つめました。
「今回いろいろあって、私にはかけがえのない仲間がいることに気が付きました。大勢の方々が尽力してくださいました」
それから改めて三人に向きなおります。
「私は、今は恋よりやりたいことが出来ました」
「やりたいこと?」
ジェフさんが、まるで三人を代表するかのように私に尋ねてきます。
「ええ。私もっと働いてみたいんです。だからごめんなさい」
私は、三人に頭を下げます。
「別に働いてもいいんじゃあないかなあ。僕は応援するよ」
青木さんがいち早く私に賛成してくれます。
「そうだよ。もしよければ今までの会社でもいいし。なんなら清徳グループの本社でもどうだ?」
「それならもっとグローバルにアメリカなんてどうですか?」
清徳さんもジェフさんも、青木さんに負けじとばかりに声を上げます。
「私、実はお店を出したいんです」
私は自分の中で温めてきた思いを打ち明けることにしました。
「ブティックか何か? それとも食品関係の店? 経営の指導とか何か手伝えると思うよ」
「いや。どんな店でも清徳グループがバックアップさせてもらおう」
「それならアメリカでやればどうかな?」
三人が思い思いに私に提案してくれます。いや、そんな大がかりなことではないんですけれどね。
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